不動産トピックス

第60回ビル経営サミットin関西 紙上再現

2018.07.16 14:41

災害を乗り越え魅力ある都市への方策語る

 現在の大阪貸ビル市場は、地元ビルオーナーの言葉を借りれば「空室率が空前の低水準」となっている。この環境下で、将来的な発展性を見据えた街を形成するために、不動産事業者に求められることとは何か。今回のサミットでは行政・デベロッパー・中小オーナーと、様々な視点から語られた。

第1部 基調講演 大阪の都市再生~きのう・今日・あす~
大阪市 都市計画局長 高橋徹氏
万博で表現したい未来社会 都市再生特区で変わる街づくり

 皆さんこんにちは、大阪市の高橋と申します。本日は大阪都市再生のこれまでの成果、現状、将来のプロジェクトについてお話ししたいと思います。まず私共は姿勢改革の一環で毎年、各局でどのようなまちづくりをしていくのか、どういった業務を進めていくのかという方針を作っております。それが「Quality of Life」。これを実現するためにInnovative、Global、Sustainableな街を作っていくことを目指しています。大阪市都市計画局の運営方針は3点あり、まず大阪・関西の発展に貢献する持続的で活力あるまちづくりの実現。次に快適性やゆとりを感じさせる質の高い都市空間の形成を通じた都市格を備えたまちづくりの実現。そして広域的な交通ネットワークが充実し、都市活動を支える基盤が整備されたまちづくりの実現です。以上の3本柱を立てまして業務に取り組んでいるところでございます。まず都市再生の起動につきまして当会場のグランフロント大阪をはじめ、あべのハルカス、南海のビルなどそれぞれ別のターミナルで高層ビルが建っております。これらは2002年に施行された都市再生特別地区が活用されております。都市再生特別区とは、色んな制限を緩和して民間投資を集中的に呼び込んでいく目的で作られました。大阪市では、2003年2月に全国で初めて都市再生特別地区を心斎橋筋一丁目にて指定。これを皮切りに順次、追加指定を進めて現在は大阪市内で17地区指定されております。すでに竣工した建築物の延べ面積は約210万㎡、工事中の延べ面積は約60万㎡です。例えば、いま工事中のところは「大阪」駅南側の「阪急ビル」の建替え、心斎橋の「大丸」の建替えもこの特区を使って建築を進めている状況です。この都市再生特別地区が制定された時に合わせて工場等制限法が廃止されました。工場等制限法は1959年に制定され、高度経済成長期の都市部における人口・産業の過度の集中を防ぐ目的がありました。問題なのは工場等制限法に大学が含まれており、当時はこの法律を使って大学が外へ出ていくと国からの支援が出ていました。そのため大阪市内、あるいは大阪市街から大学が出て行ってしまった弊害がございました。以前から工場等制限法の廃止を訴える声は多く、2002年にようやく実現した形です。それまで人・モノ・企業が大阪からどんどん流出していたので、私共は改めて企業の呼び戻しや大学の誘致に力を注いでいるところでございます。次に「都市再生の第2ステージ」というテーマをお話しします。いま大阪府で進められている開発計画の完成が2025年前後と考えております。これを経て2030年以降は、様々なインフラが出来てきます。特にリニア新幹線が大阪まで延伸するのが2037年。これを一つの契機としまして今一度、大阪の街を見直していくことを推進しております。それから2013年には国家戦略特区がスタートしました。これは大阪・京都・神戸など指定されております。例えば大阪府では民泊や公設民営学校などが、国家戦略特区により規制緩和されております。本来なら今年、通常国会では国家戦略特区の中で規制の「サンドボックス制度」が実施される予定です。「サンドボックス制度」とは砂場という意味で、イノベーションを起こす実証実験をやっていく目的で実施される制度です。これにより航空法や電波法などの規制緩和を行う議論が国会で行われるはずなのですが、現在はまだ審議されておりません。また2025年、大阪府は万博に手を挙げております。オリンピックは各都市が手を挙げるのですが、万博は日本として立候補させていただいております。会場は夢洲。テーマは「People's Living Lab」とし夢洲をはじめ、大阪の都市全体が未来社会の実験場になるような取り組みをし、盛り上げていきたいです。

