不動産トピックス

今週の一冊

2020.11.30 10:46

日本の社会の行方は?不動産から読み解く

不動産で知る日本のこれから
著者 牧野 知弘
発行日 2020年4月10日
発行所 祥伝社
価格 860円(税別)

 多くの名著を生み出した著者のコロナ禍前の連載をまとめた本書は、やはり、不動産業界への警鐘だ。日本、特に東京の不動産現状を鋭く認識し分析した構成と文章は変わらず見事。
 さて、不動産は「負動産」、更に「腐動産」とも呼ばれるようになっている昨今、様々な課題は解決の見通しは立っているのだろうか。空き家問題に象徴されるが、少子高齢化は待ったなしだ。さらにコロナ禍が追い打ちをかけることになるのだろうか。
 深刻な内容が続く本書であるが「デベロッパーが謳うポエムのような宣伝文句だけに惑わされずに街選び、住宅選びができるのがこれからの東京」とは諸手を挙げて喜ぶべきではないかもしれないが、唯一の希望的観測だ。
 1点だけ見通しが違うのではという箇所が。本書には「都心への通勤者は激減するかもしれない、デベロッパーにとっては脅威の働き方改革」とあるが、コロナ禍という強烈なアクセルが踏まれている現在でさえ、でテレワークはある種の「特別待遇」で通勤電車は変わらず混んでいる。いいのか悪いのか「オフィス不要論からオフィス回帰論」云々は無関係という層が多いのではないか。オフィスは変わらず日本の不動産市場に君臨するかもしれない。

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