週刊ビル経営・今週の注目記事

毎週月曜日更新

ヴィスのグループ会社として始動 コンサルティング強化・新規サービス開発へ

2022.06.13 11:09

 ヴィス(大阪市北区)はデザイナーズオフィス事業等を展開し、東証スタンダード市場に上場する。4月1日、子会社としてワークデザインテクノロジーズ(東京都港区)を設立。代表取締役社長にヴィス常務取締役の金谷智浩氏が就任した。新会社ではコンサルティング事業の強化と、プラットフォーム開発に取り組む。オフィスのあり方が急速に変化する中で、更なる事業成長へのアクセルを踏む。
2004年ヴィスへ参画 ビジネスモデル確立の中心に
 ワークデザインテクノロジーズ代表取締役社長の金谷智浩氏は2004年に入社。前職は大手就職・転職情報会社に勤務。その後、前職時代の先輩からの誘いや「顧客志向な会社」と直感したこともあり、ヴィスへ参画した。
 現在のヴィスの主力であるデザイナーズオフィス事業は金谷氏入社年よりスタート。実績は7000件を突破。入社以来、事業の成長へ注力してきた金谷氏にとって「育ててきた」という自負がある。同社事業に支持が集まる要因は、そのコンサルティング力にありそうだ。
 「一般的なオフィス設計・デザインは、完成したら関係が途切れる、売り切り型に近いものが多くあります。ヴィスでは完成した後も、オフィスを利用される社員様の使い心地や働きやすさをリサーチしてアップデートすることに重点を置いてきました」

オフィスづくりを一歩先へ ビッグデータ活用にも着手
 今回設立した新会社ではコンサルティング力の更なる強化と、オフィスづくりにイノベーションを起こすプラットフォーム開発を手掛けていく。
 金谷氏は直近のオフィスについて「トレンドは多様化していて、業種業態や会社の規模感によって大きく異なっています」と指摘する。ただそのなかでも企業側がオフィスに求める役割は固まっている。社員ひとりひとりの生産性を向上させることだ。
 「働きやすさや使い心地という点ではオフィス利用開始後に実施しているアンケート調査のなかで把握して、その後のアップデートに活用してきました。それ以外にもオフィスで快適に働いていくためには、例えばWi-FiなどのICT環境や会議室からの音漏れ防止(サウンドマスク)などが重要になってきます」
 オフィス内でWi-Fi環境が場所によって異なるということはよくある。これは他の電波との兼ね合いや、壁などが影響して起こる。「ヴィスグループではネットワークをはじめITのスペシャリストも揃っています。レイアウトや家具だけではない点からもオフィス構築のお手伝いができることが強みのひとつです」(金谷氏)。
 また昨今ではビルのバリューアップにも取り組んでいる。ヴィスでは昨年、心斎橋に専有オフィスやコワーキングスペース、シェアオフィスなどが揃ったオフィスビル「The Place」が誕生。今後の拡大が注目される新規事業のひとつであり、今年5月には「The Place Nagoya」をオープンしている。このような実績がきっかけとなった。今年3月、東急不動産が大阪市中央区にて開業する新築賃貸住宅「BPRレジデンス大阪本町Q」内のコワーキングラウンジのデザインを担当したと発表。さらに大和ハウス工業初のオフィスビル「Vianode SHIN―OSAKA(ヴィアノード新大阪)」の1階共用ビジネスラウンジ、3階シェアオフィスをデザインしたことも明らかにした。
 ヴィスでは今期よりこれまでの「デザイナーズオフィス事業」、「VISビル事業」の事業セグメントを変更。「ブランディング事業」と「コンサルティング・ワークスタイリング事業」と改めた。前者ではオフィスデザインやWEBデザイン、グラフィックデザインなどを実施。後者では従業員のエンゲージメント向上支援やオフィス最適化支援、ビルのバリューアップや「The Place」の運営などを行っていく。企業や社員のオフィスに求める機能の実現や、賃貸ビルの価値向上に向けての体制を整えた。
 ワークデザインテクノロジーズはこのようなオフィスづくりにイノベーションを起こすようなプラットフォームの開発を検討している。金谷氏は「まだ詳細は明かせませんが、これまでの多くのオフィスデザインの実績をデータとして活用していくものになる」と話した。
 なお6月27日にはヴィスの新体制がスタートする。中村勇人代表取締役社長が代表取締役会長に、そして金谷氏が代表取締役社長に就任する予定。取り組みへの注目度は高まりそうだ。

PAGE TOPへ