不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2021.08.23 10:46

湘南レーベル 「8HOTEL」ブランディング強化 DDホールディングス傘下でシナジー効果狙う
「緑」コンセプトの空間規格をスタート
 湘南レーベル(神奈川県藤沢市)が運営している「8HOTEL CHIGASAKI」(神奈川県茅ケ崎市)では、開業一周年を記念して、8月29日まで「Mind detox」をコンセプトに掲げる空間企画「Poolside Botanical」を開催する。これは日本緑化企画(東京都千代田区)らとの協力によって、世界中から厳選したグリーンをプールサイドに用意し、より夏らしく、よりリラックスできる空間を提供していこうというもの。
 イベント開催中は、宿泊者に向けて「3Sキャンペーン」と呼ばれる、サーフィン体験・SPUヨガ体験・熱波サウナ体験も提供する。
 「8HOTEL」は、「1週間が8日あったらどのようなインスピレーションを抱くのだろうか?」をコンセプトに、泊まるだけでなく、湘南のビーチカルチャーを滞在通して楽しめるソーシャルホテル。
 同ホテルは、昨年9月に同ブランド第2号としてオープン。全36室と小規模ながらも、観光やビジネス利用者に非日常的な時間を提供するコンセプトホテルだ。
 エントランスにはヤシの木を配置し、4階建ての白い建物に囲まれたプール、そこを中心にエントランス・ラウンジ・サウナが配置された造りは海外のビーチリゾートを意識した。男女共用で使用できる愛好者専用ブランドTTNE incプロデュースの本格サウナを配置、三輪タクシートゥクトゥクによるビーチまでの無料送迎、毎週日曜日に開かれるヨガレッスン等、様々なサービスを用意している。
リニューアルを推進 全国展開も視野
 同社はこれまでに、ビジネスホテルとして、「THE HOURS」「PARK IN HOTEL ATSUGI」「Travel inn」、カジュアルホテルとして「8HOTEL」など、コンセプトに合わせたブランドを展開してきた。
 もともと、主要顧客を絞り込んだブランディングを進めてきた同社だが、更なる戦略として、「今後はそれぞれコンセプトを合わせたブランドとして統一感を持たせる」(藤原大和社長)考えだ。
 例えば主力ブランドとして期待されている「8HOTEL」は、藤沢の第一号店が開業から10年を経ていることもあり、茅ケ崎に寄せたリニューアルを計画しているという。
 一方、ビジネスホテル分野では、厚木の「PARK IN HOTEL ATSUGI」、平塚の「Travel inn」の2棟を「THE HOURS」ブランドとして集約する。  モデルとなるのは「PARK IN HOTEL ATSUGI」で、客室の時間貸しやデイユース、インターネットカフェの併設など周辺施設とも一線を画しておりモデルケースとなる。
 「現在平塚は9月まで県の療養施設として使用されているため、契約が終了次第、平塚・厚木・藤沢と順次リニューアルを進めていく計画」(藤原社長)。
一部上場企業子会社グループ内の存在感大
 同社は2007年の創業以来、「湘南を世界のSHONANへ」というスローガンのもと、「湘南の感度の高いビーチカルチャー」をベースとした、人々の暮らしにかかわる事業に注力。ホテル運営事業はじめ、飲食事業、貸コンテナ事業、賃貸事業、戸建て不動産販売事業、貸別荘事業等を展開している。
 同社は2019年12月に、コンセプトレストラン等を運営する東証一部上場企業のDDホールディングス(東京都港区)の連結子会社となった。
 もともと両社は独自のコンセプト・デザインを打ち出した戦略で成長してきた。DDホールディングスが得意とする外食分野と湘南レーベルの土地活用分野のシナジーにより、複合施設の出店等含めた街づくりを目指していく等、成長戦略を描いていた。
 ところが、コロナ禍による本体の業績不振により、当初見込んでいたシナジー効果は当面難しくなった。もっとも湘南レーベル自体は、2021年2月期の売上高は11億7200万円、営業利益が9600万円と、債務超過に陥った本体の中、セグメント別で唯一の増収増益、今期も更なる増収増益を見込んでおり、グループの中でも早くも存在感を出している。
 湘南レーベルは、不動産活用事業の中でもホテル事業を今後の成長戦略に位置付けており、ブランディングを強化することで、FCによる全国展開を進めていきたいという。

