不動産トピックス

クローズアップ 防災対策編

2010.07.05 15:39

 大都市を中心に各ビルの災害に対する対応力が求められている。特に昨今は地域の拠点となる大規模施設に対しての、防災体制の強化が叫ばれている。もちろんそれら大規模施設の所有者・管理者に限らずすべてのビルオーナーが日頃から災害に対する意識を強く持たねばなるまい。災害対策を3種紹介する。

テレネット 次世代型の緊急地震速報装置を販売
 テレネット(東京都中央区)は、簡易地震計(P波センサー)内蔵で直下型地震にも対応している次世代型緊急地震速報専用受信装置「ホームサイスモ」を販売している。
 同製品は工場、ビル、庁舎、学校向けに多数の実績があり、簡易地震計が内蔵されているため、気象庁の緊急地震速報と端末自身の地震計の2ルートから情報を取得し、高い感度のもとに地震を予知、報知が可能となる。
 また、ホームサイスモはノイズ(地震波以外の振動)と、地震波を区別する機能に長けているため、間違いによる不要な警報を防ぐことが出来る。
 「一般的なP派センサーは静かな環境に設置されれば地震波とノイズを識別する必要はなくなりますが、生活する場所に設置されればドアの開け閉めなどのノイズが混入することになるため不要な警報が発生しやすくなります。しかし、ホームサイスモの波形解析アルゴリズムは、防災科学技術研究所で長年培われたノウハウにより、地震波とノイズを正確に識別。内蔵されたDSP演算処理がノイズ識別の高速処理を実現し、これにより通常の緊急地震速報では間に合わない直下型地震にも対応することが可能です」(代表取締役 青山 貴子氏)

アール免震 地震時のドア枠の変形を防ぐ防災アイテム販売
 アール免震(東京都千代田区)は、自身発生時にドア枠の変形を防ぎ、逃げ道を確保し閉じ込めを防止するドア耐震システム「スライダー7」を販売している。
 同製品は、人工ダイヤモンドと同じ硬度の素材、ジルコニア系セラミックス製薄片版で、地震によって変形しやすいドアと枠の隙間に貼るだけの製品である。
 「スライダー7は、強い地震による衝撃と圧迫を受けても衝撃を受け止め、滑るようにドアを開放します。一般ドアの場合、地震の衝撃でドアの歪みが10mm前後になると、特に子供や年配者、女性の力では開けられないようになり、更に歪みが進み13mm以上になると、力のある男性であってもドアを開けることができなくなりますが、ドア枠とドアに貼りつけた縦28mm、横28mm、厚さ0・5mmの板がその状況を防止します」
 性能は(財)ベターリビングつくば建築試験センターにて、巨大地震を想定したドアの変形試験において優れた性能が実証されている。
 費用は2万円(税込み、材工共)である。

日本照明器具工業会 LED誘導灯の器具リニューアルを提案 大規模・高層の防火対象物を対象に 60分間タイプ誘導灯の設置義務拡大
 日本照明器具工業会(東京都千代田区)は、平成21年9月30日の法改正を受け、大規模・高層の防火対象物において60分間タイプ誘導灯の設置義務が拡大していることを啓蒙している。
 地震などによる停電の際、大型商業施設・高層ビル・地下街などでは屋外の移動距離が長くなり、避難に時間がかかることが想定されるが、今回の法改正では長時間の避難に対してより安全に誘導できるよう、不特定多数の人が利用する地下駅舎が対象に加わっている。
 60分間タイプの誘導灯の設置が必要な防火対象物は、①延面積5万㎡以上、②地階を除く階数が15階以上かつ延面積3万㎡以上③延面積1000㎡以上の3種に定められていたが、ここに新たに、消防長、または消防所長が避難上必要があると認めて指定した地下駅舎(乗降場、階段、通路など)が加わった形となる。
 また、これまで対象外となっていた平成11年以前に設置された20分間タイプの誘導灯にも、60分間タイプへの設置変更が義務づけられている。
 そこで同工業会は、古い誘導灯の器具をリニューアルすることで大幅な省エネを実現することを提案している。今までの誘導灯とほぼ価格の変わらない、LED誘導灯の導入なども提案しており、メーカーによって若干の違いがあるものの、80%~90%の省エネが期待できるという。
 改正法の施行は、平成22年の9月1日からで、猶予の期限は平成24年の8月31日までであるが、法施行の前に、規定以外の誘導灯を設置してしまった場合、また再び取り替えなければならなくなるため、注意が必要である。
 同工業会では、「省エネ」や「安全性の確保」などをキーワードに、業務用ビルに設置されている照明器具の、保守・点検・リニューアルを推進するキャンペーン活動を随時積極的に展開している。照明器具の質の向上を兼ねた照明器具リニューアルを強く推奨している。

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