不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2022.01.31 10:36

ファーストキャビンHD コンパクトホテル運営のスマート化図る 城所不動産会社と連携
 飛行機のファーストクラスをイメージしたコンパクトホテル「ファーストキャビン」を展開しているファーストキャビンHD(東京都港区)。同社はプランテック総合計画事務所のグループ会社として2006年に設立、最盛期には20店舗以上を運営していた。しかし、急激な出店とコロナ禍の影響で、旧ファーストキャビンは、2020年11月に破産。その後、東証ジャスダック上場会社、新日本建物の子会社のNAPに譲渡され、2021年1月に現社名に変更した。現在の資本金は14億円、うち準備金6億円。新体制として新たなスタートを切った同社は現在、リブランディングによる成長戦略を打ち出している。

新体制でスタート リブランドを実施
 同社は旧ファーストキャビンが展開していた施設の一部を継承した。現在、休業中含め契約している店舗は「羽田ターミナル1」「赤坂」「御堂筋難波」など11店舗となった。
 新たに体制を整えたことで、同社は昨秋より本格的なリブランディングに着手。公式アンバサダーとしてフリーアナウンサーの宇賀なつみ氏を起用したほか、新コンセプトとして「STAY SMART」を掲げた。
 「これまでは、高級感ある設備とサービスで、非日常空間を提供することをコンセプトにしてきました。ここに、ワーク&ライフの価値を上げるコンパクトホテルとして、新しい価値観を提供していく」(米良浩幸社長)という。
 気軽に泊まれる手軽さを打ち出し、「仕事が終わっても『あえて自宅に帰らない』という選択をしてもらい、忙しい日々の中での貴重な時間で、心と身体の充実化を促していきたい」(米良社長)。
 コンセプトに合わせて、貸し会議室大手ティー・ケー・ピー(東京都新宿区)がフランチャイジーとして運営していた「市ヶ谷」を、ファーストキャビンHDが直営として再オープンさせた。
 同施設は「美と健康」をテーマにし、働く女子を新ターゲットに、専門家の監修のもと、独自のファスティング(断食)プランなどを提供する。新コンセプトに対する同社の期待は大きい。
 「立地ごとのマーケティングによるリニューアルに加えて、異業種とのコラボレーションなどにより既存施設の付加価値を高め、収益力のアップに努めていきたいと考えています。特に『市ヶ谷』の施設は直営施設として今後も様々な取り組み進めていきたい」(米良社長)という。
コロナ後見据え成長戦略を描く
 同社は、リブランディングとともに、コロナ後を見据えた成長戦略を描く。大きなテーマは「収益力アップ」と「新規事業の開発」だ。
 同社は昨年5月に、不動産テックを活用した新築投資用マンションの企画開発を行うタスキ(同)と、資本業務提携契約を締結している。
 具体的には、タスキの技術力を基に、ファーストキャビンHDのDX推進をサポートし、テクノロジー基盤の導入、デジタル人材の育成支援を図ることでホテル運営のスマート化を図る。
 インバウンド需要を見越して近年、新規ホテルの開業ラッシュが続いた中でコロナ禍になったことにより、今後は供給過剰が懸念される。当然、ビジネスホテル以下の客室単価は下落する可能性は高い。先を見据えて同社は3500~4000円のレンジで勝負していきたいという。
 収益力を高めていくためには当然、原価を下げることが必要になる。タスキとの連携で同社は、運営コストを軽減させる新たなシステム開発に着手する。「例えば自動チェックイン・チェックアウトシステムの導入などで、例えばこれまで3人のスタッフを置いていたのを、2人、1人へと減らせるような体制を作っていく」(米良社長)。
 また、タスキ商品のペルソナとする東京都心でアクティブに活動する若い世代に向け、自宅、職場とは別の「第3の場所」として、「キャビン」を提案。コロナ禍後のライフスタイルを実現させる空間を提供する。新しい形として、テレワークキャビンやサブスクリプションによる新しい居住スタイル、ペットホテルなどの空間創造に取り組んでいく。
 「提携を機に、グランテックという不動産子会社を新たに設立しました。両社の営業活動で有効活用可能な事業用地、空きオフィス、空き店舗等の空間情報を共有し、新規出店の用地開発など、不動産オーナーに対するクロスセル・アップセルの提案による収益機会の拡大に取り組みたい」(米良社長)という。