第2部 特別講演 街づくりとビジネスチャンス~当社の不動産取得・開発実績と今後の戦略~
関電不動産開発 常務取締役 投資開発事業本部長 堀俊明氏

成長エンジンは運用、用途、コンセプト・技術の更新 住宅の都心回帰 投資の流れに乗る
 我々民間事業者は、始めから街をつくっているというよりは、既存の街の造りかえに係わっていることが多いと思い、「都市の造りかえとビジネスチャンス」というタイトルとさせて頂きました。都市計画の大きな流れがあり、その流れを引き継いで仕事をしていくのです。我々不動産にかかわるものは、街全体が変わっていく流れをつかむことが大事かと思います。
 今、日本の人口は都市に集中しており、都市はどんどんつくりかえられてきています。我々のような不動産会社はこの都市の造りかえ、都市機能の更新にどう係われるかが大きな命題で成長のエンジンだと思います。三つの種類があります。「運営の更新」、「用途の更新」、「コンセプト・技術の更新」です。「用途の更新」は例えば今まで病院や学校であったものが住宅となるなど用途が変わることですが、「用途の更新」に至るまでに「コンセプト・技術の更新」、「運営の更新」があると思います。
 デジタル化が進み、仕事の量が減るがその分想像力でアイデアを出すことが求められるようになりました。知的生産性を上げるということです。それは「技術の更新」が「コンセプトの更新」につながり、我々が造るような先進型のオフィスに影響を与えています。それが進むと建替えになり、新しいビルができるということになります。
 この20年くらいの間、特に大阪で言いますと、「住宅の都心回帰」は長く続いております。流行の一つはタワーマンションです。タワーマンションをつくる技術で一番大きいものは耐震・免震技術だと思います。「技術の更新」があり、都心回帰という「コンセプトの更新」と相まってタワーマンションがたくさんできていると思います。
 「運営の更新」で言うと、都心の容積緩和というのが大きいです。都市政策の「運営の更新」があり、それに乗って造りかえていくことが多くなっています。土地の使い方で言うと、土地所有者が建物を建てたくてもお金ないというときに、「土地を半分売却してはどうか」と言う話になります。この30年くらいで言うと「定期借地」で土地を貸して一時金で建物を新しくすればどうか等、自分の使用する土地と貸すための土地に分けるという「土地利用の分割」という「運営の更新」があります。これらを上手につかまえていくことが大事です。逆にいくつかの土地をまとめていくのも「運営の更新」です。単体でビルを建て替えるのが難しいときに、周辺の地権者と一緒に建て替えをという話や、エリアマネジメントといって地域全体の「運営の更新」もあります。いろいろなところにある「運営の更新」を上手につかまえて我々も仕事をしていきたいと思います。 
 不動産投資のトレンドというと、この20年ずっと続いているのが、エリア間の競争です。競争に勝ち抜くために特定のエリアではずっと投資が続いていると思います。鉄道の業者はターミナル駅の開発には熱心で、それは単純な不動産業者の損得勘定とは違う理屈が働いております。我々はターミナル駅の開発動向を見ながらその周辺で上手に仕事をしていくのも大事です。 もうひとつの流れは住宅の都心回帰、タワーマンションです。最近は値段が上がってしまってこれからも売れるのかという懸念は業界でも出てきています。
 「住宅の都心回帰」についてですが、長く住まえる住まいをどう作っていくのか、「スケルトンインフィルの分離」という新しい住まい方のコンセプトを取り入れています。スケルトンは構造躯体、インフィルは内装設備です。更新期間が短いので、あらかじめ更新しやすいように、年を取ってもいろいろ変えていけるようにということです。今のタワーマンションはこの考え方が入っています。
 単体で建物を建てるより、複合する方が建物を新しく開発しやすいのではと思っています。今後はいくつかの開発動向がありますが、用途複合型の開発を考えていきたいです。投資開発の方向性としては、ミレニアル世代を対象とした職住食遊近接の街への流れがあります。
 我々民間事業者は、投資が始まったと思ったらその流れに乗るのが大事だと思います。

