不動産トピックス

今週の一冊

2009.09.07 11:15

不動産は「なぜこうなったのか」正しい認識を迫る

不動産マーケット再浮上の条件
著者:川口有一郎/三菱UFJ信託銀行不動産コンサルティング部
出版社:日経BP社
発行:平成21年7月20日
価格:2200円(税抜)

 いわゆるサブプライムローン破綻ののち、不動産業界、金融業界では不況といわれて久しい。しかし、問題がどこにあったのか、正しく認識しているだろうか。市場の急変を単に雰囲気としてのみとらえ、楽観的にいつか良くなる、などと思ってはいないだろうか。本書は不動産金融工学の権威である川口氏に三菱UFJ信託銀行の豊富なデータが加わって、不動産マーケットの課題を丁寧に洗い出してゆく良書である。
 本書に登場する具体的な破綻案件やマーケットデータによって明らかにされるのは、不動産マーケットにおける構造的ないくつかの問題点である。J-REIT、プライベートファンド、マンション投資家、オフィスビルオーナー、いずれの立場でも肌身で感じている事が詳細に解説されている。議論を積み重ねた上で、市況が「元に戻れないなら飛ぶしかない」という川口氏らが語る根本的な構造改革の提言は具体的かつ刺激に溢れている。まさに不動産に関わる全プレイヤーの必読書と言えよう。

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