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Idein フィジカルAI業界の勉強会を開催 50兆ドルの市場規模見積もりも 人手不足で期待高まる
2026.04.27 10:25
Idein(東京都千代田区)は3月18日、記者向けにフィジカルAIのオンライン勉強会を開催。代表取締役の中村晃一氏が登壇し、フィジカルAI業界の動向や課題感について話した。
フィジカルAIとは現実世界において知覚、判断を下し、物理的なアプローチを加えるAIのことを指す。ネット上などのサイバー空間でのみ完結する従来のAIとは異なり、また連携するハードは二足歩行ロボットに限らない。センサーやカメラなど種類が多岐にわたることも特徴的だ。
近年は世界的に大きな経済効果が見込まれる分野として期待が高まっている。米国に本社を置くNVIDIA(エヌビディア)CEOのジェンスン・ファン氏が、「フィジカルAIについて50兆ドル(7500兆円)規模の市場を見込んでいる」旨の発言したことは各国で話題になった。多くの業種で人手不足が進む昨今、人間の仕事をそのまま代替できるポテンシャルを秘める画期的なトピックスでもある。
日本では本田技研工業(東京都港区)がかつて二足歩行ロボット「ASIMO」を開発したように、間接制御が伴うあらかじめ決められた動きの分野においては世界でも有数の技術を保有していた。一方、現在の国内市場において大きな課題を抱えているのも事実だ。中村氏は日本のデジタル赤字がすでに過去10年で約3倍に拡大し、2023年中で5・5兆円に達していることに言及しながら今後を危惧した。
「フィジカルAIの革新はハードウェアではなくてソフトウェアにかかっています。日本は『デジタル敗戦』の最中にあって世界と比べてソフトウェアが弱い。ハードウェアが優れているから勝てる、という誤解を正さずに国や民間企業を運営していくと、日本のデジタル敗戦は加速する可能性があると考えています」(中村氏)。
日本がフィジカルAIの発展のためにできることは何か。中村氏はソフトウェア開発の先駆事例として任天堂(京都市南区)をあげた。同氏は任天堂の強みについて、グラフィックスの品質やスペックよりもUXとエコシステムにあるのではないかと分析。さらに基盤を整えるために実装現場を獲得することが大切であると分析した。
「今色々なロボットのデモが行われていますが、実際の産業の場への大規模な実装はこれからです。一方で日本ではあらゆる現場で人手不足が進んでおり、フィジカルAIを実際に導入しながら補わなければならない部分もあるかと思います。私としては、実装のなかで、膨大なデータ、実際の運用のためのプロセス等の積み重ねによるノウハウの獲得を通し、世界に先んじて日本が先行して蓄積できる可能性を秘めていると思います。ソフトウェアのAIもロボットも、作るよりも『動かし続けること』自体が難しい。ここのノウハウを先行で蓄積できることがとても重要ではないかと考えています」。