マリオット・インターナショナル 約20年ぶりに名古屋中心部に外資系
 マリオット・インターナショナル(本社・米国メリーランド州)では、同社が展開するホテルブランド「コートヤード・バイ・マリオット」の国内6軒目となる「コートヤード・バイ・マリオット名古屋」(愛知県名古屋市)を3月1日に開業させる。約20年ぶりに名古屋中心部にオープンする外資系シティホテルとなる。
 ホテルの土地建物は読売新聞東京本社(東京都千代田区)が所有しており、積水ハウス(大阪府大阪市)がプロジェクトマネジメントと建物の設計・施工を担い、積水ハウスグループで一棟借りする。運営管理は積水ハウスの長年にわたるパートナーであるマリオット・インターナショナルが行う。
 同ホテルは、地下鉄東山線「伏見」駅から8分に位置、名古屋駅を拠点に、名古屋鉄道で中部国際空港に最速29分でアクセスできる。多くの製造業が本社を置く中部地方で最大の都市に位置し、イベントや会議などが多く行われるビジネスの主要エリア。名古屋最大の繁華街・栄エリアの一角にあり、ショッピング、食事、エンターテインメントなどのレジャーも楽しむことができる。
 同ホテルの特長の1つは、ビジネスのニーズに応える最先端のAV機器を備えたMICE施設だ。500名まで収容可能のこの施設は、大規模なレセプションや会議に適した440㎡のセントラルボールルームのほか、会議やプライベートイベントに利用できる220㎡のクリスタルルームと140㎡のオアシスルームを備えている。
 客室は10室のスイートを含む全360室。「キング」「ツイン」の両タイプを基本としつつ、利用者の多様な宿泊ニーズに対応するため、ソファベッド付の客室、ファミリーやグループで利用できるコネクティングルームも用意。室内はアースカラーのインテリアを採用した。
 同ブランドは、世界60以上の国と地域に1200軒以上のホテルを展開する。
 マリオット・インターナショナルは、138の国と地域に30ブランド、合わせて7900軒以上の宿泊施設を擁する。

NOW ROOM ウィークリー・マンスリー化が進む 幅広いニーズ期待
 NOW ROOM(東京都新宿区)が運営する、ウィークリーマンション・マンスリーマンション・2年以上の家具家電付き賃貸サービス「NOW ROOM」は、藤井不動産(東京都中央区)と連携。同社が東京都・新日本橋エリアで展開する「hostel DEN」をウィークリー・マンスリー賃貸として掲載することとなった。
 NOW ROOMは、2020年5月のサービス開始から1年7カ月で全国網羅率は100%、家具家電付き賃貸の室数も全国トップを達成している。
 ウィークリーマンション・マンスリーマンションから2年以上の家具家電付き賃貸からホテルに至る幅広い選択肢とオンラインの手軽さにより、個人から法人まで多くの利用者を獲得している。
 また、法人からの需要が高い出張や単身赴任時の住まい利用はじめ、引っ越しやリフォームの際の仮住まい、さらには長期観光やワーケーション利用などゲストの多種多様なニーズに対応するため、東京や大阪などの都市部から地方まで全国横断的にウィークリー・マンスリーマンションの掲載に注力。同時にホテルのウィークリー・マンスリーユースという新たな「住まい」のスタイルを提案するためのホテル掲載も推進している。 
 藤井不動産は、「hostel DEN」を運営している。東京都心の新日本橋駅や神田駅、小伝馬町駅から徒歩数分という立地にあり、ドミトリータイプの快適な居室やスタイリッシュなリビング&ダイニング、さまざまな用途に使えるルーフトップやコワーキングスペースなどの付帯設備が特徴だ。

アパグループ 温泉旅館をリニューアル
 アパグループ(東京都港区)が運営する「アパホテル&リゾート加賀片山津温泉 佳水郷」(石川県加賀市)では、1月10日にリニューアルオープンした。
 今回のリニューアルでは、アパホテルが提唱する「新都市型ホテル」のデザインを、温泉旅館の和の雰囲気と融合させ、フロントロビーの内装を全面的に刷新した。
 フロントロビーは、デザインされたカーペットの中央にシャンデリアを導入したほか、大浴場「たまゆらの湯」内湯洗い場に新型コロナウイルス感染拡大防止対策として、大浴場洗い場に仕切りを設置した。館内にも片山津を楽しんでもらうため、片山津温泉や柴山潟をイメージしてデザインされたカーペットを導入。大広間舞台付き350畳の大宴会場に相応しいイメージした内装もリニューアルした。
 同施設は加賀片山津温泉の中央に広がる柴山潟湖畔に建つ温泉宿。客室は全てレイクビューで、大浴場・露天風呂からは、柴山潟とその向こうに連なる白山連峰を望むことが出来る。
 同グループは現在、海外、FC、パートナーホテルを含む全国最大級の680ホテル・10万5015室を展開している。
 2020年4月にスタートした「SUMMIT 5―1.1.1.(第三次頂上戦略)」では、 国内で圧倒的なNo.1ホテルチェーンとなるべく、2025年3月末までにアパホテルネットワークとして15万室展開を目指している。

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