不動産トピックス

今週の一冊

2019.12.16 14:32

土地はだれのものか 人口減少時代に問う
著者 「土地はだれのものか」研究会
発行日 2019年8月23日
発行所 白揚社
価格 2700円(税別)

 ページを繰ると初っ端から視覚に訴える。カラーによる日本の人口ピラミッドの推移、東京圏の地価の推移が目に飛び込んでくる。地価増減率の大きいエリアや高価格帯のエリアは赤く彩られ、まるでハザードマップではないか。  本書ではどんな警鐘が鳴らされているのか。12人の著者は錚々たる顔ぶれだ。名著「人口減少問題の土地問題―『所有者不明か』と相続、空き家、制度のゆくえ」の吉原祥子氏をはじめ、弁護士、デベロッパー役員、大学教授等の研究者。  「土地はだれのものか」研究会の代表である本多広昭氏は、「現行の法制度や社会システムは人口増加時代につくられたものであり、人口が減少する社会ではうまく機能しないどころか、問題解決の妨げにさえなっている」と指摘する。そして「土地所有権の制限に対して弱腰な国や自治体のあり方にも大胆にメスを入れ」るべきだという。  所有者不明土地問題、マンション老朽化、複雑化する所有権問題、我々の背負うこの大きな難物は個人の問題ではすまない。「私権の制限」という大ナタはどうしても必要だ。  江戸時代に見る土地所有、ドイツの都市計画など読み応えのある章もさることながら、日本の現状に直面させる章の迫力。今すぐに取り組むことは何か、心得が必要だ。

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