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訪日観光客4000万人時代に向けて

2017.09.25 10:19

民泊の手引き「ハウスルール」を開発 文化・マナーの違いを乗り越えるツールに
 昨年、2000万人をゆうに超えた訪日外国人。2020年4000万人の目標に向かって官民一体となって受け入れ体制の整備を急ぐ。その一環として今年6月には住宅宿泊事業法(民泊新法)が成立。来年早々には全国での合法的な民泊運営が可能になろうとしている。一方で、英会話能力や飲食店、商業施設、観光地での多国語表記、文化・マナーの違いを埋める作業は後手に回る。その動きを挽回するものとして、蒼い空(東京都中央区)では新サービス「結 ハウスルールパック」の提携を先月より始めている。

 「民泊や簡易宿所、ゲストハウスなどで近隣住民からのクレームとなるのは宿泊客の騒音やゴミの出し方、また宿泊する部屋がわからないなどといったことに起因します」
 このように指摘するのは蒼い空(東京都中央区)の児玉千恵氏だ。前職は旅行会社でマーケティングに従事し、昨年独立を果たした。メーンの事業はマーケティングや企業PRだが、訪日外国人が増え続けるなかで、なかなか日本人と外国人の間でのマナーや生活習慣などの認識の溝が埋まらないことに疑問と商機を見出した。
 ハウスルールの単独展開を手がける会社は少ない。「民泊代行会社が管理とセットで提供しているものがほとんどで、ハウスルールを単独で提供しているのは調べた限りでは2社存在する」と児玉氏は話す。民泊代行サービスとセットとなれば、選ぶ基準はハウスルールの質ではなく、代行料金に目がいきがちとなってしまう。だが、外国人にも理解できるように英語で書かれたハウスルールが例えば機械翻訳だったら心もとない。
 「機械翻訳の精度は年々向上していますが、直訳すると意味が通じなくなってしまうのが日本語と英語の間に横たわる難しさだと思います。ハウスルールを提供している企業がどのレベルでの質を保っているかはわかりかねますが、先ほどのようなクレームが多いことは翻すと、宿泊する外国人観光客の方にホストや代行会社が十分な説明をしきれていないのが原因ではないかと思います」(児玉氏)
 そこで今回の「結 ハウスルールパック」ではホストから宿泊施設やアクセスに関して細かなアンケートをとり、宿泊する外国人観光客にとってわかりやすい仕様としている。そのルールブックのなかには施設内に備え付けの備品などについても記載。「宿泊者が快適に過ごしてもらうためであると同時に、万一の盗難に備えてホストが一目でわかりやすくするため」(児玉氏)と、セキュリティ対策の一環となることも強調する。
 また「結 ハウスルールパック」では築地場外市場の飲食店を中心とした観光マップもつけている。「もともと前職のオフィスが築地近くにあったことで、個人的にも好きな場所であったこと」が高じて制作されたもの。飲食店10数店舗への取材を行っていて、観光案内の役割も果たす。
 「このような観光案内マップをつけたハウスルールのパッケージは他社では見当たりません。これが導入するホストにとっても、観光するゲストにとっても付加価値となれば嬉しい」(児玉氏)
 訪日観光客増加の流れは2020年に開催される東京五輪以後も、継続していく流れになるとの見方が多数を占める。そのなかで問われるのは経済効果ありきではなく、日本での受け入れの体制が整備されてるか否かだ。海外からはるばる来日し、存分に楽しんで、新しい日本のファンとなる。「結 ハウスルールパック」はそのストーリーを紡ぐキーサービスとなるのではないか。


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