第3部 ビル経営セミナー 空調リニューアルに新サービス!月額固定料金で省エネ・快適な空調空間を実現
エアアズアサービス 取締役 河口真一氏

2社の強みを生かした提案行う 「所有」から「使用」へ空気をサービスする新モデル
 当社は三井物産とダイキンエアテクノの2社による合弁会社として設立しました。元々、三井物産は商品ファンドや不動産リート、太陽光発電ファンドなど、ファイナンス系の事業に強みを有しています。また、グローバルな事業展開の中でIoTを活用したビジネスを展開しています。ダイキンエアテクノはダイキン工業が100%出資する子会社で、機器の供給だけではなく工事・設計・サービスを一手に引き受けることができるエンジニアリング会社です。この2社が、目に見えるサービスではなく空気をサービスとして提供する「エアアズアサービス」を設立するに至りました。最近では、ものを所有しないという考え方が一般にも広く浸透してきました。自社でサーバーを置かず、クラウド上で膨大なデータ管理を行うコンピュータの世界がその代表例といえます。空調機器に置き換えますと、これまでは建物所有者が空調機器を所有し、メンテナンスや管理の手間が非常にかかる状況でした。一方、当社は空気をサービスとして提供するという新しい観点から、建物所有者に対し機器を所有せず機器を使用して頂くことに特化したサービスの提案を行っています。具体的なサービスの内容は、まず当社が不動産オーナーと契約を結びます。初期投資、性能故障、維持管理においてはエアアズアサービスが業務を担い、空調機器を停止させない管理を行います。これらの実際の業務は委託を受けたダイキンエアテクノが担当し、遠隔監視センターにて管理を行いながらサービスを提供します。サービスの特徴は、空調機器を遠隔監視することで機器の運転状況を正確に把握できる点です。維持管理面のメリットとしては、初期投資が不要である点が特徴で、月額固定料金であるため不動産オーナーはコストを大幅に抑えることが可能です。当社が提供するサービスには3つのオプションがあります。まず1つ目は、既存のビルマルチエアコンを生かしたままリニューアルすることが可能である点で、2003年以降のダイキン工業製の機器であれば室内機をそのまま生かしてリニューアルすることができます。これによりリニューアルコストを低減するだけではなく工事期間もテナントが営業しない休日のみで短期間に工事が可能になるなど、多くのメリットがあります。2つ目は、三井物産が従前より提供している新電力を組み合わせた、年間を通じた電力の平準化による省エネ・低コストに寄与するサービスの提供が可能である点です。3つ目は空気の見える化の提案です。ある医療施設での事例では室内の温度分布等を事前にシミュレーションを行い、運用時における温度ムラが起きないよう最適な運用方法を提案させて頂いています。東京・浅草のあるテナントビルでの事例では、オーナーから見れば非常に大きな負担となっていた空調機器の維持管理を当社が請け負い、三井物産による新電力を組み合わせた電力利用を提案し、更なる運用の最適化と省エネ化を目指しています。

第3部 ビル経営セミナー 大阪ガスの地震対策とオフィス・商業ビルにおける保安対策
大阪ガス エネルギー事業部 カスタマーファシリティ部 保安企画チーム マネジャー 新堂充彦氏

