不動産トピックス

【8/24号・今週の最終面特集】不動産業界 注目の成長戦略

2026.08.24 10:11

 人手不足やコスト増などの経営課題を乗り越えながら、成長していく企業の戦略は何がキーポイントとなっているか。不動産業界で成長する企業の成長戦略を追った。

就業者減少傾向の業界 AI等の新技術活用が重要に
 国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集(2026年版)」によれば、日本国内の「不動産業、物品賃貸業」の就業者数は約125万人(不動産取引業約25万人を含む)。また厚生労働省の「令和6年 雇用動向調査結果」によると、不動産業は入職者数に対して離職者数の方が多く、その数は8500人にのぼっている。企業の成長に人材は不可欠な存在であり、一方で担い手不足は不動産業界においても大きな問題となっている。各企業においては人材を確保するための企業価値のさらなる向上が、今後の成長につながる重要課題といえる。
 また事業領域の拡大や新領域の進出も、企業の成長を目指すうえで欠かせない戦略となる。単なる売上向上という効果だけでなく、リスクの分散や経営基盤の安定となった効果も見込めるだけに、人材やノウハウといった現有資産をいかに生かせるかがポイントとなる。
 不動産業界では、投資や仲介取引、清掃・警備といったさまざまな場面でAIやロボットといった新技術を活用する場面も増えてきた。人材を確保しつつこうした技術を取り込みながら新しい企業価値の創出も急がれる。

UTCプロパティーズ 商号変更を機にグループ連携強化目指す ミッション・ビジョン・行動指針を策定  UTCプロパティーズ(大阪市西区)は、梱包・物流、生産・製造、設計開発などを手掛けるユーテック(大阪市中央区)のグループ傘下の企業として、事業用不動産の総合サービスを提供している。サービスの提供領域は幅広く、プロパティマネジメントによる運営代行から、リーシングマネジメント、ビルマネジメント、ファシリティマネジメントなど、不動産の運営・管理において顧客が抱える課題に応じた最適なサービス提供に努めている。
 2008年の設立から、オフィスリーシングを中心に事業を展開。2019年にユーテックグループの一員となって以降、グループ内におけるプレゼンスを高めてきた同社は、7月1日付で旧社名の「株式会社MMG」から現在の「UTCプロパティーズ株式会社」に商号変更を行った。社名にユーテックグループの一員であることを示す「UTC」を冠することで、「グループ一体感の醸成を図るとともに、不動産事業をさらに推進していく姿勢を内外に示す目的がある」と、代表取締役社長の渡辺正志氏は語る。
 商号の変更に併せて、顧客やパートナー企業、そして自社の従業員に対する決意表明として、ミッション・ビジョン・行動指針を策定。ユーテックグループが掲げる「心と調和」の精神のもと、UTCプロパティーズでは、常に誠実に、正しく、そして美しい心で未来を拓き続けるという意味の企業理念「真・善・美」が根底にある。
 今回策定したビジョン「躍動するマチ、輝く個性」は、建物単体ではなくエリア全体の価値を高めるという視点で、ニーズの変化に敏感に対応しながら人々の個性が輝くステージを創り新しい時代の風を呼び込むという同社の挑戦の姿勢を表している。
 「当社の特徴は、ユーテックグループの保有不動産での実績をベースとした、中規模オフィスビルのプロパティマネジメントを得意とし、工事から管理、リーシングといった業務を一気通貫で提供している点です。従来はグループ内での業務受託がメインでしたが、今後はPM・BM業務の外部案件も積極的に獲得していきたいと考えております」(渡辺氏)
 新たに策定したミッションにおいて、UTCプロパティーズは100年先の持続的成長の実現を目指すとしている。エリア全体の活性化を見据えたビジネスモデルの確立を通じて、これからの100年へ向けた持続的な発展への挑戦は始まったばかりである。

