不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2023.11.13 11:31

ワンファイブホテルズ 世界的建築家が手掛けたデザインホテルリニューアルオープン
 不動産事業やクリーンエネルギー事業を手掛けている、いちご(東京都千代田区)では、ホテル事業を強化しているが、このほど、グループ会社のワンファイブホテルズ(福岡市中央区)が、新たに新ホテルを開業させた。
 福岡市中央区にある「ホテル イル・パラッツォ」(福岡市中央区)をリブランドオープン。同ホテルは、福岡市営地下鉄空港線「中洲川端」駅から徒歩約7分に位置、全77室。
 エントランスに入ると「青いトンネル」があり、そこを抜けた場所にエレベーターを配置。エレベーターを降りると、レストラン、ラウンジ、バー兼用のフロントがある。中央のファサードをモチーフにした装飾の前に水槽があり、水に反射した光を演出する。
 同ホテルは、1989年開業で20世紀を代表する世界的な建築家イタリア人のアルド・ロッシ氏と日本を代表するインテリアデザイナーである内田繁氏がアートディレクターとしてタッグを組んで実現した日本初のデザインホテル。
 両氏のほかにも、多くの世界的なクリエイターが参画し、開業当時は大変な話題となった。1990年には、建築界のノーベル賞といわれる「プリツカー賞」、福岡市都市景観賞を受賞したほか、1991年には、アメリカ国外の建築物では史上初となるアメリカ建築家協会(AIA)名誉賞を受賞するなど、世界的な建築物として名をはせている。
 ワンファイブホテルズは2022年1月より「Re-Design」プロジェクトとして、総工費約18億円を投じて、同ホテルの改修工事を進めてきた。
同プロジェクトでは、ホテルのデザインだけでなく、その高い社会的資産に着目し、内田繁氏の逝去後も同氏の思いやデザインの理念を受け継ぐ「内田デザイン研究所」をパートナーに選定した。
 同プロジェクトの主なポイントは、1989年開業時のホテルロゴデザインの復活のほか、アルド・ロッシ設計の外観デザインはオリジナルを尊重し一部復元。ディスコ、イベントホールなど、時代やニーズに合わせて独自のカルチャーを発信してきた地下空間は、130席の大型ラウンジに生まれ変わった。
 階段を上る必要があったエントランスは、1階から段差なく直接アプローチ可能に。1989年のオリジナルの配色を踏襲したエントランスは「結界」をイメージ。共有部は当時のデザインの赤、青、緑を基調として、独特の雰囲気を醸し出している。客室はスーペリアクイーンとデラックスキングの2タイプに加えて、バルコニー付の客室を新設した。
 ワンファイブホテルは、5月31日に「博多ホテルズ」より社名変更。新たな体制で事業を拡大させていく。現在は、福岡はじめ、北海道、関東、関西、中国など、博多以外のエリアにも展開。専門的なノウハウでホテルの開業や運営をサポートする業務、コールセンター対応の業務を受託するなど、様々な施策を進めている。

リソル不動産 1棟貸別荘を那須高原に開業
 リソルグループ(東京都新宿区)のリソル不動産は、「スイートヴィラ那須高原Doggy’sオハナ」(栃木県那須郡)を11月2日にオープンさせた。
 同施設は、人気の別荘地「那須高原」に所在し、施設名の通りペットを連れての宿泊が可能な2階建て(3LDK)の一棟貸別荘。
 同施設は鮮やかなグリーンが特徴的な外観で、オープンにあたりウッドデッキ、駐車場を拡充、内装をリニューアルし、家具・家電も新調されている。ダイニングには大きな出窓が設置。リビングは、吹き抜けの高い天井と大きな窓が開放感を演出する。さらに、リビングとデッキテラスが繋がっており、周囲に広がる落ち着いた自然の中で森林浴やアウトドア感覚での食事を愛犬と共に楽しむこともできる。
 寝室は3部屋(シングルベッド×2・シングルベッド×2・布団×4)で、最大で8名様まで利用可能だ。
 リソル不動産では、「暮らすように泊まる」をコンセプトに滞在を楽しむ旅のスタイルを「リソルステイ」と名付け、その時間にふさわしい空間を「スイートヴィラ」と呼び、事業を展開している。
 休暇の分散長期化、ワーケーションなどで貸別荘需要が高まる中、自社施設の運営だけでなく、利用頻度が減り別荘維持に困っているオーナーと提携し、開業準備から運営・管理、集客に至る業務をワンストップで代行。「滞在」という別荘本来の良さが体験できる「滞在型貸別荘」という新しいスタイルの宿泊施設を実現する。
 同社は今後も、別荘を所有せず、洋服を着替える感覚で別荘を選び、もうひとつの「暮らし」を快適に楽しむという新たな市場の創造を目指し、「リソルステイ事業」の推進を図っていくという。

