不動産トピックス

今週の一冊

2020.07.30 17:31

深刻な社会問題への危機感を

人口減少時代に問う 土地はだれのものか
著者:「土地はだれのものか」研究会
発行日:2019年8月23日
発行所:白揚社
価格:2700円(税別)

 目前に迫っている危機、いや、まさに渦中の土地問題。人口ピラミッドは歪み続け、20年後には65歳以上の高齢者が4700万人になる。単身や高齢者世帯が増え、住宅ニーズも大きく変わっている。空き家が全国で放置され、「所有者不明土地」は九州地方と同じ面積にまで広がり、そして増加するマンション。
 不動産の問題は解決が遅れるほど、「確実に深刻化し、複雑化し、肥大化する」という。
 本書は問題提起だけでなく、解決案、救済案も述べられ、警鐘を鳴らしている。
 「老朽マンションを投資物件に再生する」案とともに当事者だけの問題ではないといい、「深刻な社会問題であるという認識をもって社会全体で取り組む必要がある」と説いている。
 本書の目的は「一般の方に土地問題の背景や原因を知ってもらいたい」とのこと。我々メディアを含め、業界の責任は重い。詳細なデータと共に国や自治体の政策の現状が丹念に綴られており、著者グループの優秀さが分かる。江戸・明治の土地所有にも触れており、その分析には脱帽。民法起草者の梅謙次郎博士の言を引用し、民法の芯にも触れている。ビジネス書であるが文体には法律専門家の頭脳が見える。じっくりと時間をかけ読み込みたい1冊。


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