不動産トピックス

今週の一冊

2019.12.02 11:13

「持続可能」の理解は急務

SDGsとまちづくり 持続可能な地域と学びづくり
編著 田中 治彦・枝廣 淳子・久保田 崇
発行 2019年3月5日
発行所 学文社
価格 3000円(税別)

 今後、頻繁に目にすることになるであろうキーワード「SDGs」は、持続可能な開発目標を指す。国連で採択された、2030年までに解決すべき課題のことだ。サスティナブル=「持続可能」という訳語が定着しているが、直訳すぎてピンとこない。一般社会に内容までしっかり根付くには時間がかかりそうだ。
 全容が広すぎ、開発目標と言われても身近な何をどう知る必要があるのかもいまひとつ不透明。
 本書は、「まちづくり」の視点からの解説がメイン。「地域の経済は、SDGsのすべての目標達成の基盤となる」という。地域の経済はまちづくりそのものだ。当たり前のことであるが、まちづくりは地球環境を変える。「地域経済を『いま!』立て直さなくてはならないのだ」と訴える。
 人口3万人未満の自治体の合計面積は日本全体の48%になるという。その小さな自治体の人口を後継しても日本総人口の8%。「日本の面積の半数近くをわずか8%の住民が支えてくれてるのだ。これらの地方で地域経済が回らなくなるとますます人口減少に拍車が掛かり、いずれ無人地帯が広がっていく」―この警鐘は耳を傾ける層に届くのか。行政に捧げる一冊でもある。

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