GRAND エレベーターメディアが全国主要都市へ 首都圏・大阪での好評受け札幌・仙台・広島にも展開開始
 エレベーターホールサイネージ「エレビ」と、エレベーターかご内プロジェクター「エレシネマ」を手掛けるGRAND(東京都新宿区)が、エレベーターメディアの提供エリアを全国の主要都市へと広げている。
 両製品は、エレベーターホールとかご内という自然な導線を使って情報を発信するメディアだ。掲示物を見に行かせるのではなく、就業者が毎日必ず通り、かつ待ち時間が生じる空間で自然と目に入るため、メールや紙の掲示に比べて到達率を高めやすい。放映は1ロール6分で、ビルオーナーが自由に使える枠、ニュースや天気予報、星占いなどを流すGRANDコンテンツの枠、スポンサー枠の3つで構成する。オーナー枠は館内のお知らせや防災情報、貸室・駐車場のリーシング告知などに活用でき、貼り紙からの脱却による管理工数の削減や共用部の美観維持にもつながる。設置実績は1万箇所に迫り、視聴者数は1日300万人規模に達する。
 エリア展開は東京、千葉、埼玉、神奈川の首都圏から始まった。その好評を受けて2025年から大阪市への展開を開始し、約1年で関西エリアの設置台数は1000台を突破。さらに引き合いが増えていることから、神戸市、福岡市、名古屋市に加え、このたび札幌市、仙台市、広島市でも展開を開始。主要都市への拡大を着実に進めている。
 展開を支えるのが、ビル関係者から設置費用も運用費用も一切受け取らないビジネスモデルである。端末費、設置施工費、通信費、保守費、さらに撤去時の補修作業に関しても同社が負担し、ビル側の負担は1台あたり月額300円程度の電気代のみ。収益は広告主からの広告費で賄う。契約は1年間の自動更新で、解約禁止期間や違約金は設けていない。
 同社の丸橋涼氏は「不動産業界への利益還元という思想の下で事業を推進してきた。設置費用も運用費用も一切戴かず、ビル関係者にとってメリットのあるプロダクトとして展開を続けてきたことが、エリアを問わず受け入れられている要因だ」と話し、地方主要都市でも同じ仕組みで導入できる点を訴求していく考えを示す。

AAAコンサルティング/ARCRA AIを活用したBPOの実現に向け業務提携
 賃貸管理会社向けのビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)や不動産オーナー向けのプロパティマネジメントなどを手掛けるAAAコンサルティング(東京都中央区)と、東京大学発のAI・ソフトウェア開発スタートアップのARCRA(東京都文京区)は、不動産BPO業界における「AI×差分対応(定型業務をAIに任せ、個別対応を最大化)」の先行事例創出に向け、業務提携を結んだ。協業の推進にあたってはAAAコンサルティングの社内にAI戦略室を設置。ARCRAのAIコンサルタントもAI戦略室のメンバーとして参画する。
 不動産管理業務は、オーナー・入居者・仲介会社など多様な関係者との細やかな調整が発生し、極めて実務負荷の高い領域である。これまでAAAコンサルティングでは、現場の実務を一気通貫で支援するBPO事業を展開。多くの管理会社を支援してきた実績を持つ。一方で、労働人口が減少する日本において、従来の労働集約型の不動産BPOでは高品質なサービスの安定提供に将来的な課題が生じる懸念があった。
 こうした業界構造の課題を解決し、クライアント企業にこれまで以上のサービス価値を提供するため、AAAコンサルティングではAI活用型不動産BPOへの転換を推進。そのパートナーとして、AIの事業実装と現場の業務理解に強みを持つARCRAと協業し、現場起点のプロジェクト推進体制を構築することとなった。
 AAAコンサルティング代表取締役社長の田所康二氏は「不動産管理の現場では、業務を標準化することと、1件ごとの事情にきめ細かく対応することの両立が求められます。ARCRA社との協業を通じて、当社が培ってきた運用設計・現場定着の知見とAI技術を結び付け、品質と生産性の双方を高める不動産BPOモデルを構築していきます」と述べる。また、ARCRA代表取締役CEOの藤本秦平氏は「AAAコンサルティング社が推進するAIを活用した不動産BPOは、これからの不動産BPOのあり方を大きく変革する先進的かつ意義深い挑戦だと考えています。どんなに優れたAI技術も、現場の業務に馴染まなければ真の価値を発揮しません。だからこそ、AAAコンサルティング社が重視している『現場起点』を私たちも大切にし、AI技術で強力に伴走します」と述べている。




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