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estie 不動産業界におけるAI活用の支援を開始

2026.04.27 10:27

不動産AI活用の波広がる 導入で90%程度削減に期待
 estie(東京都港区)は昨年1月、不動産業界の事業者向けにAI活用を支援する研究機関「不動産AI Lab」を開設した。
 同社ではこれまでに「estieオフィスリサーチ」や「estieレジリサーチ」といった各アセットにおけるAIデータに基づいた建物情報、空室情報、賃料情報を提供することで、不動産投資・管理業の適正な業務遂行・意思決定のサポート機能を担ってきた。一方で業界特有の専門性や知見、技術を生かした支援の重要性は年々増し、さらに内製化したデータとノウハウの活用ニーズも高まっている。こうした背景を踏まえ、不動産業界での網羅的なAI活用を支援するべく、同ラボの設立に至った。
 不動産AI Labの特徴は主に2つ。ひとつは情報のインプットに関する支援。コロナ禍を境に様々な業界においてDX化が進み、デジタルによる業務の効率化等が実装されてきた。反面、不動産業界ではエクセルや個人メモへのテキスト記録といったアナログに頼るデータ管理がまだまだ主流。不動産AI Labではこうした非構造化データに着目した。企業ごとにフォーマットが異なる情報について、AIなどを通じてインプット。管理の簡易化、見直しやすさなどに貢献する。
 2つ目は独自のLLM(Large Language Model、大規模言語モデル)の業務への適用。昨今進化の著しい生成AIサービス基盤は、一般的な内容のアプトプットがメインであり、専門的な内容まで網羅しきれていないのが実情だ。そこで重要になるのが、利用者側がAIに不動産の知識や過去の事例といった文脈を学ばせること。専門性を携えたAIを実装することで、より実績に即した顧客への提案、業務の引継ぎなどにつながる。
 執行役員 クライアントソリューション統括本部長の櫻井秀介氏は「すでに大手不動産事業者・金融機関を中心にご支援を行っています。データのインプットに関しては工数50%以上などかなり高い水準で業務効率化、アウトプットの面では特定の資料作りに要する時間を10分の1程度に抑えるほどの事例も期待できそうです。つまり案件数を10倍生み出せる可能性があるということであり、工数削減や人的コストの削減で生み出された時間を本来行いたい創造的で売上の向上につながる活動に充てることができます」と話す。
中小企業の活用ビジョンも認知ギャップの転換が鍵
 「不動産AI Lab」は設立から1年の現時点で、三井不動産(東京都中央区)や東急不動産(東京都渋谷区)、日鉄興和不動産(東京都港区)等の大手デベロッパーとも協業。オフィスのリーシング業務などで活用が進められている。一方、中小規模の企業へのDX導入にはIT人材の確保や管理の煩雑性などの障壁がある。櫻井氏は今後について、不動産業界全体、ならびに行政や国などサービスの裾野を広げていきたいと意気込む。
 「今の20~30代中盤ぐらいまでは業務内でのAI活用が一般的になると予測されています。これからはAI人材の採用よりもAIを前提とした業務や働き方のベースを整えていくことが必要だと感じています。『不動産AI Lab』としても、現在大手企業を中心に支援を進めているなかで裾野を広げていきたい。中小企業様向けの文脈としては、内製化のようなゼロから何かを作り出す支援より、汎用的な特定業務の課題解決が得策だと考えています」。




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