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北辰不動産 「COCOPLUS本駒込」竣工 複合デザイナーズビルでベンチャー等にターゲット

2020.07.20 15:24

 北辰不動産が「本駒込」駅近くに複合用途のデザイナーズビルを開発した。ターゲットはベンチャーや高収入単身者、SOHOなどを見据えた。エリアの特性も取り込み、1~2階には重飲食も入居可能。不整形な敷地を活用し、幅広いニーズを取り込んでいく。

 北辰不動産(東京都港区)は本年6月に竣工した複合用途デザイナーズビル「COCOPLUS本駒込」の内覧会を開催した。東京メトロ南北線「本駒込」駅から徒歩1分に立つ地上10階建て、1、2階は店舗、3階は事務所、4階から10階までは住居(賃貸)。
 「ここにどのようなビルを建てるか検討した際に、本駒込駅から徒歩1分という好立地ながら、都心の狭小地にありがちな不整形な敷地という課題もあり、総合的に判断した結果、住宅地の雰囲気が残る一方で、商業系の将来性も考慮し、現時点では店舗や事務所のリーシングが難しいことも覚悟の上で、店舗、事務所、住居の複合ビルという選択をしました」と語るのは取締役であり、開発にも携わったマーケティングオフィサー・広告クリエイティブディレクターでもある藤井克己氏。
 本駒込駅周辺は白山エリアに比較すると商業系開発の途上にあり、多様な業種が出店できるように、デザイナーズビルでは敬遠しがちな焼肉店などの重飲食にも対応できるよう1階、2階に排煙ダクトも組み込んだという。3階の事務所は、「本駒込はクリエイティブオフィスを構えるエリアではない」という古い常識の打破にも挑戦、IT系企業や、大手企業のサテライトオフィスなどを想定したデザイナーズテイストの内装とし、賃料の高い渋谷エリア等を避けるニーズや、池袋周辺から流れてくる東大生等の学生ベンチャー支援のスタートアップ企業等、クリエイティブオフィスを求めるテナントニーズをターゲットとした。
 「都心の中小ビルでは地型が悪いケースが多いです。その結果、住居では人気のある間取りプランにしづらい、といった弱みを生むことも避けられません。私は、強みばかりの物件などはないので、弱点を逆に強みにできるかどうかが中小ビル開発の肝だと考えています。『COCOPLUS本駒込』は1フロア約40m2と、住居としては一番難しい『ミッドサイズ』ですが、通常はDINKsのような夫婦等がメインターゲット。しかし狭小地開発の宿命で、今回は、玄関ドア直結の洋室となり、そこにベッドを置きたい一般的なニーズとマッチしません。大多数のニーズに合わない弱点、それを逆手に取り、敢えて絶対数がDINKsよりも少ない高収入単身者やSOHO需要をメインターゲットにすることで、弱点を強みに変えて差別化するという、万人ウケ狙いではない新時代の不動産開発にチャレンジしています」とのこと。
 今回は、それを一目でわかるように、住居フロア9階では「with WORK」という名のステージングで、セレクトショップ「WORKAHOLIC」が監修した高性能ワークチェアやデスクを置く一方で、「undrop.inc」の協力を得て、遊び心満載のアウトドアグッズで室内全体をステージングした。また、3階のオフィスでも映像資料「オフィスの歴史」が流されたり、undrop.incによる壁面イラスト画像の掲示等、独自の工夫がみられる内覧会となった。
 「ブランディングというと多額の広告費用がかかるものですが、不動産では東京の限られた仲介業者さんにいかに好印象で覚えてもらうかで十分効果があります。不動産はやり方次第で費用対効果の高いビルのブランディングは可能というのが私の持論です。」(藤井氏)。
 ステージングの好評につき、家具付き賃貸プランも追加し設営も延長予定(予告なく終了する場合も有)。

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