不動産トピックス

クローズアップ スマートオフィス編

2022.05.09 10:41

 「スマートオフィス」が一層普及してくるかもしれない。コロナ禍中の「非接触」ニーズはスマートロックや顔認証の採用を広げた。アフターコロナにおいても、これらの最新機器の活用がビル業界で進みそうだ。

コロナ後の新しい課題のひとつは「トイレ」 テック企業との連携でソリューションを提案
トイレ混雑抑止サービス オーナー向けのメニューに
 フロンティアコンサルティング(東京都千代田区)はワークプレイス構築やビル資産価値の再構築、サードプレイス構築などの事業を展開している。3月、バカン(東京都千代田区)が手掛けるトイレ混雑抑止サービス「VACAN AirKnock」を同社のサービスメニューラインアップに加えた。ビルの資産価値向上や入居テナントの満足度向上を目指す。
 「VACAN AirKnock」はWeb配信を用いたトイレ混雑状況の可視化や個室内デジタルサイネージを用いた混雑状況および利用時間に応じた情報の自動表示によって自主的な退出を促し、長時間利用の抑止に効果がある。具体的には1個室あたり1日45分の利用時間削減効果が確認されている。実証実験では「30分以上」の個室利用回数が導入前に比べて64%減少した。
 ビルオーナーも導入しやすい。導入費用は無料であることに加えて、トイレの利用データ収集による運用改善の機会創出や個室内サイネージによるビル情報掲示によって発信力の向上が期待できる。利用データを蓄積することでの運用改善や、長時間利用されている個室を検知することで急病人の発生などのリスクにも速やかに把握・対応することが可能となる。
引き合いは順調に AM会社など関心
 同社取締役で、事業本部長兼営業推進部長の佐藤高史氏はサービスのラインアップ追加発表後の手応えについて次のように話す。
 「このサービスはビルオーナー向けにビルの資産価値向上に寄与するものとして展開しています。リリースから1カ月経ちましたが、問い合わせ件数は20件弱頂いています。主に大型物件を運用されているアセットマネジメント会社様を中心にご関心を頂いております。導入するにあたっての支出がないことも魅力のひとつとなっています」
 ビルの運用者にとって、コロナ後の懸念事項のひとつはトイレかもしれない。2020年に発令された最初の緊急事態宣言以降、大半の企業ではリモートワークが導入され、出社人数を制限してきた。しかし、2022年になると3月にはまん延防止重点措置が解除。引き続き自宅やサードプレイスでの勤務は継続しているものの、ハイブリッド型にすることで出勤者も増加傾向にある。佐藤氏は「コロナ禍でビルの利用者が減ったことでトイレの混雑は感じられなかったが、今後徐々に社会活動が正常化していくことによって問題が顕在化してくる可能性は十分にあります」と指摘する。「VACAN AirKnock」を導入することで、そのような問題の緩和とソリューション創出にも期待が高まる。
 現状、問い合わせが多いのは大型ビルの担当者が中心だが、佐藤氏は「中小ビルのオーナーにも知っていただきたいサービスです」と話す。規模の大小にかかわらず同様の問題が起きてくる。人間の生理的現象なだけに、対策が講じられているか否かでビルの価値も大きく変化してくる可能性がある。
 同社では今後も「VACAN AirKnock」に限らず、新しいサービスを加えていく予定だ。特にIoT製品などの調査を強化していくという。
 コロナ禍でワークスタイルやオフィスのあり方の変化を経験した。今後のアフターコロナのなかでも変化は継続していく。それに伴って、ビルに対するニーズもコロナ前とは異なることが予想される。需要を先読みする、先行のビル経営が必要になりそうだ。

ソニーネットワークコミュニケーションズ 「Nimway」に会議室の空予約対策機能
 ソニーネットワークコミュニケーションズ(東京都品川区)が提供するスマートオフィスソリューション「Nimway(ニムウェイ)」はサービスのアップデートを実施。会議室の無駄遣いを防ぐ空予約対策機能「Nimway Space Releaser(ニムウェイ スペースリリーサー、以下「Space Releaser」)」を提供開始した。
 新機能「Space Releaser」はアフターコロナのオフィス再開やフリーアドレスへの移行によって増加が予想される会議室やワークスペースの空予約など、これからのオフィスの会議室・ワークスペース管理に関する本質的な課題解消をサポートする。
 会議室やワークスペースの「無駄遣い」を防ぐ。ただ強制的な予約解除ではなく「予約者自らが自発的にキャンセルする」よう促し、利用者の会議室利用本質的な課題解決や予防を目指す。
 「Nimway」は会議室の予約利用の効率化という課題に対して、従来センサーデータの強みを生かした予約率と利用率の比較による空予約率の現状分析や、リアルタイムの「予約済み・空き状態」の表示による可視化と会議室利用開始時のチェックインがない場合に自動的に予約をリリースする「チェックイン・自動リリース機能」という2つの対策方法を提供してきた。
 新機能では会議室の利用状況をモニタリングして、会議が早く終了して予約時間内に途中退出をしたり、急なキャンセルなどにより使用されていない可能性が高い会議室を特定し、「Nimway」アプリから自動的に予約者に会議室の開放を依頼する通知を出したりすることができる。予約者は通知から簡単に会議室の予約を開放することができるので、ユーザーへの負担がなく、会議室をより効率的に活用することができるようになる。

「bitlock PRO」と「workhub」ワークスタイリングSHAREで全面採用
 ビットキー(東京都中央区)は3月29日、三井不動産(東京都中央区)が運営する法人向け多拠点型サテライトオフィス「ワークスタイリングSHARE」の73拠点で約1300台のスマートロック「bitlock PRO」およびコネクトプラットフォーム「workhub」が採用されたと発表した。三井不動産のワークスタイリングブランドでは「ワークスタイリングSOLO」33拠点に続く採用で、同ブランドでのスマートロックの累計採用台数は100拠点超、約2000台となった。
 今回の採用の背景には「ワークスタイリングSHARE」の更なるセキュリティ向上があった。「bitlock PRO」を各拠点の会議室や個室に導入することで、利用者は利用中の部屋に荷物を置いたまま外出しても、部屋に取り付けてあるカードキーひとつで解錠/施錠することができる。

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