不動産トピックス

クローズアップ 個室ブース編

2021.08.30 14:02

 個室ブースへの参入企業が目立つ中。製品の提供開始当初は手探り状態であった各社だが、最近では個室ブースを活用したユーザーの利便性を高める新たな動きもみられ始めている。その中でも注目を集めるのが、空きスペースを活用し、ビルの付加価値や収益化に繋がるサービス展開だ。

ビジネスエージェント 「BoothIn 銀座」オープン 「EDOブース」の時間貸しでスペース収益化
 「BAレンタルオフィス本町」の運営等を行うビジネスエージェント(東京都新宿区)は、先月26日に個室型ワークスペース「BoothIn 銀座」をオープンした。
 「BoothIn 銀座」は東京メトロ「銀座一丁目」駅から徒歩1分、「東銀座」駅から徒歩3分の「銀松ビル」の4階に設けられた個室型ワークスペース。スペース内に複数台設置された個室ブースを30分単位の時間貸しで収益生を確保する。設置するブースは、グループ会社であるバルテック(東京都新宿区)が開発した「EDOブース」。「BoothIn 銀座」では「EDOブース」を7台設置し、自社開発のスマートロックと連動した無人運営を進めている。
 「BoothIn 銀座」開業の経緯について、バルテックのデジタルマーケティング企画室の森本拓志氏は、「『BoothIn 銀座』の区画は、もともと当社のオフィスとして借りている場所です。Web会議ができる場所がないとの声が上がる中、ユーザー様の個室ブースの使い方を分析し、お客様に適したご提案につなげたいという思いから、『EDOブース』のショールーム的な意味合いも込めて提供を始めました」と話す。
 銀座の中でもメーンオフィス街からやや離れた立地ではあるが、運営初日から数名の利用者を迎え、好調なスタートを迎えた。リモート面接や銀座で仕事に来たビジネスマンによるスポット利用のニーズが高いという。
 都内の個室型ブースの利用料金相場は、概ね15分で250円ほど。一方で「BoothIn 銀座」の場合は通常時で30分300円とリーズナブルな価格帯が魅力だ。
 森本氏は、「開業を計画するにあたり『他社より安くする』ことを念頭に入れておりました。安く提供ができる背景には、無人運営ができるという特徴があります。『EDOブース』は当社独自の予約管理システムとスマートロックで入退出管理を行うことができるため、人件費が抑えられるという点が強みの一つです」と話す。
 ビルの一区画を用いた個室ブースの時間貸しは、注目されるビジネスモデルの一つでもある。ビジネスエージェントはバルテックと連携することで、空きスペースのリノベーションから予約・入退出管理システムの提供まで一貫して行うことができた。バルテックとしても、空きスペースをリノベーションし個室型ワークスペースの導入促進を行っていくことに前向きな姿勢を示している。
 「初期費用を低コストで実現できる点はバルテックの強みとするところです。『BoothIn 銀座』の運営状況を見ながら、こういった収益化事業のさらなる展開も視野に入れています」(森本氏)。
 8月中は開業記念の特別価格として30分200円で提供中。ビルの空き区画の収益化の手法として、新たに期待される個室ブース運営。都心で始まった新たな取り組みを見守りたい。

富士フイルムの個室型ワークスペース「CocoDesk」関西圏でサービス開始
 富士フイルムビジネスイノベーション(東京都港区)は、東京地下鉄(東京都台東区、以下「東京メトロ」)と共同で開発した個室型ワークスペース「CocoDesk」のサービス提供を、8月17日から関西圏で初めて開始した。
 同スペースは、ビジネスパーソンが外出先や移動中の空き時間を活用し、密閉・密集・密接を避けながら安全・快適にデスクワークやWeb会議などのテレワークができる個人用のワークスペース。
 関西最初の設置場所は、大阪のメインストリート「御堂筋」に面し、大阪メトロ「淀屋橋」駅に直結した商業施設「淀屋橋odona」内の「三井住友海上大阪淀屋橋ビルA棟」2階に2台、ダイビル(大阪市北区)のオフィスビル「中之島ダイビル」、「梅田ダイビル」、「新ダイビル」の3棟に5台の計7台。いずれも料金は15分ごとの従量課金制となる。

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