不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2023.12.04 10:06

顧客体験プラットフォーム導入 JR西日本ホテルズ11カ所で
 ジェイアール西日本ホテル開発(京都市下京区)は、同社が展開するJR西日本ホテルズの全11ホテルで、観光分野のDXを推進するアクティバリューズ(東京都渋谷区)が提供するAIを活用した多言語対応の旅ナカ専用ウェブアプリ「VERY(ベリー)」を、順次導入している。
 JR西日本ホテルズでは、2022年5月にAIを活用した顧客体験プラットフォーム「talkappi(トーカッピ)」をグループホテルに導入。AIによる自動応答チャットボットサービスやアンケート問合せフォーム機能などの活用により、宿泊者の「旅マエ」「旅ナカ」の利便性向上や、「旅アト」の情報発信に努めてきた。
 今回新たに導入する「VERY(ベリー)」は、こうしたtalkappiの各種機能やホテルの施設案内情報などを一括表示することができる、旅ナカ専用のウェブアプリ。ウェブ上での表示が可能なため新たにアプリをダウンロードする必要は無く、チェックイン時に配布するカードや客室内に設置されたポップに記載のQRコードをスマートフォンで読み込むだけで、すぐに表示することが可能だ。 
 「VERY」上では、ホテルの施設案内やWi―Fiの接続方法等、館内サービスの利用案内をはじめ、レストラン情報・朝食会場の混雑状況・周辺観光案内等を、宿泊者の手持ちのデバイスに応じた言語にて簡単に確認することができる。 
 西日本エリアの玄関口となるJRの主要駅を中心に展開する同ホテルズでは、国内外問わず多くの利用者に快適に滞在してもらえるよう、「VERY」の導入を通じて多言語案内のより一層の強化を目指していく。 
 今回の導入に留まらず、今後も機能や掲載コンテンツの拡充を続け、宿泊者一人ひとりに応じた情報や「旅ナカ」をより快適に過ごしてもらえるためのサービスを提供することで、満足度の向上を図っていく。 
 システムを提供するアクティバリューズは、2016年に創業した観光分野のDXを推進するIT企業。日本国内の600以上のホテル・旅館・観光施設・自治体・商業施設などに導入されているAI活用の顧客体験プラットフォーム「talkappi(トーカッピ)」と、多言語対応の旅ナカアプリ「VERY(ベリー)」の開発と運営を行っており、最新のAI技術を活用して、人材不足の解消や業務の効率化、インバウンド対策、利用促進と収益向上、顧客データのマーケティング活用などの観光・宿泊業界に深刻な課題を解決するため、様々なサービスを提供している。

アパホテル 秋葉原に用地取得 2024年夏をメドに全205室
 アパホテルネットワークとして全国最大級の753ホテル11万4722室(建築・設計中、海外、FC、アパ直参画ホテルを含む)を展開するアパグループ(東京都港区)は、東京・秋葉原でのホテル計画を発表した。
 同計画は、JR各線・東京メトロ日比谷線「秋葉原」駅より徒歩6分、東京メトロ銀座線「末広町」駅より徒歩2分の中央通り沿いに位置する。秋葉原は世界的に様々なカルチャーの発信拠点として知られており、なかでも中央通り沿いは、サブカルチャーの拠点だけでなく、近年ではオフィス開発も増加してきていることから、国内レジャー、インバウンド、イベント需要だけでなく、ビジネスでも宿泊需要が見込まれる。公募面積401・78㎡。東京建物(東京都中央区)が建築主として建設中のホテルを取得し、延床面積約3180㎡、14階建て、全205室の「アパホテル〈秋葉原末広町駅前〉」として2024年夏の開業を目指す。
 秋葉原エリアでは、アパホテル〈秋葉原駅前〉(2012年10月4日開業・全137室)、アパホテル〈秋葉原駅電気街口〉(2017年8月28日開業・全117室)、アパホテル〈秋葉原駅北〉(2020年12月15日開業・全181室)、アパホテル〈秋葉原駅東〉(2021年11月2日開業・全168室)の4棟・603室を運営中であり、今回計画を含めると5棟・808室となる。今後も全国的に需要が見込めるエリアにおいては、ホテル運営・人員効率の向上を踏まえたドミナント戦略を積極的に行いながら、アパホテルネットワークの拡充を強化していく。 
 アパグループは2010年4月にスタートした「SUMMIT 5(頂上戦略)」を継承し、2022年4月より新たな5カ年計画「AIM5~APA Innovative Movement」を始動。アフターコロナにおけるニーズの変化やDX化の波を捉えながら、国内で圧倒的なトップホテルチェーンとなるべく、2027年3月末までにアパホテルネットワークとして15万室展開を目指していく。

