不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2017.07.10 17:41

リブマックス 都心に”100室以下”のビジネスホテルを展開 他社が手掛けない土地ターゲットに

 ホテルの建設ラッシュが続く中、業界で注目を集めている運営会社がある。不動産総合サービスのリブマックス(本社・東京都港区)だ。2006年のホテル事業開始以来、「ホテルリブマックス」ブランドによるビジネスホテルを全国で60カ所以上、今年に入って既に11カ所でオープンさせ、一大ネットワークを構築させつつある。同社の急激な成長の要因は、他社が敬遠する案件を獲得していることにある。

今年は既に11店舗 さらに40店舗を計画
 去る6月1日にオープンした「ホテルリブマックス横浜関内駅前」(横浜市中区)。JR「関内」駅徒歩3分に位置し、客室はシングル・デラックスシングル・ツインの3タイプで、全室に高級ベッドメーカーシモンズ製品を配置する。同施設は神奈川県で12店舗目、今年に入って実に6店舗目となる。
 リブマックスのホテル事業が拡大の一途を辿っている。特に都心部での出店が著しく、神奈川のほか、東京都内では20店舗、うち今年に竣工した施設は4店舗にものぼる。今後も出店ラッシュは続き、全国規模では40棟が計画されており、完成すれば100店舗を超え、全国でも有数のホテルチェーン店となる。
 同社のホテル事業は、多くが既存の建物のリノベーション・コンバージョンだった。しかし、ここ1~2年は新築案件が増えている。東京・神奈川などの都心部も例外ではなく、同エリアで新築を多くオープンさせているのは、アパホテルを除けばほとんど見かけず、同社の実績は突出しているのだ。
ニッチ分野を開拓し投資しやすい環境に
 「最近、都心部ではホテルにふさわしい土地がなくなってきており、あっても100室以下しか取れず、収益性に問題がある案件が増えてきました。そのため出店に二の足を踏む運営会社も多い」
 都内のデベロッパーはこう漏らす。東京・大阪・名古屋などの大都市圏では、相変わらず新規出店が相次いでいるが、条件の良い土地は限られてきている。建設費の高騰も相まって好条件で運営を委託できるホテル会社は限られている。
 殆どのホテル運営会社の出店条件は、立地はもちろん、1室当たり4・5坪程度で120室以上を確保できる建設容積があること。その点で需給バランスが崩れつつある。
 実はリブマックスはこうした案件を獲得してきた。「ホテルリブマックス」の殆どは100室以下だ。具体的には80坪程度の土地で、延床300~500坪を確保できれば運営を受託する。当然、建設コストもその分低くなり、施主にとっても投資しやすくなる、という訳だ。他社が敬遠する土地にホテルを出店する、これが同社の躍進の大きな要因となっている。
法人とのパイプ築く出張ニーズを獲得
 1998年に兵庫県芦屋市で設立された同社は、不動産仲介業を皮切りに賃貸住宅管理事業、マンスリーマンション事業、コインパーキング事業、ベンダー事業と業域を拡大してきた。ホテル事業は2006年からだが、これまで培ってきた住宅分野でのノウハウが生かされている。
 家具や備品は一括で安価に調達でき、施工も自社のネットワークを使うことで、他社よりもコストを下げて施工できる体制を確立しているのだ。
 一般的に100室以下のホテルは決して収益性は高くない。しかし同社の考えは、「ローリスクローリターン」。ホテル事業は社会情勢に大きく左右される。部屋数が少なければその分、空室リスクが軽減されるという考えだ。
 一方で集客にも同社は強みを持っている。ウィークリーマンスリー事業を通じて作り上げた5万社以上の法人とのパイプだ。出張ニーズを獲得することで、安定的な運営が可能になっているのだ。今後は顧客データの一元管理化により、更なる囲い込みを図っていく。
 リブマックスは今年、設立20周年の節目に当たり、本社も赤坂2丁目に移転した。既存の事業のほか、近年はリゾートホテルの開発・運営も進めている。従来のホテル運営にとらわれない同社の動向には、業界内外から注目が集まっている。

