不動産トピックス

クローズアップ 駐車場活用編

2023.02.20 10:25

 大規模な設備が不要な駐車場経営は比較的ローコストで始められることもあり、賃貸経営の入門編や遊休地の活用策に位置付けられることも少なくない。だが見方を変えれば、その収益力を強化する余地はまだありそうだ。

フジタカ セルフ洗車場オープン オーナーの加盟金・ロイヤリティは不要
 コインランドリーや券売機などを展開するフジタカ(京都市下京区)は、同社初となるセルフ洗車場「Whitepit(ホワイトピット)」を昨年11月7日にオープンした。
 1号店となる「Whitepit京都伏見本店」は京都南ICから車で7分、主要幹線道路である油小路通に面した場所に位置する。
 利用時間に応じて精算する時間制を採用しており、洗車・仕上げをする屋根付きが8車室、高圧洗浄を行う2車室の計10車室を設けている。車室ごとに仕切りを設けているため、水しぶきを気にすることなく使用できる。また、圧迫感を感じないように車室内の空間を広く取るなど利用者に配慮した設計にしている。
 前者の洗車・仕上げをする屋根付き車室は手洗いや水の拭き取り、社内の掃除などを行う場所としてブロワー、掃除機、シンク、コンセントの設備やホースやバケツ、足場台の備品を用意している。屋根を設置することにより、雨天時での洗浄や日差しによる水滴の乾燥を防ぐことができる。11月から2月までの冬季期間は清掃しやすいように温水に切り替えている。
 後者の高圧洗浄では、通常の水圧では落とせない泥汚れや砂埃などを落とせる一流メーカーの高圧洗浄機を導入している。
 セルフ式洗車場はひと昔前まで多く存在していたが、自動洗車機の増加により減少していった。しかし近年、自身で愛車を手入れしたいというニーズの高まりに同社は改めて注目した。加藤義康執行役員は「高級車などの所有者がマンションで洗車することは難しく、『洗車難民』が増加し需要が高まってきている。そこで当施設を展開することに至った」と話す。
 同店はバイクの洗車も可能。高さ2.5mまでの制限があるため、トラックやキャンピングカーは利用不可。利用料金は平日は30分800円。土日祝は900円。以降10分ごとに100円加算となる。営業時間は5時~0時まで。オープンしてから2カ月。高級車の利用が目立ち、3時間以上かけて手入れしている人も多くいるという。
 一方、土地を貸したいオーナーに対して加盟制度を設けておらず、加盟金やロイヤリティなどの費用は不要にしている。さらに月々のメンテナンスやコールセンター、駆け付けサービスは各種専門会社とオーナーで直接契約してもらう方法を採用しているという。「開業しやすいよう、費用負担を押さえて長期間運営してもらえるようしている。そのため開業前に商圏調査をしっかり行っており、採算の取れない場所での開業はお断りして無理な出店はさせないのが当社のポリシーだ」(加藤執行役員)
 同社はコインランドリー店舗を2500拠点以上開業してきた実績がある。その他パーキング事業や自販機事業など無人ビジネスのノウハウを数多く提供している。
 「Whitepit京都伏見本店」を実証店舗として検証し、コインランドリーとセルフ洗車場の併設なども考察し全国展開を目指す。

「御殿場アウトレット」駐車場で洗車サービス
 三菱地所・サイモン(東京都千代田区)が運営する「御殿場プレミアム・アウトレット」では、立体駐車場の一角に3月1日から「クイックウォッシュ」をオープンさせる。
 「クイックウォッシュ」は買い物をしている間にプロによる手作業で洗車を行なうサービス。独自の洗車技術と天然由来成分100%の専用溶剤を使用することで、使用する水は約2ℓ。従来の洗車と比べ125分の1の量で、環境に優しいサステナブルな洗車サービスとしても注目されている。
 事前のウェブ予約で支払いもでき、当日に車を指定の場所に注射するだけでサービスが受けられる。
 「御殿場プレミアム・アウトレット」は来場客の約9割が車を利用する。2022年12月には電気自動車用充電器を8台増設するなど、さらなる利便性・サービスの拡充に取り組んでいる。

三井不動産 広島空港の駐車場で太陽光発電
 三井不動産(東京都中央区)は、「広島空港」を運営する広島国際空港(広島県三原市)とPPA契約(電力売買契約)を締結し、同空港の駐車場を利用したカーポート型太陽光発電設備を設置・所有・運用すると発表した。運用開始は2023年11月を予定している。
 計画では広島空港の駐車場に容量2.6MWのカーポート型太陽光パネルを設置し、年間2700MWhの電力を空港ターミナルビルに供給する。太陽光発電によるCO2削減効果は年間1450tを見込んでおり、これは広島空港で一年間に排出されるCO2の約19%に匹敵する。
 カーポート型太陽光パネルを採用する事で夏場の遮熱効果や悪天候時の雨避けとしての機能も果たし、空港利用客の利便性向上もねらう。また、災害時のターミナルビルへの電力供給や、停電時の非常コンセントでの外部への電力供給が可能となるなど、災害対応力の強化にも貢献するとしている。
 2021年7月から広島空港を運営する広島国際空港は、三井不動産が筆頭株主。同空港はCO2排出削減の取り組みを検討する「重点調査空港」に選定されており、脱炭素化に向けた検討を行ってきた。三井不動産は自社の知見を最大限活用し、広島国際空港と一体となって空港の脱炭素化推進について検討を進め、その結果脱炭素化に向けた取り組みの第一弾としてPPAスキームを活用した再生可能エネルギーの導入を行うこととなったという。三井不動産と広島国際空港では今後さらなる再生可能エネルギーやEV車両、省エネ機器の導入あど脱炭素化に関する取り組みを推進し、持続可能な社会の実現に貢献していくとしている。

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