不動産トピックス

今週の一冊

2023.11.27 11:37

相続人が「ありがた迷惑」に感じる遺産とは

残念な相続<令和新版>
著者:内藤 克
出版:日経BP
発行:2023年9月8日
価格:1045円(税込)

 相続する遺産が主に不動産などの流動性が低い資産の場合、遺産をめぐって親族間で争いが起きてしまうことはよくある話だ。本書はこうした「残念な相続」を防ぐためのノウハウ本で、2018年7月を改訂したものである。近年の民法改正によって相続における節税策が徐々になくなり、著者は「納税しながら健全な財産を承継する時代」に向かっているとする。本書は変化する相続ルールに対応し内容をアップデートするとともに、来年から開始される相続時精算課税の見直し、生前贈与加算の期間延長についても触れる。
 残された者にとって遺産は亡くなった被相続人との思い出や記憶を共有できる大切な資産である。しかし、現代では親と子供の価値観にズレが生じやすく、相続財産も例外ではないと著書は述べる。親が良かれと思って遺した財産が、子供にとってはありがた迷惑と感じてしまうケースもあるようだ。中でも敬遠されがちな財産として、自身が経営する会社に貸し付けた貸付金、換金性が低いとされる完全所有権ではない不動産、仮想通貨などのデジタル財産などを挙げている。特に、現代では広く知られた存在となっている仮想通貨は、海外の事業会社が運営する仮想通貨の場合にIDとパスワードが必ず求められ、解約等の手続きが煩雑になるリスクがある。
 世代を問わず活用している人の多いSNSも要注意。見ているのは友人・知人だけではなく税務職員が税務調査の一環でチェックしている場合も考えられる。SNSでの情報発信が税務調査の呼び水となってしまうこともあるので、プライベートを公開する際には熟考を重ねて行うことをおすすめしたい。

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