不動産トピックス

今週の一冊

2021.08.30 14:04

古墳や古戦場跡、自然地形も圧巻

ドローン空撮で見えてくる日本の地理と地形 著者:藤田 哲史
発行日:2021年3月25日
発行所:実業之日本社
価格:1800円(税別)

 ドローン空撮写真はまさに「百聞は一見に如かず」。前方後円墳が方形と円の組み合わせであることは百回聞くより一度見た方がずっといい。分水嶺も本当にある。本書は地上100~140mの高さから撮影した150枚以上の空撮写真。まずは自然の地形の面白さ。人の手が入らない川の自然堤防や川の蛇行、峠、短冊形地割、人の住む地域の空撮も面白い。中山道の街村(がいそん)や夕張の炭鉱跡、日本の歴史が見える。東日本大震災からの復興はどうか。陸前高田市の新市街地はまだまだ空き地が目立つ。ほか、空から見る「トンネルの正体」には目を奪われる。古戦場跡は福島の阿津賀志山の戦い、愛知県・長篠の戦、岡山の備中高松上の戦い、そして関ヶ原。地形を利用した陣地や防塁、城跡や太平洋戦争の軍用飛行場跡など詳細な解説も読み応えあり、写真とともに楽しみたい。
 ところで、要塞や軍需工場などの「点」がほとんどの戦争遺産だが、地上に描かれた「模様」として存在する戦跡があるという。第二次大戦末期に築かれた「根室地域の防御陣地跡」だ。
 本書でぜひ見てほしい。緑豊かな写真と共に長い歴史に想いをはせることのできる素晴らしい一冊。ご一読とともに、ご一見を。

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