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野村不動産 「H1O日本橋室町」11月開業

2019.10.15 14:57

従業員10名未満の企業向けサービス付き小規模オフィス
 個人や小規模企業の利用に適したシェアオフィスやコワーキングスペースの普及が進む中、従業員10名未満の企業に特化したサービス付き小規模オフィスを野村不動産が開始する。名称は「H1O」。2023年度までに15拠点の開設を目指すとのことだ。

 野村不動産(東京都新宿区)は11月1日、従業員10名未満の小規模オフィスニーズに対応した新しいオフィスビルブランド「H1O(エイチワンオー、Human First Office)」の第一弾「H1O 日本橋室町」を開業する。これに先駆け今月9日、プレス向け内覧会を開催。冒頭に常務執行役員 都市開発事業本部長の黒川洋氏が登壇し、近年のオフィス環境の変化やスモールビジネスにおける課題、また野村不動産がこれら課題に対し、「H1O」で応えてゆく内容などを述べた。
 現在従業員10名未満の小規模企業は全国で30万社以上あり、全企業の約8割を占める。成長の初期段階にある小規模企業がフレキシブルかつ快適に活用できるオフィス需要は年々高まりをみせる一方で、現状は供給不足。また昨今の「働き方改革」により効率的で生産性の高い働き方が求められているが、1人ひとりの労働時間は圧縮する一方で、個々の生産性向上やイノベーション創出など業務の付加価値向上も同時に求められている。しかし労働生産性は、大企業が向上させているのに対して小規模企業は低下。差は広がり、大企業に比べ従業者数が圧倒的に少ない小規模企業では、従業員の欠員や生産性低下の影響は甚大だ。
 同社はこれら課題に対し、従業員10人未満の「U―10企業」に、従来のオフィスでは整えられないような最新設備・サービスを導入した新しいオフィスビルブランド「H1O」を用意した。黒川氏は「スタートアップ企業やフリーランス特有のオフィスニーズを徹底分析し、ビジネスを加速する様々な機能・役割を備えたサービス付きオフィスです。IoTによるオフィス利用状況の見える化や生体認証システムなどの最新テクノロジーによる快適性の提供、Well―beingな環境を提供する共用ラウンジ、セキュアかつフレキシブルな個室空間、おもてなしをサポートする有人レセプションサービスなどを特長とし、小規模企業における『個』のポテンシャルの最大化に繋げます」と語る。
 注目は24時間365日利用可能な共用ラウンジ。個人作業や打ち合わせ、リフレッシュといった様々な用途で利用できる。コーヒーマシンやオフィスコンビニなどの各種アメニティサービスが充実。ヘルシーな朝食の無料提供も予定しており、今後は「H1O」のテナントによる交流会の場としても定期的に活用する計画だ。
 入居者用の個室は、プライバシーとセキュリティに特化。個室扉に生体認証システムを設置し、部外者の侵入を防ぐ。入館履歴を記録管理し、万が一個室内へ部外者が侵入しても、室内に設置した人感センサーで警報を発し、直ちにセキュリティセンターへ異常を通知する仕組みだ。一方で間仕切り壁の撤去も可能で、拡張性に優れたフレキシブルな個室空間でもある。1区画の面積は約20㎡(4~6名利用)を平均とし、最大約40㎡(8~13名利用)まで調整ができる。個別空調や家具セレクトにも対応でき、利用期間も最短3カ月から利用可能だ。
 今後の供給計画は、同社が展開してきた中規模オフィスブランド「PMO」とは異なり、一棟新築開発型だけにとどまらず、リノベーション型、PMO・大型ビル内へのフロア単位開設型等、多様なスタイルでの事業展開を予定。また、供給予定エリアは東京都心5区(渋谷区・新宿区・中央区・千代田区・港区)を中心とし、2023年度までに15拠点の開設を予定する。

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