不動産トピックス

今週の一冊

2010.07.05 15:41

戦後60年の世界経済を概観

戦後世界経済史 自由と平等の視点から
著者:猪木武徳
出版社:中央公論
発行:平成21年5月25日
価格:940円(税別)

 平成12年、日本において「資産の流動化に関する法律」および「投資信託及び投資法人に関する法律」が改正されたことにより、本格的な不動産の証券化が始まった。不動産証券化により、不動産市場は金融市場の影響を大きく受けることとなった。こうした市場の変化は、功罪両面を持ち合わせており、急速な市場拡大を可能にした一方、市場の不安定化も招いた。
 この10年間で不動産市場が大きく変化せざるを得なかった背景として挙げられるのが、経済のグローバル化を代表する市場システムの変化である。本書は第二次世界大戦以降の世界経済の変遷を日本人の視点から記述した一冊であり、その市場システムの動向をつぶさに追っている。
 しかし、単なる世界経済史の教科書にとどまらず、最終章では「資本主義の精神」にまで踏み込みんでおり、資本主義が持つ問題点を浮かび上がらせる。
 不動産業界にも本書のような本質的かつ体系的な視点が必要かもしれない。

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