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田中衡機工業所/ブルースタジオ 「安心感」を重視した既存ビルリノベーション事例

2013.12.16 16:39

 計量器メーカーの田中衡機工業所(新潟県三条市)が都内に所有するビルのリノベーションが完了し、12月11日には関係者向けのオープニングレセプションが開催された。
 JR「水道橋」駅から徒歩4分の千代田区三崎町に立つ「田中衡機ビル」は昭和62年竣工の7階建てで、延床面積は1115・66㎡。2階部分を同社オフィスとして使用し、3~7階が貸室となっている。今回のリニューアルは1階部分を中心に行われ、ファサードの壁と駐車場を撤去してエントランスホールとラウンジを設けた。エントランスホールは「都市のポケットパーク」をコンセプトとした開放感あふれるつくりで、正面にはオーナーの主業である計量器をモチーフにしたウォールアートが設置されている。駐車場などの直接的なメリットをもたらす設備をあえて無くし、エントランスを広くとることでプレミアム感を演出する手法は新築ビルでは見られるが、小規模築古ビルのリノベーション手法としては新鮮といっていい。また新たに駐輪場を設け、昨今増加している自転車通勤者に対応するなど昨今のニーズも取り入れている。しかし設計を手がけたブルースタジオ(東京都中野区)の専務取締役・大島芳彦氏によれば、今回特に重視したのが「安心感」だという。
 「百年超の歴史を持つ企業が保有する土地には、歴史に裏付けられた安心感があります。投資系オーナーが保有する土地には創出できない安心感です」と同氏が話すとおり、今回のリノベーションでは計量器をモチーフとしたアートやビル名など、オーナーの顔が見えるビルづくりを心がけたという。坪8000円台でも入居が決まらなかった同ビルが、今や1万3000円で問合せが殺到しているという事実が、コンセプトの確かさを証明している。そして実は、貸室の内装はごく標準的なもので目新しさはない。リノベーションにおける選択と集中の重要性をあらためて実感させられる。


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