不動産トピックス

今週の一冊

2021.11.08 12:06

調査会社の倒産レポートから見えるのは

コロナ倒産の真相
著者:帝国データバンク情報部
発行日:2021年5月7日
発行所:日経BP
価格:900円(税別)

 コロナ禍の倒産は大々的に報じられたものからひっそりと閉店した小さな飲食店まで様々だ。「幸せな企業はみな一様に似通っているが不幸な企業は各社それぞれである」ともいうらしいがさて本書では娯楽産業、製造業、影響を大きく受けた飲食業、観光業、アパレル業の23件の倒産事例を解説する内容の濃い1冊。調査会社のレポートは数字に裏打ちされた的確な状況分析が実に充実している。
 23件の倒産までの流れは、コロナ禍が引き金となった会社、一方でコロナにより好調から一転、急激に悪化した企業など様々だ。電車利用者の減少により倒産したのは鉄道業者ではなく忘れ物取扱業者であったり、ニュースにならないような思いもよらない余波に驚く。
 コロナ禍という大波では避けられなかった倒産も、一社一社の詳細を見れば経営者の決断による結果の差が垣間見える。ある社では、「給料遅配で社員のモチベーションが低下し、社員退職の悪循環」のパターン。最後まで守るべき従業員給料の遅配が倒産への最短距離となっていた。 倒産に「もし」は禁物だろうか。もし従業員の士気を下げるようなことをしなければ最悪のパターンは免れたか、倒産時期を遅らせることができたかもしれない。

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