不動産トピックス

今週の一冊

2022.05.09 10:44

「そこそこ」の若者に住みよい東京

寡欲都市TOKYO 若者の地方移住と新しい地方創生
著者:原田 曜平
発行日:2022年1月10日
発行所:KADOKAWA
価格:920円(税別)

 若者研究を専門とする著者が、日本の「未来」がどうなっていくか、「東京」を切り口として書いた一冊。序章「今の日本が置かれた状況」では、人口減少を受入れ、「美しい縮小」とするか、移民増加とするか、選択肢はたった二つという。そして現状の東京は、世界の若者たちにとって実は最も魅力的な都市に既になりつつあるという理由から、「移民増加」の観点で論を進める。
 今、世界の若者の価値観はどう変わりつつあるのか。半径3メートルの幸せ、居心地の良さを求めておとなしくなっているミレニアル世代、Z世代。
 彼らにとって東京は物価が安く生活コストが低い。世界の先進国の大都市部で最も楽に暮らせる街として認識されれば東京は「世界一の都市」になれる。その可能性を本書では様々なエピソードやデータを用いて探る。
 曰く、東京は一流が集う場所ではないが、学歴や情報感度がそこそこの若者にフィット、何も考えずに暮らすなら東京が最高、TVドラマ「あまちゃん」は現代っ子のリアリティがない、東京の便利さを捨てられず変化を求めないのが現代の若者、等々。複雑な評価ではあるがなるほど納得の論が続く。そして二択を読者に投げかける。ぜひご一読を。

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