相鉄ホテルマネジメント キャンセル料請求・回収業務をデジタル化
 相鉄ホテルマネジメント(神奈川県横浜市)では、同社が運営している全国52施設で、キャンセル料の請求・回収業務をデジタル化する「Payn(ペイン)」を導入した。
 「ペイン」は、ホテルやレストランなどのキャンセルポリシーを規定している事業者が行うキャンセル料の請求・回収業務を、簡単に請求・回収・管理することが可能になるデジタル請求ツール。Payn(東京都中央区)が提供している。
 ホテルやレストラン業界を中心に、予約が発生する業界では「キャンセル」に関する多くの問題を抱えている。予約者が来ない無断キャンセル(ノーショー)問題や、キャンセル料請求の業務負担問題、キャンセル料を請求しても払ってもらえない未払い問題など、様々な問題が事業者を悩ませている。同サービスはこれらの問題を解決するために開発されたもの。Paynはまた、今年3月に予約管理システム等と「ペイン」との連携を可能にする「Payn Connect」をリリースした。  相鉄ホテルマネジメントでは、新しいシステムを導入する際、通例として規模の異なる3店舗でトライアルを実施。トライアルの結果が良好だったため、全国の店舗に導入が決定した。

湘南レーベル 「湘南」キーワードにブランド投入 FC事業開始
 コンセプトに合わせたブランド「8HOTEL」「THE HOURS」などを湘南エリアに展開している湘南レーベル(神奈川県藤沢市)では、ホテル事業のフランチャイズ展開をスタートさせる。
 同社はフラッグシップ店舗である「8HOTEL CHIGASAKI」をモデルにする。全国に拡大させていく計画で、年間5店舗、4年後には20店舗にまで拡大させていきたいという。
 同社が手掛ける「8HOTEL」ブランド第2号としてオープンした「8HOTEL CHIGASAKI」は、全36室と小規模ながらも、観光やビジネス利用者に非日常的な時間を提供するコンセプトホテルだ。海外のビーチリゾートを意識した同ホテルの大きな特徴は、男女共用で使用できる愛好者専用ブランドTTNE incプロデュースの本格サウナを配置していること。サウナ好きの若者層を中心に、ターゲット層を絞り込むことで、周辺の施設にはないオリジナリティーを前面に打ち出した。
 ポイントとなるのは、顧客ターゲットを明確化した「安定集客」、OTAからの脱却による「運営費用削減」、宿泊以外の売り上げを確保する「付帯販売収益」だ。
 参画するホテルに対しては、本部がSNSを中心に集客代行を行い安定集客を目指す。またオリジナルアメニティの一括購入などで運営費用の削減も支援する。
 リニューアル費用は、サイン・デザイン料として約500万円。オプションとして、同ブランドの特徴の一つであるサウナやプールなども費用に応じて設置することが可能だ。初期加盟費用は1室あたり5万円、年間ロイヤリティは稼働室数に応じて3%。

東急リゾート&ステイ 「nol」新施設箱根エリアに
 東急不動産(東京都渋谷区)では、箱根登山鉄道「箱根湯本」駅から車で約20分の立地に、ホテル「nol hakone myojindai(ノル ハコネ ミョウジンダイ)」を2024年5月に開業させる。運営は東急リゾーツ&ステイ(同)が行う。
 同施設は、箱根登山鉄道「箱根湯本」駅より車で約20分に位置、客室数39室。鉄筋コンクリート造、地上2階建て、地下1階。延床面積3982㎡。ロビーラウンジ、ショップ、レストラン、温泉大浴場、サーマルプール等を併設する。
 1993年に開発した会員制ホテル「東急ハーヴェストクラブ箱根明神平」を改装し、2024年5月に同社ホテルブランド「nol」として、リブランドオープンするリゾート施設。観光地箱根の中でも閑静な宮城野エリアの別荘地内に位置する。
 同施設の前身「東急ハーヴェストクラブ箱根明神平」は、「東急箱根明神平別荘地(サニーパーク)」の中央に位置する会員制ホテルとして、長く会員に利用されてきた。会員制ホテルとして満期を迎えるとともに改装を実施し、解放感あるエントランスロビーはそのままに、素朴で優しい風合いで設えたデザイン空間にリニューアルした。
 同施設は、京都市中心街で営業中の「nol kyoto sanjo(2020年11月開業)」に続き「nol(ノル)」ブランドとしては2店舗目の展開となる。
 同社は箱根エリアでは「東急ハーヴェストクラブ箱根甲子園」、「東急ハーヴェストクラブVIALA箱根翡翠」「東急ハーヴェストクラブVIALA箱根湖悠(2024年10月下旬開業予定)」などを展開している。

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