不動産トピックス

クローズアップ 建材編

2023.12.11 10:18

 建物構築に不可欠な建材。物件ができてしまうと忘れがちだが、実は常に進化している。改装時だけではなく、その動向には気を配っておきたい。

「DAIKENパブリックフェア東京2023」開催 公共商業施設向け建材や菜園システムなどを提案
 大建工業(大阪市北区)は11月7日・8日の2日間、「住友不動産秋葉原ビル」1階のイベントホール・ベルサール秋葉原で、「DAIKENパブリックフェア東京2023」を開催した。設計事務所やゼネコン、工事店など、非住宅系の事業者を対象とした製品提案会で、合計1200名を超える来場者が訪れた。
 同社は2025年を見据えた長期ビジョン「GP25(グロウプラン25)」において、公共・商業建築分野(非住宅分野)を重点市場の1つと捉えている。地域産材を活用した床・壁材をはじめ、ふく射式の冷暖房システム「ユカリラ」、都市部の未活用なオープンスペースに簡単に導入できる木質培地を使用した「菜園システム」など、様々な製品を展開。これら製品提案の場として「パブリックフェア」を全国各地で開催している。  東京エリアでは全国で唯一、公共・商業建築分野向け製品を常設展示した「DAIKEN秋葉原テクニカルスペース」を有している。これまで同施設を会場とした小規模な提案会を開催してきた。今回は初めて同ビル1階イベントホールに展示会場を構え、規模を拡大して開催することとした。実物大模型や製品の現物など50点以上を展示。床からのふく射を利用した、体に優しい冷暖房システム「ユカリラ」の快適性を体感できるブースも設置し、多くの来場者がその良さに触れることとなった。
 また同市場向け製品開発は、企業同士の共創によって新たな価値創造の実現を目指すコンソーシアム・point 0に参画している。2019年2月に誕生したpoint 0は、「未来のオフィス空間」実現を目指した実証実験の空間でもあるコワーキングスペース「point 0 marunouchi」を運営。23年10月時点でプロジェクトに参画する企業は19社。年々協創/共創の輪が広がっている。コンソーシアム参画等も含めて同社では、オフィス向けの製品展開を強化している。参画企業との連携による実証実験、新製品の開発プロセスを紹介するなど、今後もワーカーのWell―beingな働き方に貢献できる空間ソリューションの加速を進めていく。
 来年2月には北陸や中四国エリアでも大建工業主催のパブリック向け提案会を予定している。これら各地での開催イベントなどを通して、引き続き注力市場である公共・商業施設分野に向けた提案活動を積極的に展開していく。

廃棄された塩ビクロスを内装壁面建材に再生
 積水ハウス(大阪市北区)とフクビ化学工業(東京都品川区)、エスエスピー(茨城県つくば市)の3社は、廃棄された塩ビクロスを再生した内装壁面建材を共同開発した。塩ビクロスの廃材を活用した内装壁面建材は日本初。戸建住宅や集合住宅での利用を視野に商品化を進めていく。
 塩ビクロスは、国内の壁紙生産量6・5億㎡のうち93%を占めるという。塩化ビニール、炭酸カルシウム、パルプが配合された複合素材のためリサイクルが難しく、埋め立て廃棄が必要な処理困難物として挙げられているが、防音材などの機能材としてリサイクルする動きも見られる。
 今回の共同開発は、積水ハウスの資源循環センターで分別された塩ビクロスをエスエスピーが再資源化し、フクビ化学工業の異形押出成形技術でデザイン建材としてアップサイクルする。
 木製に比べ価格を抑えることが可能で、サステナブルでありながら、炭酸カルシウムとパルプの素材感を生かした建材としてこだわったという。

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