不動産トピックス

クローズアップ FM編

2009.09.07 11:11

 市況の沈下が続き、現在のオフィスでは満足できないものの移転コストはかけられない…こうした状況を背景にファシリティマネジメント(FM)の需要が増えている。企業が今いったい何をオフィスに求めているのか?ビルオーナーといえど無関心ではいられない。今回は、こうしたFMをめぐる最先端の取り組みをお伝えする。

コクヨオフィスシステム 既成概念に縛られない仕事環境を提案 霞が関ライブオフィスをリニューアル
 空間コンサルティングを行うコクヨオフィスシステム(東京都千代田区)では年間四千件以上に上る施工経験から次世代オフィスを提案、9月3日にリニューアルオープンした霞が関ライブオフィスでは「Crash the RULE」をテーマとして公開する。
 同社が提案するのは、企業の成長を阻む執務環境についての固定観念の見直しだ。一般的にうたわれる「生産性向上」「成果主義」「見える化」「エコ対応」は、やり方によっては従業員に負担を強いかねない。同オフィスにはこれらを前向きに改善する35の解決手法が散りばめられている。
 例えば、入居ビルのスペックによらず導入できるよう開発された、自然光を活かす照明システムや、バッテリーを内蔵し電源などケーブルを不要としたオフィスシステムは、移転等のコストを削減しつつ消費電力を削減する事ができる。また固定座席を無くしたフリーアドレスをさらに進化させ、個人の行動パターンに応じた座席を効率的に選択するオフィス運用システム「Office DARTSⅡ」では省スペース化と社内の活性化を図ることができる。
 同社代表の尾崎氏によると、直近の市況沈下を受けて企業の省スペース化のニーズは増加しており、オフィス運用のコンサルティングや研修といった相談が増加しているとのこと。ライブオフィスは事前申込みで見学可能なので一度、訪問して業務改善のヒントを得るのも良いだろう。

ソフトクリエイト 企業に迫られる内部統制報告に対応 オフィス什器備品など資産を一元管理
 什器備品などのオフィス資産は、ともすれば管理がおろそかになりがちで無駄や不正の温床になるばかりでなく、会計上は固定資産として計上されるため監査の際に問題視されるケースがある。
 加えて、減価計算の変更やリース会計の変更など、資産評価に関わる会計基準の変更が続き、悩みを抱える経理担当は少なくない。日本版SOX法といわれ施行された内部統制の報告義務でも、資産の保全が重要視され購入から破棄までのプロセスを管理する必要がある。
 こうしたオフィス資産をめぐる状況の変化に応え、導入が進んでいるのが資産管理ソフト。ソフトクリエイト(東京都渋谷区)ではオフィス資産をデータベースで管理する「Assetment」を販売している。
 同ソフトでは、これまで目視で確認していた棚卸し作業を、予めバーコードを添付しハンディターミナルで読み取る事で行える。資産の情報はデータベース上に一元化され、「いつ」「誰が」「どこで」使っているか一目瞭然だ。リースやレンタルといった費用・期限の管理が面倒な物品についても契約情報までを登録することができ、部門別や管理者ごとの参照も可能だ。
 加えて、同社の座席管理ソフト「Zaseki7」との連動により、従業員のロケーションも同時に「見える化」でき、ヒトとモノという企業の二大情報を一元化。  規模の大きな企業ほどニーズがあるものの、手をつけられていない資産管理。同社では初期台帳の整備からのコンサルテーションを行っており初期導入時の負担も軽減できる。総務担当者の負担を軽減する、とヤフーや高千穂電気などといった導入企業からは好評を得ているとのことだ。

コスモスモア 業界初のカーボンオフセット付きFM 工事で発生したCO2を測定し排出枠を提供
 コスモスイニシアの子会社として、リクルートグループの移転工事を中心にスタートしたコスモスモア(東京都千代田区)では、豊富な実績を基にグループ外の案件も受注、現在、全国で150箇所・4万5000坪を超えるオフィスを管理する。
 そして、同社が平成21年よりスタートし、注目を集めているのが環境配慮型のFMだ。
 従来のファシリティマネジメントでも、スペースの効率化や廃棄物の排出を抑えることはできたが、カーボンオフセット付きのオフィス工事を提案したのは同社のサービス「いいことオフィス」が業界初。オフィス移転やレイアウト変更の際に排出される二酸化炭素を、同社独自の算定プログラムで算定、排出量に基づいて二酸化炭素排出枠を提供する。
 同社がカーボンオフセットを証明することで、企業側としてはオフィス移転やリニューアルの際にもイメージや雰囲気だけではなく、定量的に環境に貢献していることを社内外に公開することができる。この二酸化炭素排出枠についても、排出権の小口販売において多数の実績を持つPEARカーボンオフセット・イニシアティブと提携し、信頼性の高いものを提供している。
 一般的に、FM導入の際にうたわれるコスト低減や効率アップだが、実際には同じ工事を二度行うことはできないため再現性がなく定量的な効果測定は難しい。CSR(企業の社会的責任)の観点から、定量的に効果を公開できる同社のサービスは先進的といえる。

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