安定・安全なガスの提供に全力 先の地震での供給停止7日間で完全復旧
 大阪ガスの地震・防災対策の基本的な考え方としては、まずは地震に強い設備を整えるということ、そして地震がもし発生した場合には人命を最優先として二次災害をできる限り抑えること。またガスの供給を停止するような事態になっても、できる限り早い復旧に努めることに取り組んでいます。お客様の多くは低圧ガスをご提供していますが一部のお客様には中圧ガスとしてご提供し、お客様自身でガスの圧力を調整してご利用頂いています。一般的にガスは圧力が高いほど搬送力が高いとされ、先般の大阪北部地震においては中圧A・中圧Bという配管設備については目立った損傷もなく供給を継続することができました。地震の予防対策に関しては、ガス配管の鋼鉄管からポリエチレン管への置換えを順次進めています。このポリエチレン管は曲げ・ひっぱりといった外部からの力に柔軟に対応することができるというのが特徴です。また、腐食しない素材であることから、主に低圧ガスの配管の置換えを積極的に進めており、当社の供給エリア内における置換え後の配管の延長は約1万5800kmに達しています。お客様先ではガス警報器の設置や、安全設備を具備したガス機器の設置をお願いしています。緊急時の対応についてですが、地震が発生しますと二次災害の発生を防止するためガスの供給を面的に停止します。この面的な停止範囲をできる限り小さくするため、ブロック単位に細分化してガスの供給又は停止を行っています。ブロック単位とすることで、当該ブロック以外のお客様へのガス供給を継続することが可能になっています。大阪北部地震では2つのブロックでガスの供給を停止することになりましたが、残る160あまりのブロックについては供給を停止することなく対応することができました。また先程述べましたようにガスは高い圧力から徐々に圧力を下げながら供給します。先日の地震では、低圧ガスを供給する銅管においてのみ、供給を停止させて頂いています。ですので、それ以前の中圧ガスの供給網については供給を維持し続けることができました。大阪北部地震は6月18日、午前8時前に発生しました。マグニチュードは6・1、最大震度は6弱でした。当社のお客様におかれましては11万1951戸でガスの供給停止をお願いするに至りました。供給を停止している間、医療施設を中心に21件で臨時供給をしながら早期の復旧に努めてきました。完全な復旧に関しては、全国から応援スタッフが駆け付けてくれたこともあり7日間で復旧することができました。6月24日の深夜の時点で、供給停止を行ったお客様の全戸に対し供給の再開が完了しました。過去の地震と比べると比較的早期に復旧が完了しましたが、お客様からは様々な声を頂戴しており、当社ではそうしたご意見を真摯に受け止めながら今後の安全安心で信頼性の高いガス供給事業を引き続き行っていく考えです。

第4部 パネルディスカッション 不動産オーナーによる資産価値向上の取り組みと成功事例
助成金を利用して大幅な費用の削減も エリアによっては民泊も有効な手段
補助金や助成金を活用せよ 「消費税還付」も有効

●最初に自己紹介と自社の主な事業内容、加えて保有する不動産についてもご説明をお願いします。
山下 当社は窓ガラスの販売・施工などのガラスに関連する分野を手掛けており、定期的に補助金においてのセミナーも開催してきました。なぜ「ガラス屋さん」が不動産の所有及び補助金についてのセミナーを行っているかと申しますと、私の経歴に関係します。私は過去約8年、東京海上火災保険に務め、その時に国土交通省、経済産業省、環境省に出向していました。父がガラス屋で名義はまだ父のままではありますが約20棟近く物件を保有しています。ですが、その様な環境から約款に詳しくなりましたので、それを強みに今回のパネルディスカッションに関係する部分で申し上げますと、お客様の物件から自社の物件も含め約1000棟にも及ぶ物件の補助金申請をお手伝いしてきました。リフォームや新築工事などにおける補助金や保険の申請において、知らなければ高額な費用が掛かります。私は補助金に詳しい立場なため、審査員を務める傍ら申請も積極的に実施。その様な経験も踏まえて、全国各地で補助金におけるセミナーを開催してきました。
叶 大学卒業後、広告代理店に入社し、その後独立を目指して税理士の資格を取得しに大学院に通っておりました。不動産に関わる転機となったのは、税理士の資格取得から3年後。当時は会計事務所に務める傍ら、結婚や子供の誕生という出来事が続いた時に「金持ち父さん 貧乏父さん」を読み、不動産投資を始めようと思ったことがキッカケです。その後、伊丹に中古マンションを1億円のフルローンで購入しました。翌年、独立を目指して活動を開始しましたが大学院で「税法を勉強していない」、「実務経験もそこまで長くない」といった課題から、他の税理士とは差別化を図ろうと不動産投資の専門税理士を目指すことに決めます。実際、今回のビル経営サミットのような講演会や勉強会に参加して情報交換などを経た際に、不動産相続においての税金に詳しい人は多々見られましたが、不動産投資に特化した税理士が少ないことに気付いた点も影響しております。そして、2007年に神戸市で日本初の不動産投資専門の税理士事務所を立ち上げ、現在は東京にも支店を確保。顧客の99%が投資家や不動産オーナーに該当し、「大家さん学びの会 関西」の代表も務めております。
望月 新卒として収益不動産を専門に取り扱う不動産ベンチャー企業に入社し、富裕層及び投資家に向けた不動産売買・資産コンサルティング、RCC等の不良債権処理等の業務を担当してきました。業績も良く、入社3年後には「東京」駅周辺、八重洲エリアの支店責任者や経営に関する業務に従事。その後、昔の上司達が起業するとなり、声を掛けて頂いて2008年に設立した会社がビーロットになります。ビーロットは収益不動産の売買仲介や不動産の再生事業を中心に手掛けており、東京、北海道、福岡、シンガポール、大阪の順に拠点の開設に繋げてきました。大阪につきましては、28年もマンションの販売代理店を行ってきたライフステージをグループに、積極的に事業展開を行っています。社員の平均年齢33歳と比較的若く、関西エリア全体で100人以上が従事しております。

