不動産トピックス

今週の一冊

2023.07.03 10:47

未来への投資が企業の価値を底上げする

1冊でわかるGX グリーントランスフォーメーション
著者:内山 力
出版:PHP研究所
発行:2023年6月29日
価格:1155円(税込)

 2020年10月、菅義偉内閣総理大臣(当時)は所信表明演説で「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言。国や地方、自治体や民間企業といった垣根を越えた脱炭素社会の実現に向けた取り組みが本格的にスタートすることとなった。そこで最近耳にする機会が増えつつあるキーワードが「GX」である。
 GXとは「グリーントランスフォーメーション」の略称であり、温室効果ガスを発生させる化石燃料から太陽光発電、風力発電などのクリーンエネルギー中心へと転換し、経済社会システム全体を変革しようとする取り組みを指す。脱炭素社会を実現するためには我々が日々使用しているエネルギーの構造転換が不可欠であり、クリーンなエネルギーを社会活動の基盤とするのがGXということになる。
 GXの実現に向けては政府主導による「GX実行会議」が昨年7月から開催されているほか、GXへ挑戦する企業が外部から正しく評価され成長できる社会を目指す産官学協働の場として「GXリーグ」が創設され、現在679社の賛同企業が参画している。
 とはいえ民間企業は営利目的の団体。GXに積極的に取り組むことによって、企業にどのような利益がもたらされるのか。GXはいわば、「未来のための投資」である。本書ではトヨタ自動車をはじめ、国内有名企業のGXの取り組みが紹介されている。この流れは大きな資本を持つ企業に限定したものではなく、サプライチェーンの一端を担う中小企業も他人事ではない。利益に直結しなくとも、より良い未来を目指し取り組むGXへのチャレンジは、結果的に企業成長の近道にもなりえる潜在性を持ち合わせている。

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