不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2022.09.05 10:07

「スマイルホテル」等運営のDX化を推進 ホスピタリティオペレーションズがテック企業と連携
SQUEEZEと顧客体験価値提供
 独立ホテルチェーン大手で「スマイルホテル」等を運営するホスピタリティオペレーションズ(東京都千代田区)はこの程、ホテル業界のDXを推進するSQUEEZE(東京都港区)と業務提携。クラウド宿泊運営システム「suitebook」の導入開始と、ホテル運営のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の領域で協業を進めていく。
 昨今の宿泊業界では、労働人口減少による人手不足への対応、新しい生活様式(ニューノーマル)に適したゲスト体験の構築、煩雑なペーパーワーク、フロント・清掃業務のオペレーション生産性の向上など、様々な要素からデジタルトランスフォーメーションが求められている。
 ホテルで働く従業員を、より「人」の介在価値や、付加価値の高い業務に適切にシフトしていくことは大きな意義がある。今回の業務提携を通じて、ホスピタリティ社が長年にわたりホテルチェーンの運営で培ってきたサービスとネットワークの強み、SQUEEZE社が取り組んできたホテルDXのノウハウを活かし、「テクノロジー×オペレーション」の領域で協業することで、顧客の体験価値の向上を目指すとともに、DXの推進スピードの更なる向上を目指していく。 
 具体的には、プロセスではなく付加価値の高い業務にシフトできるようなDXの推進、チェーンメリットを最大化するクラウド運営ソリューションの導入、コンパクトホテル(50室規模)の運営における協業、等を進めていく。
 ホスピタリティオペレーションズは、ホテル運営事業のほか、リゾート運営事業、運営コンサルティング、太陽光発電事業などを展開。現在、72施設、9789室を運営している。
 一方、SQUEEZEは、「空間と時間の可能性を広げるプラットフォームになる」という企業ビジョンのもと、2017年にホテル・民泊などの宿泊事業者向け運営SaaSである「suitebook」の提供を開始。ソリューション事業として、スマートロック販売事業や宿泊施設のデータ分析など、顧客が必要とするあらゆるサービスをワンストップで提供できる体制を整備してきた。また、スマートホテル事業として「Minn?ミン」、「Theatel-シアテル」というブランドで、直営ホテルも展開している。 

広島リブランド「プレミアム」に改称
 同社はまた、9月15日、広島県広島市中区に「スマイルホテル広島」をリブランドオープンさせる。同ホテルは、同社が運営するホテルとして、広島県では初出店となる。また「スマイルホテル」「スマイルホテルプレミアム」ブランドのホテルとしては全国で64店舗目となる。
 同ホテルは広島電鉄「八丁堀」駅より徒歩8分に位置。広島のシンボルである広島平和記念公園や、原爆ドームへのアクセスも良好で、ビジネスはもちろん、観光客ニーズも期待している。
 建物は鉄骨造地上9階建て、延床面積4322・95㎡、客室は160室。内装はシンプルでスタイリッシュに、ロビーや客室には広島県内の観光地をデザインに取り入れた装飾を施した。客室にはダブルルームとツインルームがあり、浴室にはハンドシャワーのほか、天井にシャワーパネルを完備している。これによりリラックス効果を高める。

カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント 宇都宮駅再開発複合施設に出店
 カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント(東京都港区)では、宇都宮駅東口地区整備事業で、「カンデオホテルズ宇都宮」を8月26日に宇都宮駅東口に開業させる。同社にとって、栃木県内では佐野に続き2施設目、宇都宮市内では今回が初となる。
 同ホテルは、住友商事(東京都千代田区)と、JA三井リース建物(東京都中央区)が民間施設所有者として事業参画する複合施設「Utsunomiya Terrace」(ウツノミヤテラス)の核テナントとしての出店となる。
 建物は、地上14階(5階~14階、1~2階の一部、客室は288部屋。13階にはフロント・ロビー・レストラン、最上階にはスカイスパ(露天風呂・内湯・サウナ)を併設する。
 室内でのデスクワークで機能性を重視した「ビジネスワイドダブル」や、窓際に配置された小上がりソファをベッドとしても利用することで、3名でも宿泊可能な「ハリウッドツイン」など、ビジネス利用にも観光ニーズにも対応できるスタイリッシュで居心地の良い空間を設えた。最上階の特別ルーム「プライベートスパスイート」では、小上がりソファに加え、客室内に露天風呂を備えており、プライベートな空間で宇都宮市街の眺望を楽しみながらゆっくりと入浴を楽しめる造りとした。
 目的に合わせて選択できる17㎡~42㎡、全8タイプのバラエティ豊かな客室を用意することで、出張などのビジネスニーズはもちろん、家族や仲間同士の宿泊などの多様なニーズに対応する。
 同ブランドでは、多くの施設で男性サウナにはドライサウナ、女性サウナにはミストサウナを設置している。近年のサウナブームの高まりと多様化するニーズに応えするため、男女ともにオートロウリュ形式のサウナを導入した。30分に1回のサウナストーンへの注水で蒸気を発生させるオートロウリュシステムの採用により、湿度と体感温度を上げ、心地よいサウナ浴を実現する。
 同ホテルの女性サウナには水風呂が併設されていないが、サウナで火照った身体をクールダウンさせる設備として2022年6月にLIXILより発売された最新型の全身シャワー「ボディハグシャワー」をホテル業界として初めて導入した。

