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タイルカーペットのリユース事業をスタート コスト削減やSDGs追い風に

2020.07.20 15:23

 タイルカーペットのリセット施工を展開するエムシープランナーズ(東京都江東区)では、原状回復工事などで廃棄されるタイルカーペットのリユース事業に乗り出す。
 新品への貼り替え検討で廃棄予定だったタイルカーペットを丸洗いリセット洗浄する事で再利用を促進してきた。廃棄物削減とCO2削減の効果とともに新品に交換するよりもコストが割安に済むことから、ビルオーナー・テナント双方から引き合いが多くある。代表取締役の畠山文明氏は「直近では大手デベロッパーからも施工をご依頼いただきました」と話す。コスト削減の妙味に加えて、企業のSDGsへの関心の高さは同社にとって追い風だ。
 一方で畠山氏は「事業を継続するなかで、この成果をより広めていくには新しい施策が必要だと感じていた」という。同社はこれまでは現場での作業を基本としていた。そのため1日で洗浄できる面積が限られており、なかには「お客様の工期と調整がつかず施工が出来なかった案件もあります」。
 そこでより認知度を高め、事業を拡大していくための新規事業に着手。原状回復などで廃棄を余儀なくされるタイルカーペットを引き取って再生しリユース品として再度流通させる。現場からタイルカーペットを引き取って、江東区北砂の本社に搬入。そこでリセット洗浄を行うことで現場での作業よりも量をこなせる。本社は今後ショールームとしても機能させていく。またECサイトなどでの流通も行う予定。リユースカーペットの名称は環境保全や社会貢献という意味の「エシカル」と「リユース」をかけあわせて「エシレ」と名付ける。
 「新型コロナウイルスの影響もありますので、丸洗いリセット洗浄した後、除菌処理を施して真空パックする設備も導入しました。リユース品ですが衛生的で、安全安心にご利用いただくことができます」(畠山氏)
災害被災地での活用もNPO法人とタッグ
 オフィスで利用されることの多いタイルカーペットの新しい活用法も探す。
 同社では被災地支援のNPO法人と連携。NPOを通じて「被災した家屋の復旧に役立てて欲しい」と無償でタイルカーペットの支援を行っている。
 「被災者には様々な補助金が交付されますが十分ではなく、家屋の修復に掛ける費用も抑えたいのが実情です。そんな中でタイルカーペットを敷く事でコストを掛けずに住めるようになったと喜んでいただいてます」
 現在は昨年の台風19号で被害の大きかった長野市と宮城県丸森町で複数の家屋や被災地区の公民館などに使用されて好評を博している。
 このような被災地での活用についても今後広げていきたい考えだ。「現在、各自治体様に避難所でのタイルカーペットの活用を提案しています。フローリングの床ではハウスダストの舞い上がりが避難生活者の健康を脅かしています。タイルカーペットはフローリングと比較してハウスダストの舞い上がりが10分の1です。他にも転倒事故防止や防音効果などで避難所の居住環境向上に効果が有ります」
 今後も様々な用途での活用を提案していくことでタイルカーペットのリセット施工の認知度を広げていく考えだ。

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