不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2023.07.10 10:34

タップ ホテルシステム大手が宿泊施設開業 DXをテーマに実証実験
 ホテルシステム大手のタップ(東京都江東区)は、2017年より構想してきた日本初となるDXで観光・宿泊産業の生産性向上を実現するための実証実験施設「タップホスピタリティラボ沖縄(THL)」を開設した。
 同施設は、沖縄県が国内外の情報通信関連産業の一大拠点となるためのビックプロジェクトの地である「沖縄IT津梁パーク」の敷地内に位置。客室(38室)、レストラン(1施設)、ホール(1施設)、セミナールーム(2室)、COWORKING(2施設)。 沖縄県のリーディング産業で観光の要である宿泊施設の生産性向上、宿泊業界の人材不足、利用客の利便性向上など現在抱えている様々な課題を、日々進化を続けているテクノロジーを利活用して課題を解決していくことを目的に作られた。
 「ホテルDX」を「建物のDX」「メカのDX」「ソフトのDX」の3つのテーマに分け実証や実験を進めていく。また、SDGs13項目に対応しており、中でもすべての人が能力を高め社会的に取り残されないように人(障がい者)とロボットの共生の実証を行う。同時に地域住民のためのラストリゾートとして、うるま市と大規模災害時の地域防災協定を締結した。
 施設内には「ホスピタリティサービス工学研究所」を完備。ChatGPTのように、日々テクノロジーは進歩しているものの、まだまだサービス業界は、すぐに導入できる段階に至っていないのが現実だ。同施設では、産学官が連携してロボットを含めたテクノロジーを、宿泊業界へ安全・安心に導入していくための様々な実証実験を行っていく。
 THL館内は自分のスマホにLINEと連携している「THL App」をダウンロードし、自分自身で滞在をオペレーションする。このアプリは宿泊の予約から滞在中の部屋の鍵はもとより、部屋内の家電コントロール、ルームサービスのリクエスト、食券などの紙チケットレス、宿泊の清算などを、ひとつのアプリで完結することが可能だ。
 THLでは観光の要である宿泊施設のDX化のため、様々な課題を解決する実証実験の場(オープンラボ)としてホテル業界に活用してもらう。ロボティクスとホテルの基幹システムであるPMS連携をはじめ生成AIなどソフトウェア技術をあらゆる関連技術を複合的かつ適切に組み合わせ課題を解決していきたいという。タップはホテル専門のソリューションベンダー。1987年の創業以来、宿泊施設に必要な数々のシステムを開発してきた。全国1500以上のホテルをユーザーに持つ。

タイ・セントラルグループが日本進出 総合不動産サービスのJLLが支援
 総合不動産サービス大手JLL(日本法人・東京都千代田区)では、タイを代表するホテルチェーン「センタラ ホテルズ&リゾーツ」の日本第一号店となる「センタラグランドホテル大阪」(大阪市浪速区)について、開業準備支援とプロジェクトマネジメント業務を受託、このほど完了させた。
 同ホテルは、タイのセントラルグループが手掛けるホテルチェーン「センタラ ホテルズ&リゾーツ」の高級ブランドホテル。日本第一号店となる「センタラグランドホテル大阪」は2023年7月1日に開業、地上33階建、客室数515室を有し、同日になんばパークスエリアの南側にグランドオープンした「なんばパークス サウス」内に位置する。 JLLは、同ホテル開業に向けた業務として、市場調査、人員や運営体制の構築、コスト最適化に対するコンサルティング、また開業までの建設に関わるプロジェクトマネジメントを実施した。
 全515室の客室は6~31階にわたり3つのフロアタイプに分かれ、フロアごとに異なる大阪の景観を望むことが可能。また、全てのフロアにコネクティングルームやファミリールームを備え、幅広いニーズに応じて27㎡から56㎡の広さのある様々な客室を用意。
 客室のデザインは、大阪でも古くから親しまれてきた伝統芸能の代表格「能」をイメージし、各客室のベッド側の壁面には能舞台からインスピレーションを受けた「松」が描かれている。
 館内に2室だけある56㎡のクラブスイートは、床から天井までの大きな窓から自然光が差し込み、独立したリビングスペースとベッドルームそれぞれから大阪市街を一望できる。
 JLLは、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社。オフィス、リテール、インダストリアル、ホテル、レジデンシャルなど様々な不動産の賃貸借、売買、投資、建設、管理などのサービスを提供している。

