不動産トピックス

今週の一冊

2023.08.14 10:49

「病は家から」・・・健康・幸福になる家づくりを紹介

幸せになる家 不幸になる家
著者:昆 佑賢
出版:アルソス
発行:2023年7月25日
価格:1100円(税込)

 いわゆる「事故物件」や「訳あり物件」を専門に扱っている不動産会社を経営する昆佑賢氏が著した本書。「事故物件」や「訳あり物件」というと、事件・事故が発生した物件のイメージが先行するが、建て直しが困難な物件や突然心身の不調を訴えたり原因不明な病気を引き起こす物件も、「事故物件」や「訳あり物件」には含まれるという。
 著者は不動産を起因とする身体の不調の理由について、建築医学の観点から研究。住宅の建築や購入、リフォームを行うにあたって、建築医学の視点からより良い方法を探るのが本書の内容である。
 建築医学の考えに基づけば、「病は家から」。身体の不調や家族間の不仲など、家庭内で起こるネガティブな事象の原因は、今住んでいる住宅や間取りにある。健康や幸福を手に入れる家づくりを実現するためには、何が必要なのか。本書では著者が見た実例を紹介した上で、住む人の心身に影響を及ぼす可能性のある間取りについて解説する。
 「玄関を開けたら即キッチン」、「ダイニングの正面にトイレ」、「エレベーターと隣接している部屋」など、特に住宅が密集する都市部では一般的にみられるような間取りでも、それぞれの機能を身体の部位に例えてみると、不自然かつ健康に悪影響を及ぼすであろうと推測される間取りが多いことに気付かされる。
 コロナ禍を経験し、自宅で過ごす時間が長くなったと感じる人は多いはず。家は雨風をしのぎ、家族というコミュニティの醸成を促すだけでなく、住む人の幸せを呼び込む空間となる。そのことを意識しながら、本書を建築医学を知る機会として頂きたい。

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