JR東日本ホテルメッツ 遠隔接客サービスの翻訳機能実装
 日本ホテル(東京都豊島区)では、同社が運営するJR東日本ホテルメッツにて、タイムリープ(東京都千代田区)が開発・提供する遠隔接客サービス「RURA(ルーラ)」のオプション機能である「翻訳機能」を本格導入した。
 JR東日本ホテルメッツでは、セルフチェックイン機による感染症対策や宿泊者の手続きの時間の軽減というメリットを保ちつつ、ブランドコンセプトである「上質が息づく。」を更に向上させるために、2022年4月1日から「RURA」を活用してきた。「JR東日本ホテルメッツ 渋谷」では、今年のインバウンドの比率が、コロナ禍前の2019年と比べ20%も増加し、渋谷のみならず、各店舗への外国語を話せるスタッフの配置が急務となってきた。 
 こうした背景から、「RURA」のオプション機能である、接客のリアルタイム翻訳ができる「翻訳機能」の本格導入をすることで、外国語を話す宿泊客に対して快適な接客体験の提供の実現を目指すこととなった。英語以外にも、中国語、韓国語などの言語をリアルタイムで翻訳することが可能であるため、ストレスフリーで高い満足度を得られる会話を実現する。
 翻訳機能は英語、中国語、韓国語などの言語をリアルタイムで翻訳することが可能。使用方法は、例えば英語を話す宿泊者が店舗を訪れた場合、遠隔のスタッフは操作画面から「英語」を選び、翻訳機能をオンにする。その後の接客中の会話は、宿泊客が見るモニターには英語字幕が、遠隔地で対応しているスタッフの画面には日本語字幕が表示される。お互いの母国語でリアルタイムに会話できるというもの。
 タイムリープが提供する「RURA」は、インターネットを通じて店舗の接客を遠隔地から行うことができるサービス。対応スタッフが画面に表示される対面接客や、アバターを通しての接客などを選択可能。少人数で多拠点の接客ができる点に大きな特長があり、約30店舗の受付を3名で実施している例もあるという。接客の一部を自宅など遠隔地から行うことで、新型コロナウイルスへの感染対策はもちろんのこと、店舗運営の効率化や、接客業における新しい働き方の実現が可能となる。

三井不動産ホテルマネジメント 宿泊施設従業員向けマニュアル開発
 マニュアル作成・共有システム「Teachme Biz(ティーチミー・ビズ)」を提供するスタディスト(東京都千代田区)と三井不動産ホテルマネジメント(東京都中央区)は、宿泊施設の従業員向けマニュアルリストとして「Teachme Biz 宿泊パッケージ」を共同開発した。 
 「Teachme Biz 宿泊パッケージ」は11月1日より、宿泊関連企業向けに提供を開始。「Teachme Biz」の契約企業であれば、追加費用なしで利用が可能だ。 
 同サービスは、宿泊業界で必要とされる基本業務のマニュアルを130項目のリストにして提供することによって、宿泊関連企業のマニュアル作成業務の負担を軽減。人手不足の解消に貢献する。三井不動産ホテルマネジメントが運営するホテルにも導入を予定しており、新人教育などで活用させていきたいという。
 少子高齢化により全業界で人手不足が加速する中、宿泊業界の新規求人数はその他業種と比べても前年同月比9・8%増と最も高く、人手不足が顕著となっている。こうした中、観光庁は2030年までに訪日外国人旅行者6000万人を目標に掲げている。訪日外国人旅行者の増加にあわせて、ホテルや旅館などの利用者が増え、宿泊業界の人手不足の加速が想定される。 
 三井不動産ホテルマネジメントは、マニュアルをリスト化することで、社内でのマニュアル作成の時間短縮や浸透力を高めるとともに、宿泊業界で活用されることにより、マニュアルのペーパーレス化を推進。サステナビリティへ貢献したいと考えていた。 
 宿泊業界の実態に沿ったマニュアルリストを開発すると同時に、今回の共同開発のように各企業が保有する知見を活かしながら、三井不動産グループとスタディストのシナジーもさらに高めていきたいという。 
 「Teachme Biz 宿泊パッケージ」は、2025年3月末までに宿泊関連企業30社への提供を目指していく。 
 なおスタディストには三井不動産(東京都中央区)が運営する「31VENTURES」が出資している。

東横イン 朝食スタッフの制服一新
 東横イン(東京都大田区)では、「全国ネットワークの基地ホテル」として、新しい一日の活力となるよう朝食サービスの向上に力を入れている。その一環として同社はこのほど、国内全店の朝食スタッフの制服を一新した。
 同社は全職種のスタッフが地元採用で、ホテルの近隣在住で幅広い年代の人々が従事している。そこで、朝食スタッフの制服も、年代や性別によらずスタイリッシュに着こなせるデザインを採用した。また、青を基調にしたフロントの制服と調和する落ち着いたカラーを選択した。 
 同社は高知県を除く全都道府県に333店舗を展開しているが、店舗ごとに顧客層が異なる。そこで、3つの朝食スタイルを用意し、各店舗の利用客ニーズにあった朝食の提供を心がけているという。
 東横インは1都1道2府42県に日本一の客室数を展開するビジネスホテルチェーン。空港や新幹線駅をはじめとして全国どこにでもあり、年間を通じて大きな価格変動のない「原則ワンプライス制」が特徴だ。海外は5カ国16店舗を含め全350店舗、総客室数は7万6757室。

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