不動産トピックス

【今週の最終面特集】管理・メンテナンスの業務効率化

2023.08.14 10:55

情報共有簡単な現場管理サービス
効率的なスケジューリング可能 対象は中小企業向け
 ビル・マンションなどの管理会社やメンテナンス会社であると、管理担当者と現場スタッフとの情報共有や日時調整に時間・手間を要することが多い。業務負担も大きいため、昨今は前述の課題解決に繋がる管理システムやアプリケーションの需要が高まっている。

手作業依存から脱却 Web上で簡単に
 Paintnote(東京都品川区、ペイントノート)は先月、スケジュール管理者のスケジュール作成や共有等を簡単にできるWebサービス「おたスケ」を提供開始した。
 おたスケは、ホワイトボードやExcelなどの手作業に依存したスケジュール管理に代わり、Web上での操作で簡単に「スケジュール作成・変更・スタッフへの共有」を可能にした。複数の現場やスタッフを抱える管理者は、日付・案件ごとに適した人材と人数を配置しなければならない。その様な人材配置を一目で確認できるシンプルな画面を採用。スケジュール作成・変更は数クリックででき、管理者は効率的なスケジューリングが可能となった。管理作業の時間は短縮し、より本業へ集中することができる。
 同社は開発段階で2つの視点に着目した。管理者と通知を受け取るスタッフ(ユーザー)目線だ。管理者はスケジューリングし、内容を現場スタッフと共有する必要がある。これまではメールやLINE等で情報共有していたが、行き違いや煩雑な手間が発生していた。おたスケを利用すれば、スケジュールの割り当てや変更時は自動でプッシュ通知がスマホに届く。
 「自分がいつ何の案件に入るか」視覚的に分かりやすい画面になっており、案件を閲覧するだけの画面なのでITに不慣れな人でも活用できる。また割り当てられたスケジュールの詳細の確認も可能。案件ごとに細かく変わる場所や持ち物も把握できる。

共有作業がスムーズ ダブルブッキング解消
 代表取締役の藤井友輝氏は「ホワイトボードやExcelでのスケジュール管理は、スケジュール作成だけでなく現場スタッフとの共有に多大な労力を強いられていました。『Excelで作成したスケジュールを毎回印刷しなくてはならない』や『変更時に共有の作業を再度しなければならない』といったことが発生し、これら課題を解決するために当アプリを開発しました。以降は共有作業がスムーズになり、ダブルブッキングも解消されました」と開発経緯と効果について語った。
 柔軟性の高さも強み。おたスケは既存システムへ対応でき、要望によってはカスタマイズもできる。従前から使用しているシステムを継続したい企業にとっては、同アプリが適している。対象企業は5~100名までの中小企業向けで、既に採用している企業は10~30名ほどが多い。現場仕事が多く、スタッフへの情報共有に苦慮している企業には最適だ。

管理システムスマリブ5月から提供開始
 下水処理施設の点検やビルメンテナンス等の事業を展開しているカンキョウ(大阪市中央区)。5月からマンション・アパート管理に特化した管理システム「スマリブ」を提供開始した。
 スマリブは、メンテナンス業務や改修工事等で発生する居住者との日程調整、建物管理における情報共有、協力会社とのスケジュール管理などを行うプラットフォームとして開発された。主な利用者は管理会社や自治体等の管理担当者。担当者は建物情報や付随する点検スケジュールを一元管理できる。加えて現場スタッフとの情報共有やスケジュールが変更になった際の把握・共有もスムーズ。管理担当者と現場スタッフの双方の使いやすさを意識してシステムをつくった。
 提供のきっかけは、2020年に社内で新規事業を開発する専門の部署が新設されたこと。その際に自社の管理・点検業務における煩雑さに着目。マンションやアパート等の集合住宅では、消防設備点検、雑排水管清掃、エレベーター点検、貯水槽清掃等の点検業務が発生する。中には必ず居住者の部屋に入らないと実施できない点検もある。管理会社は居住者へ事前に点検実施日を連絡し、日時変更がある場合はその都度居住者と調整する必要がある。日程調整の連絡手段は圧倒的に電話が多く、その他の方法を見ても不便なやり方でしか日程調整を行われていない。
 スマリブ事業部の岡田行史氏は「スマートフォン1つで日時調整ができる一方、いまだ従来の方法でスケジュール管理を行う企業は多く見られます。その結果、ヒューマンエラーが発生しやすく、受付業務にかかる人件費、居住者含め電話による通信費が生じるといった問題もあります。居住者と業者との連絡の煩雑さも大きな課題でしょう。前述のヒューマンエラーを防ぐ情報共有の仕組みとして、スマリブを提供しました」と語った。

初期費用に5万円 月々最低1万円~
 使用方法は簡単。最初に管理担当者(契約者)が建物情報や付随する点検業務、スケジュール等を管理画面で入力する。日時調整が必要な業務は、管理画面上でQRコードを作成。QRの画像をダウンロード後に、普段使用している連絡ツールに添付し送信するだけ。現場スタッフは手元に届いた通知から、URLコードへアクセス。建物情報や点検業務などが把握できる仕組みだ。また業務の実施サイクルが半年や1年と長い点検の場合、管理物件が増えてくると次回実施予定の点検を見落としてしまうケースがある。その場合、スケジュールの自動登録や任意の日に通知設定を実施。点検予定前に通知が届くため、日程調整を協力会社とスムーズに行うことができる。
 居住者側の利用も簡単。点検実施のメール等に記載されたQRコードやURLを読み込むことで、いつでも日時調整が可能。メールアドレスを任意で入力することで、作業前日に居住者のもとにリマインドメールが届く機能もある。
 岡田氏は「初期費用に5万円。後は月々最低1万円~となります。1万円で10棟まで登録可能。11棟以上の建物情報を登録希望の場合は、月額1棟500円の追加で利用できます。アカウント数や1棟に不随する各点検業種の登録、スケジュール登録は無制限に登録可能です」と語った。

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