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<新機軸事業>日本商業開発 建物持たず土地だけ貸す不動産開発事業とは 郊外型商業施設に強みを発揮 マーケット環境の変化に対応

2008.11.17 17:04

 土地を買い、建物を開発し所有して賃貸、もしくは売却する。これが一般的なデベロッパー業である。しかし日本商業開発は、土地を購入し物件開発を行うが、建物を所有せず、土地を貸して長期安定収入の見込むというビジネススタイルが大きな特徴だ。
 平成12年4月、商社系デベロッパーである兼松都市開発出身者の松岡哲也氏により設立された同社は、資産所有者に対して適切なアドバイスと提案を行い、企画・開発からサブリース・運営・管理業務など網羅的な業務を提供することで実績をあげてきた。
 現在は都市周辺の人口約30万人中核都市の住宅街におけるスーパーマーケット等の生活利便施設など、契機に左右されにくい商業施設開発を主軸としている。しかし、初期開発物件である5階建の郊外型商業施設 「アル・プラザ栗東」ではメインテナントであったマイカルが破綻、代替テナントの誘致に苦労をし、また賃料の減少を余儀なくされた苦い経験をした。そして、その経験があるからこそ、現在のビジネスモデルがあるのだと、日本商業開発の専務取締役東京支店長である永岡幸憲氏は話す。
 「リスクを最小限にして、かつ利益を上げる投資を行うにはどうしたら良いかと考えた結果が、修繕費や再投資コストがかかる施設は持たないということ。『土地だけ買って土地だけ貸す』という、つまり地主業でした」(永岡氏)
 具体的な事業内容は厳選された土地を仕入れ、テナントとの長期の定期借地契約にして土地だけを賃貸するというもの。最終的には、日本商業開発が土地をマンションや戸建て分譲で売却し、資産の組み換えを行っていく。
 テナントは、減価償却が可能な建物は所有したとしても、バランスシート上重くなる土地は所有したがらない。また20年も経過すればマーケット環境、店舗ニーズや交通事情等も変化するからである。
 今年に入り、国内有数の建設会社である長谷工コーポレーションと合併会社「新日本商業開発」を設立。日本一のマンション建設の実績による物件情報に強いネットワークを持つ長谷工との連携により魅力の高い立地の商業開発を行っていく。

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