●次に資産価値向上に向けた取り組み事例について伺います。
山下 現在どの建物でも補助金・保険が適用できる環境にあります。最近でしたら「暴風雨によって雨漏りが発生した」という事例では、火災保険が使用可能。LEDや空調の更新、エレベーター、給湯器、窓ガラスにおいても単層から複層に替えるだけで省エネ化に取り組んだとして、補助金が適用します。ですが現在は事前に申請しないと補助金は受け取れません。それも事前に細かい審査があります。その審査において書類等々の表記内容を工夫すれば、上手く行くこともあります。また建物の種類によって申請する窓口も違い、手続き等々が大変になるケースもあります。これら問題を回避する・得する為のコツとしては、補助金の申請に詳しい賢い業者と付き合うこと。業者を値切り倒して、自己満足で行った結果失敗するのでなく、補助金や保険を上手く扱える業者を選ぶことが大事です。また国土交通省、経済産業省、環境省などの各省庁から類似の補助金が出ていますが、目的や狙いが異なります。中には重複して受け取れる内容もありますので、それら目的をしっかりと把握してから申請を行うことが重要。経済省(エネルギー使用合理化)で駄目であっても、国土交通省(建築物省エネ改修)なら採択されることもあるからです。
叶 私の場合は「消費税還付」を活用致しました。消費税還付とは、建物の建築や購入時に建物に含まれる税金(消費税)部分を取り戻すというもの。物件の購入規模・金額が高くなればなるほど、戻ってくる金額も高くなります。私は20年に1億円の不動産をフルローンで購入しましたが、この不動産に対する消費税が2007年の確定申告で当時は約275万円還付されました。昨年10月に購入した不動産においても同様に、約200~300万円還付されたと思います。非居住用の物件においては、消費税還付によって税金が戻ってくるため、出来る限り活用する方が良いと思います。また変わった取り組みとしては、広告スペースをマンションやビルなどのエレベーター内に作ることも行いました。地元企業などを対象に宣伝し、月々2万~3万円ほどの売り上げですが確実に収入に繋がった内容です。更に昨年には大阪市平野区内に、地上2階地下1階のビルを購入しました。地下1階は空手道場やヨガ教室などに利用されているスタジオ、路面店はパン屋が入居する一見何処にでもあるテナントビルでしたが、2階は民泊としての部屋が2つ用意されていました。最初の2フロアだけで借金が返済できる見通しが立っていましたので、あとは如何に民泊としての利用を増やすか。民泊新法が施行されてから、違法な物件も減少すると事前に見据えながら取り組んだことも影響し、現在は高稼働を維持しています。
望月 私からは、まず宿泊ニーズなどの踏まえた関西のマーケットについてと、当社の取り組みについてお話します。大阪府の観光統計調査資料において、昨年に大阪を訪れた訪日外国人客は1100万人、消費額も1兆1731億円でした。また2009年から26年に掛けての渡航者数の年平均増加率が高かった都市ランキングでも増加率24%と132都市中トップでした。当社としてもこの機会に関西エリアでの事業拡張を狙い、宿泊施設として「メゾンミラノ中津」の提供を開始。「メゾンミラノ中津」は、うめきた2期の再開発エリアに程近い中津エリアに立地し、1980年竣工の総戸数28室。うち14室賃貸中、稼動は約50%の不動産でした。当社はこの施設を購入し民泊物件としてリノベーションして、提供することを決めました。各テーマに沿ってデザインされた室内を用意し、また細かくスペースが仕切られていた閉塞感のあった間取りを広々とした間取りへ変更。快適に休息できる宿泊施設にし、ビジネス利用からグループ旅行までの幅広いニーズに対応できる部屋を用意しました。現在当社は全国規模で展開しておりますが、その場合に特定にエリアにおいては「供給過多なのでは」と言う声も聞きます。確かに一時よりも競争の影響によってか勢いが低下しているエリアも御座います。が、関西、特に大阪市はまだ需要ニーズが高いと思います。引き続き注力してゆきます。


