不動産トピックス

今週の一冊

2022.05.16 10:53

地図リテラシーを考える

デジタル社会の地図の読み方 作り方
著者:若林芳樹
発行日: 2022年2月10日
発行所:筑摩書房
価格:820円(税別)

 地図の読み方や作り方の知識などわざわざ学習する必要があるのだろうか、と思われる向きもあるだろう。本書は「デジタル社会に対応した地図リテラシーを改めて考えてみる必要がある」という。
 今年度からは高等学校の地理歴史科では「地理総合」が必修科目となった。高校教育でGIS(地理情報システム)の利活用を学ぶ時代なのだ。
 この「現代人にふさわしい地図リテラシーの入門書」のキーワードは「つなぐ」。
 コロナ禍では人と人のつながり、人と社会のつながりが一時的に断たれ、我々は今まで当たり前のように存在していた様々なことの重要性を認識することとなった。
 地図の役割に改めて気づかされた著者は、地図を「人と人をつなぐメディアとしての役割」があるといい、1人で地図を読むときはその作成者と対話している、という。
 丸い地球を平面に描く地図作成の舞台裏、北が上にはならない城下町絵図、地図にだまされない方法、そして地図のIT革命。デジタル化が如何に地図利用を拡大したかはITの歴史だ。第4章「アナログとデジタルをつなぐ」は、地図を超えたDXの可能性を、終盤では21世紀の地理学者ははたしてどんな存在かを説く。ご一読を。

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