不動産トピックス

クローズアップ リサイクル編

2019.12.16 15:14

循環社会の時代到来 リサイクルの新展開
 オフィスにあるリサイクル品といえば、再生紙がまず思い浮かぶだろう。新聞紙や書籍、不要の書類などを古紙としてまとめておけば、処理業者の手により、再生紙として戻ってくる、というパターンは「リサイクル」であり環境に優しい活動である。  だが現在は、はるかに進んで「循環社会」という言葉さえ生まれている。すなわち、不用品の再利用というよりは、「モノがいろいろな使用方法で巡りまわる社会」を「循環社会」と表現し社会の中で役割を、本来の役割とは一風変わった、「モノの利用価値」を発見し、リサイクル用品として新たに使用している取り組みがある。  パナソニック(大阪府門真市)とOpenA(東京都中央区)が共創し、工場の排出物を再活用したアップサイクルプロダクトがそれだ。三菱地所レジデンス(東京都千代田区)が手掛けるシェアオフィス「ザ・パークレックス天王洲the DOCK]では、バイオフィリックデザインのコモレビズとあわせて、そちらもいち早く採用している。試作品や型落ちなどの理由で従来であれば廃棄処分になるはずの家電製品を、その材質や特性を生かし、まったく新しい用途で生まれ変わらせ、オフィス施設内で再生している。  例えば、電気炊飯器の「釜」部分は電球のカバーに、電気アイロンの鉄の部分でブックエンド、製品の型を取るための樹脂は電気スタンドの支柱に、車のシートベルトが椅子の座面と背もたれに、といった具合。  導入している三菱地所レジデンスReビル事業部Reビルグループの笛木海紗氏は、「ユニークなアイデアを生かし、いろいろな製品があります。築古ビルをリノベーションする事業を行っておりますが、ビルだけでなく、このようにさまざまな分野の製品を違う形で生かすコラボレーションは面白いです」と語る。  ワークプレイスを自然環境に近づけて最適なオフィス環境を作り出す「コモレビズ」を提供しているパソナ・パナソニック ビジネスサービス(大阪市中央区)企画部事業開発チーム・鈴木章太郎マネージャーは「本来は廃棄になるはずの製品ですが、使い方は工夫次第で様々です。植物や自然要素と持続的に共生することを目指す『コモレビズ』で導入されていることがうれしいですし、刺激になります。今後も、当社は地球環境に優しい企業として、このような取り組みを見本としていきたいです」と語る。
カミーノ低環境負荷新資材合開発    リサイクル素材開発ベンチャーのカミーノ(東京都港区)は、紙と植物由来生分解性樹脂(ポリ乳酸)を複合した低環境負荷の新素材「PAPLUS(パプラス)」を開発した。
 同製品は、牛乳パックや企業排出古紙にトウモロコシやサトウキビ由来の生分解性樹脂(ポリ乳酸)を複合させることで、石油由来樹脂成分をほぼ0%に削減したバイオプラスチック成形品。粉砕することにより、リサイクルが可能。また、最終廃棄時には堆肥化設備(コンポスト)や土中で微生物の働きにより水と二酸化炭素に分解される。
 同製品は耐熱グレード(耐熱)と一般グレード(非耐熱)の2種類が用意されている。耐熱グレードは電子レンジ対応の耐熱性(約120℃)を持ち、食品衛生法(厚生省告示第370号)準拠した製品となっている。
 これまでポリ乳酸等のバイオプラスチックは、耐熱性や耐久性、そして成形の難しさなどが指摘されていた。これらの課題を、生分解性プラスチック成形の第一人者である小松技術士事務所(福島県いわき市)の特許技術を活用することにより克服し、大量生産が可能となった。同製品は、まず食器や容器、日用品、建築資材、自動車内装材等での用途を見込んでいる。
 現在までに、欧州系化粧品メーカー、日用品メーカー向け等に試作品を製作しており、来年前半には商品化を予定している。

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