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不動産テックセミナーイベント開催

2019.09.16 12:01

 弁護士ドットコム(東京都港区)が提供するWeb完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」とマイナビ(東京都千代田区)が運営する賃貸住宅情報サイト「マイナビ賃貸」は9月5日、「JR新宿ミライナタワー」にて「不動産業界向け経営セミナー:令和時代を生き抜く、不動産テック活用術」を開催した。
 2019年10月より「IT重説および重要事項説明書等の書面電子化」の社会実験が開始されることで不動産業界でのペーパレス化、IT導入が大きく進むと言われている。
 今回のセミナーでは不動産会社を対象に、不動産テックに対する入居者の需要、テクノロジー導入の課題や活用のメリット、実際の活用事例を経営目線で解説。不動産テックにより、業界は今後どのように変化していくのか、その未来を語った。
 セッション2で「IT重説×電子契約で変わる 不動産会社の働き方」と題してセミナーを行った弁護士ドットコム取締役クラウドサイン事業部長の橘大地氏は近年の日本における電子契約サービスの潮流について解説。その上で同社が展開している「クラウドサイン」サービス開始時の「ハンコ文化」脱却の苦労から現在では「紙の契約書が届くと締結の仕方がわからないので、クラウドサインで送ってほしい」というユーザーが出てくるまでになったという事例を紹介。続いて、不動産会社の店舗にて「来店カルテ、内見の申込書、審査通過後に締結する賃貸借契約書、それぞれに同じ項目を何度も記入しなければいけない」という課題を挙げ、「店舗での滞在時間を延ばしたり、再来店を促したりするのは貸す側と借りる側の双方にとって無駄であり、選ばれる店舗になるためには今後電子契約を使うことが優位性となるはずだ」と語った。
 その後、ハウスコム代表取締役社長執行役員の田村穂氏、不動産テック協会代表理事の武井浩三氏を交えてパネルディスカッション。田村氏は「無人店舗など、先進的な取り組みをしている他不動産会社への危機感」から「AIチャットボット等の導入により、お客様の負担や従業員の業務時間の削減にもつながっている。しかし、一番大事にしたいのは対面でのサービス。自動化できる作業はAIに任せて、対面サービスでの強みを伸ばしていくつもりだ」と今後について言及した。
 不動産テックは今後業界に浸透していくことになるだろう。そのなかで各社はどのように受け入れていくか。対面サービスもないような無人店舗、あるいはネット完結型へと進んでいくか、あるいは付加価値を生み出す対面サービスが人気を博すか。不動産業界は今後、二手に分かれることになりそうだ。

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