USEN-NEXT GROUP コロナ後見据えDX化を支援
 USEN―NEXT GROUPのアルメックス(東京都品川区)では、アフターコロナを見据えた戦略を進めていく。8月末日に東証一部上場企業のand factory(東京都渋谷区)より民泊・簡易宿泊施設向け管理システム「innto」のソフト共有保有権を事業譲受する契約を締結した。
 今回の事業譲受で、これまで以上にアルメックスは、敏速なソフトウエア開発と既存商品とのスムーズな連携で、一気通貫にサービスを展開することが可能になり、「今後、中小宿泊施設様の本格的な事業回復に向け、DX改革を迅速かつ強力にバックアップすることができます」(同社)という。
 宿泊管理システム「innto」は、PMSとも呼ばれ、宿泊施設の予約や販売価格、残室数、料金といった客室に関する情報を一元管理できるシステム。宿泊客のチェックイン、チェックアウト、精算などのフロント業務を支援し、部屋の滞在や空室の状況把握、いつどれくらい予約が入っているかなどの予約管理をすることができる。また顧客管理や売上管理、宿泊、予約のデータ分析などの集積されたデータを生かすことで、スムーズな顧客対応や販売戦略策定に役立てることが可能になる。 
 アルメックスは、宿泊施設向けのシステムを多数提供している。スマートチェックインKIOSK、自動チェックインタブレット、サイフィゲート(発熱検知カメラと顔認証チェックインカメラ)など一連のアフターコロナソリューションに加え、サイトコントローラーやブッキングエンジンなど、他社サービスと連携する。宿泊施設のオペレーションを包括的に支援し、インバウンド再来を見据えた宿泊施設の生産性向上と宿泊者UXの飛躍的な改善を後押しする。

Karakami HOTELS&RESORTS 「オーダーメイドホテル」会員制予約サービス
 Karakami HOTELS&RESORTS(東京都中央区)はこのほど、オーダーメイドホテル&レジデンスブランド「YAMATO」に宿泊できる会員制宿泊予約サービス「YAMATO STAY」を東京にオープンさせた。合わせて、同ホテルの世界観やコンセプトがいち早く体験できるモデルルームも東京にオープンさせた。
 従来のホテルのような不特定多数の人のために作られた定型的なホテル空間ではない、世界にひとつしかないオリジナルの戸建て型オーダーメイドホテル。「YAMATO STAY」はこうしたオーダーメイドホテルの宿泊体験を可能にした、会員制のホテル予約サービスだ。「YAMATO STAY」メンバーになることで、モデルルーム“HARUMI”、及び今後拡大予定の全YAMATO物件が利用可能だ。
 会員制宿泊予約サイト「YAMATO STAY」に入会することで「YAMATO STAY member」に登録される。会員には、宿泊以外の様々な体験オプションを提供する。 
 専属のバトラーチームが24時間体制で、宿泊者様に最適化した「ワンバイワン」サービスを提供。食事、送迎、清掃等あらゆる滞在中のサービスアレンジメントに対応する。

キンプトン新宿東京 長期滞在プラン販売開始
 昨年10月にオープンしたラグジュアリーライフスタイルホテル「キンプトン新宿東京」(東京都新宿区)では、ホテル初となる長期滞在ゲスト向けの宿泊プラン「キンプトン・ロングステイ」を販売している。
 同プランは、30連泊のロングステイを1室60万円から滞在できるもので、12月21日までの期間での提供となる。宿泊料金には、ステイ中のWi―Fi利用やフィットネスルームはじめ、駐車場の利用も可能。
 長期滞在ゲスト向け宿泊プランの販売は同ホテル初の試みとなり、テレワーカーやステイケーショナーといった、この状況下において多様化する需要層の取り込みを目指す。
 滞在中には、毎日開催される「イブニングソーシャルアワー」や、毎朝利用可能なドリンクサービスなどの宿泊特典も用意。また、24時間利用可能なフィットネスセンターや全室に完備されたヨガマットも利用できる。日々のワークアウトにて同ホテルはペットフレンドリーなラグジュアリーライフスタイルホテルとして、館内はほぼ全てのエリアでペットと一緒に過ごすことが可能。
 同ホテルは、2020年10月2日に東京・西新宿に日本初上陸したIHGホテルズ&リゾーツのラグジュアリーライフスタイルブランド。インスタレーション、ポップアップストア、ローカルに愛されるレストランなど、いつも何かが新しく、誰かに教えたくなるような事が見つかる、NYのアートシーンからインスピレーションを受けたラグジュアリーライフスタイルホテルなのだという。

サンフロンティア不動産グループ 1棟まるごとオフィススペースに
 東証一部上場企業のサンフロンティア不動産(東京都千代田区)の連結子会社であるサンフロンティアスペースマネジメントは、顧客のあらゆるスペース需要に応える「Order Made Space 西新宿」(東京都新宿区)をオープンさせた。
 同施設は、同社グループのオーダーメイドスペース事業としては初となる、1棟ホテルをオフィススペースに用途転換して運営するもの。昨年までホテルとして運営されていた。しかし、コロナ禍の影響により事業者が撤退、ビルオーナーから相談されたことから、今回の事業へとつながったという。
   従来、ホテルとして利用されていた客室からベッドを撤去し、オフィス家具や照明器具等を設置、オフィス空間へと転換させた。オーダーメイドスペースは、オーダーに合わせてセットアップするため、顧客のあらゆるニーズに幅広く提供する。

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