ハイアットセントリック銀座 クリエイター作品展示ルーム提供
 東京・銀座の並木通りに位置するライフスタイル ホテル「ハイアット セントリック 銀座 東京」(東京都中央区)は、主に知的障害のある作家とアートのライセンス契約を結び、作品のアートデータを軸に社会の様々なモノ・コト・場所へ事業を展開する、ヘラルボニー(岩手県盛岡市)と提携。今年5月から提供を開始したコラボレーションしたコンセプトルームを11月30日まで継続販売する。
 ヘラルボニーと契約する13名の作家の作品にフォーカスし、彼らの作品を壁や床、鏡、ハンガーで表現し、パワーあふれるアートの空間をつくりあげている。ヘラルボニー社が運営するブランド「HERALBONY」は、今年1月より「福祉」や「障害」という普段の生活で関わりを持ちづらい分野と生活者の間にある目に見えない境界線を溶かし、福祉を起点とした新たな生活様式を創り出すために「ライフスタイルブランド」としてその領域を拡張した。ライフスタイルブランドが空間を彩る第一歩として、ホテル「ハイアット セントリック 銀座 東京」とのコラボレーションを実施している。
 知的障害のあるアーティストが生み出す、異彩を放つアートの力で、訪れるゲストの方々の感性を刺激。新たな視界や価値観が生み出される宿泊体験を通じて、豊かな気持ちを味わえるようなコンセプトルーム。スタンダード、スイートの各タイプで両社が手掛け、乃村工藝社に空間デザイン・施工協力した。期間中、各室1日1組限定で宿泊できる特別な客室で、異彩を放つアートをさまざまな素材・手法で取り入れ、「ヘラルボニー」の世界観を楽しめるインテリアに加え、手に取って使用できるアイテムのセレクトにもこだわり、空間全体を演出する。 

ウェルス・マネジメントG 新業態を2カ所で
 ウェルス・マネジメントグループ(東京都港区)では、これまでスモールラグジュアリーホテルの戦略的な開発・運用を軸に事業展開を行ってきた。同社はこのほど、同事業で培ったノウハウや実績を活用して、レジデンスに居住しながら世界的なラグジュアリーホテルの施設やサービスを利用することが出来る「ホテルブランデッドレジデンス」の開発案件を推進する。
 既に開発着手中の「北海道(ニセコ)」と取得予定の「長野県白馬村」のエリアで、ヴィラタイプとコンドミニアムタイプを視野に入れて検討を進める予定だ。同社は今後、「ホテルブランデッドレジデンス」案件の規模は100億円程度を目指して開発に取り組んでいく。
「ホテルブランデッドレジデンス」とは、世界的なラグジュアリーホテルの名前を冠したレジデンス(区分所有建物)のこと。レジデンス部分に居住しながら、世界的なラグジュアリーホテルのハイグレードな施設やサービスを利用できる。 

西鉄グランドホテル 庭園デザイナーとコラボ
 西鉄ホテルズ(福岡県福岡市)が運営する「西鉄グランドホテル」では、庭園デザイナー石原和幸氏プロデュースのコンセプトルーム「2つのGarden room」を提供する。
 世界的な庭園デザイナー・石原和幸氏が「大名の杜」をテーマにプロデュース。美しい庭園の世界をより近くで感じてもらえるよう、2つの部屋「大名の杜 -Green garden-」「Four seasons -Flower garden-」を誕生させた。SDGsの取り組みとして、客室内の装飾には再利用可能なアーティフィシャルフラワー(造花)を使用している。
 「大名の杜 -Green garden-」には、家庭用プラネタリウムを設置。夜は部屋いっぱいの星空を眺めることができ、自然の中にいるような雰囲気を演出する。

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