名古屋のNTT西日本土地所有地にベッセルホテルが出店
 「ベッセルホテル」、「ベッセルイン」、「ベッセルホテルカンパーナ」ブランドを全国18カ所で展開しているベッセルホテル開発(広島県福山市)の元には大手企業から出店要請が増えているという。同社は新たに2棟の出店計画を発表した。
 西日本電信電話東海事業本部(NTT西日本名古屋支店 名古屋市中区)が所有する「NTT笹島ビル」敷地の一部を「ベッセルホテルカンパーナ名古屋」として出店する。施主はNTT西日本アセット・プランニングで、設計はトムソーヤ・ジャパン一級建築事務所、施工は松井建設名古屋支店が担当する。竣工後にベッセルホテル開発が賃借し運営する。開業は2018年10月の予定。
 同ホテルは、複数の鉄道路線が乗り入れ、高速バスターミナルも隣接する「名古屋」駅桜通口から徒歩9分。敷地面積1635・82㎡、延床面積6846・30㎡。鉄筋コンクリート造地上12階建て。客室数はシングル、ツインを主体に、3名利用に対応した客室も設置し全233室になる見込み。家族連れやグループ旅行、国内外からの観光客のほか、ビジネスなど幅広い需要に対応する。
 客室をはじめとした館内では、NTT西日本の提供する様々なICTを活用し、「快適さや利便性を向上することで、他にはない『おもてなし』で宿泊者へ更なる満足体験を提供します」(同社)という。
 今回ホテルを建設するNTT西日本は、保有不動産を重要な経営資源と捉えており、成長戦略の一つとして不動産賃貸ビジネスを推進している。
 名古屋エリアでは市場性の高い「NTT笹島ビル」の利用方法を検討。結果、通信機械の入っている建物を残置し、オフィスのみから成る建物を撤去することで、敷地の一部を利活用することとした。このビジネス展開の提案募集を行ったところ、「当社がパートナーとして選ばれました」(瀬尾 吉郎社長)という。
 ベッセルホテル開発は一昨年、京都エリアでNTTグループが所有する土地に「ベッセルホテルカンパーナ 京都五条」を開業し好調を維持している。これが信用力を高めているのだ、
 同社の名古屋エリアへは、2018年11月開業予定の「ベッセルイン名古屋錦三丁目(仮称)」と合わせて2軒目となる。また、同社の最上級ブランドである「ベッセルホテルカンパーナ」ブランドとしては、沖縄県北谷町、京都市に続く3軒目となる。
 一方、東急建設(東京都渋谷区)との連携で出店するのは、「ベッセルイン千葉駅前(仮称)」(千葉市中央区)だ。開業は2019年2月を予定している。
 建物は敷地面積1026・71㎡、延床面積5439・14㎡、鉄筋コンクリート造地上14階建て。客室数全172室。
 同社の千葉県への出店は「ベッセルイン八千代勝田台駅前」に続き2軒目。「ベッセルイン」ブランドとしては、開業予定の「ベッセルイン滋賀守山駅前」、「ベッセルイン名古屋錦三丁目(仮称)」に続く10施設目のホテルとなる。

アパグループ 永田町にランドマークホテル
 アパグループ(東京都港区)は去る6月30日、東京都千代田区永田町にランドマークホテルとなる「アパホテル〈国会議事堂前駅前〉」(東京都千代田区)の起工式を行った。
 同施設は、東京メトロ千代田線・丸ノ内線「国会議事堂前」駅から徒歩1分など、5駅6線が利用可能で皇居とその周辺に司法・立法・行政各省庁の最高機関が集う場所に位置する。
 敷地面積1369・12㎡、延床面積8217・64㎡、構造・規模は鉄骨造地上17階、ダブル486室、ツイン12室、デラックスシングル1室、デラックスツイン1室の合計全500室。
 1階にレストラン、最上階に露天風呂付大浴場を併設する。設計は日企設計、施工はイチケン、デザイン監修は辻本デザイン事務所が担当する。開業予定は2019年2月。
 同社にとって最重要拠点である赤坂・永田町エリアで、「高品質」「高機能」「環境対応型」の「新都市型ホテル」のコンセプトを生かしながら、周辺環境に調和した、ハイグレードなホテルの建設を計画する。「赤坂・永田町エリアは司法・立法・行政の各省庁が集う日本の中心と言えるこの場所であるからこそ、当社はランドマークホテルの計画に踏み切りました」(元谷 外志雄代表)。

クレドインターナショナル 「客室出張スパ」で差別化図る
 ホテルスパ事業を展開しているクレドインターナショナル(東京都中央区)は「インルームスパ」ブランドで客室への出張サービスを展開している。現在、提携ホテルは800施設以上、1日300件、月8000件のニーズを獲得しているという。
 提供するサービスは、いわゆるアロマオイルトリートメントと、ネイルケアと呼ばれるもの。
 専用コールセンターを設置し、タクシーの配車システムを活用した自社開発のオンラインシステムにより、各拠点に待機しているスタッフが現地に赴く仕組み。英語や中国語、ハングル語などの外国語でも対応できる。クレーム等も同社が対応するためホテル側の手を煩わすことはないという。
 ホテル側にとっては、設備投資が必要なく、付加サービスによる集客力のアップと、コストをかけずに新たな収益源を確保できるというメリットがある。ホテルは売り上げが収益の10%が目安。例えば100室でサービス価格が1万5000円、稼働率100%の場合、収益は1万5000円になる。


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