懇親会も大盛況
パネルディスカッションの登壇者を始め、当日会場に集まった多くの参加者が懇親会まで残り交友を深めた。中には持ってきた名刺が切れかかり、焦ったビルオーナーの話も聞く。また今年は皆話に夢中になり、会場中央の食事に手を付ける隙もなかったとのこと。ビール片手に談笑する様子も見え、「ビル経営サミット」が大成功の内に終わった。この出会いをきっかけに、新たなビジネスチャンスやパートナーの創出に繋がって欲しいと思う。

来場者の声
昭和シェル石油 電力販売部 販売課 綿谷鮎子氏
 「初めて関西のサミットに参加いたしました。弊社は電力事業部を発足して10年余りですがメガソーラー事業にも注力しており、今回のパネルディスカッションの補助金制度についてのお話が大変参考になりました。新たな情報も得ることができ、関西コミュニティの雰囲気にも触れ、関西エリアでの今後の活動に生かせると思います」

東和企業 不動産部 チームリーダー 課長代理 松尾弘晃氏
 関西のビル経営サミットには何度か参加しております。今回も貴重なお話を伺いましたが、もう少し身近な具体的な話もあればと思いました。弊社グループは大阪市内に8棟のビルを所有し賃貸管理しております。今後の関西のオフィス供給状況や2020年施行の民法改正がどう影響するか等に留意していきたいと思います。

新栄不動産ビジネス 関西支店 副支店長 斉藤浩司氏
 第4部が見応えありました。特に山下硝子建材の山下隆之社長の話が実践的で、とても参考になりました。ビルオーナーの実績が問われる補助金についての話はありそうでないと思った次第です。もちろん、参加者がすでに知っている話もありましたが、それもジョーダンを交えて楽しく聞くことが出来ました。

大阪ガス都市開発 代表取締役社長 三浦一郎氏
 大阪の都市再生というテーマのもと、大阪市が推進するスケールの大きな行政側の取り組みから、当社と同じデベロッパーの立ち位置から目指す不動産開発やまちづくりに向けた戦略、そして中小ビルオーナーの経営アイディアと、イベントを通じて様々な立場からのイノベーションを感じることができました。

リーテック 営業部 係長 倉橋芳樹氏
昨年に続き、今年も「ビル経営サミットin関西」に参加しました。今年も興味深い話題が多く、特に不動産オーナーが登壇した第4部のパネルディスカッションは興味深い内容を多く聞けたと思います。個人的な要望としては年1回の開催ではなく、年2回の開催を希望します。それだけ有意義な講演会でしたので、お願いします。

ケイ・ツー・コーポレーション 係長 藤原麻希氏
 第1~4部まで全体を通して振り返ってみても楽しく、不動産においてタメになる話が多かったです。第1部は大阪の未来が楽しみになりましたし、第4部は登壇した方々のテンションが高かったので、思わず前のめりになって聞いてしまいました。このような充実したサミットを、今後も大阪で開いてもらいたいです。

パナソニックES内装建材 直販開発部 住岡継正氏
 残念ながら第4部のパネルディスカッションしか聴講することはできませんでしたが、各パネリストの中でも山下氏の補助金に関する話題は非常に興味深く拝聴させて頂きました。山下硝子建材様は以前から当社とお取引させて頂いており、上手に補助金を活用した建物の改修に対しては、共感する面が多々ありました。

パナソニック エコソリューションズ 近畿電材営業部 井野川浩氏
 今回はご紹介頂いたパネルディスカッションを始め、様々な視点からのセミナーを聴講することができました。やはり第4部の登壇者の皆様が多様な取り組みで、ビルなどの資産価値向上に成功していることが面白かったと思います。また山下氏の補助金を使用しての資産価値向上は、今後の参考になりました。

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