日本ユニスト ヴィラ型コンテナホテルにサウナ
 日本ユニスト(大阪市西区)が運営する、和歌山・熊野古道のヴィラ型コンテナホテル「SEN.RETREAT CHIKATSUYU」(和歌山県田辺市)では8月1日より、客室のプライベートガーデンにテントサウナを常設し、貸し切りで利用できるオプションを導入した。
 同施設は日常のストレスを心身ともにリセットする「リトリート体験」をコンセプトとして掲げ、熊野古道に2棟の宿を構えている。リトリート体験の充実をはかろうと、1棟貸し宿「SEN.RETREAT TAKAHARA」には、2023年1月にフィンランド式薪サウナ「Kumanoko Sauna」を新設。「熊野古道を歩いた後にサウナと水風呂で整う」という、新たな巡礼文化の創出に取り組んでいる。 
 「TAKAHARA」に続き、「CHIKATSUYU」でも将来的にサウナを設置したいと考えていることから、6~7月限定でテントサウナのデモンストレーションを実施。この試験期間で多くの利用者より好評だったため、本格的にテントサウナを導入することとなったもの。
 「SEN.RETREAT」は、大自然の中でストレスをリセットする「リトリート体験」ができる無人運営宿のブランド。熊野古道の主要な参詣道「中辺路」沿いに泊まり歩ける宿を計4カ所作る計画で、第1弾として、標高300mの山間にある集落・和歌山県田辺市中辺路町高原で、空き家をリノベーションした一棟貸し宿「SEN.RETREAT TAKAHARA」を2021年10月、開業させた。
 続く第2弾として、古くから熊野詣の宿場町としてにぎわった中辺路町近露に、「SEN.RETREAT CHIKATSUYU」を2022年4月28日に開業。バーベキューができるプライベートガーデンや、焚き火を囲めるテラス、宿泊客自身で生地からこねて焼けるピザ窯などを備える。また、コンテナ1棟を1つの客室としているため、外から直接部屋に出入りでき、密を避けることもできる。

東急ホテルズ&リゾーツが新ブランド
 東急ホテルズ&リゾーツ(東京都渋谷区)は、同社が運営するホテルの新ブランド「STORYLINE(ストーリーライン)」の第1号店として、沖縄県豊見城市に位置する瀬長島に「STORYLINE瀬長島(ストーリーラインせながじま)」を2024年春に開業させる計画だ。
 「STORYLINE」は、「東急ホテルズ」のチェーンネットワークの中でも独自の個性を有するブランド群「DISTINCTIVE SELECTION」に属し、「Your stay. Your story.」をコンセプトとして展開するホテルコンドミニアム型の宿泊施設。独特の雰囲気や、ユニークな体験を追求する利用者に、既成概念にとらわれない自由な発想のもと、それぞれの土地やホテルと個性溢れるテーマを掛け合わせた「ここだけのオリジナルストーリー」の提案をコンセプトとしている。
 同ホテルは、那覇空港からバスで約20分。客室101室(予定)、フロント、ロビー、レストラン、ショップ、インフィニティプール、屋外天然温泉スパ、ジム等を併設する。
 外観は、アメリカ・フロリダ州の、カラフルな建物が建ち並ぶ「アール・デコ地区」として知られるマイアミの「アール・デコ」をモチーフに、波のように柔らかな曲線や、シンボリックなネオンサインなど、沖縄に新風を吹き込む「瀬長島アール・デコ」スタイルをデザインしている。
 8階のルーフトップでは、美ら海と青空に連なるインフィニティプールと、天然温泉スパを配置する。

ダブルツリーbyヒルトン 大和ハウスが運営受託
 ヒルトン(本社・米国バージニア州)と大和ハウスリアルティマネジメント(東京都千代田区)はこの程、「ダブルツリーbyヒルトン京都駅」(京都市南区)の運営受託契約を締結した。
 同ホテルは、ヒルトンにとって京都で5軒目の契約締結となる。「ダブルツリーbyヒルトン」ブランドは、世界52の国と地域に661軒のホテルを展開し、ヒルトンの中でも急成長中のアップスケール・ホテルブランドで、京都では2023年8月に開業する「ダブルツリーby ヒルトン京都東山」に続く2軒目の進出となる。
 JR「京都」駅八条口より徒歩約5分に位置。地上9階建てで、京都らしさを感じられるデザインを随所に取り入れており、館内には、25㎡を中心とした全266室の客室の他、料飲施設(オールデイダイニング、カフェラウンジ)、フィットネスセンター、エグゼクティブラウンジ、ミーティングルームを併設している。 

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