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【特別寄稿】株好きビルオーナーのための投資指針 東証、「上場基準厳格化改革」を読む

2019.09.16 12:02

兜町の住人が仕掛ける「営業法」

 東京証券取引所の「上場基準厳格化改革」の議論が最終段階を迎えたとされる。が議論のメンバーの一人である野村証券グループの1社:野村総研の社員がその内容を漏洩して以降、諸々の憶測の類は語られても「内容」については掴み切れない状況が続いている。
 そうした中、以下の様な2点の見方が兜町の住人の間で日々強まりをみせている。 ★東証は、市場を「プレミアム市場」「スタンダード市場」「エントリー市場」の3部構成にする方向。
★プレミアム市場上場の要件基準は、高い流動性と知名度。「時価総額500億円超」企業が最有力。
 決して昨日今日出てきた論ではない。が株式投資関連の雑誌などは「500億円前後の当落線上にある銘柄に投資妙味あり」とする記事を書いている。兜町(しま)を歩いても「500億円超は、説得力がある。前後の銘柄で時価総額上昇に繋がる施策を見せている企業を、我々も投資妙味株ありと捉えて営業を強めている」とする声が多い。
 何かと話題を提供するソフトバンクグループ(以下、SBG)の元締め:孫正義氏は「プレミアム市場/時価総額500億円超」論をどう受け止めているか、と問われた。アスクルとの間でネット通販「ロハコ」の主導権を巡りVS関係を強めていたヤフーの、ソフトバンクの子会社化が明らかになった5月過ぎのことだ。ヤフーはSBGからすると「孫」会社に当たる。孫氏は「500億円論」の可否には触れず「SBGのグループの上場企業は、常に最上位市場の銘柄でなくてはならない」としたという。
 なんで、こんな話を記したのか。SBGの1社に、ソフトバンク・テクノロジー(以下、SBT)がある(東証1部)。同社の本稿作成時点の時価総額は、475億円余り。「500億円基準」が適用されれば、当落線上の注目銘柄と考えたからだ。具体的にSBTの社名こそ聞かれなかったが、シフトバンク上場後に「株価動向への不満」を口にした孫氏のことである。SBTをプレミアム市場銘柄にするための施策を講じてくる、と読んだからである。昨今のSBTの株主(投資家)対応策は、以下の様な流れにある。
*数期にわたり、自社株買いを継続している。
*2017年6月1日を基準日に1対2の株式分割を実施。
*18年3月期の配当は15円と分割を勘案すると前期比と同じも、19年3月期は5円増配の20円配当としている。
 ちなみにSBTの株を投資対象として薦めるわけでは決してないが、時価(2000円トビ台)に対しアナリストの予想株価を示すIFIS目標平均株価は700円近く上値にある。(匿名)

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