不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2021.05.24 10:41

不動産テック企業のタスキがホテルDX参入 ファーストキャビンと資本提携し業域を拡大
 不動産テックを活用した新築投資用IoTレジデンスの企画開発を行うタスキ(東京都港区)では、コンパクトホテルを展開するファーストキャビンHD(東京都新宿区)と資本業務提携契約を締結した。両社の培ってきたコンパクトな空間活用のデータを元に、テクノロジーを利用した空間提供に向け協業していく計画だ。
 タスキは、同社が展開する「TASUKI TECH」のAIを応用した、ホテル運営におけるオペレーションUXの変革と、それに伴う収益構造の改革により、ホテル業界を革新させるDXソリューション分野に参入する。
 今回の提携はタスキのスタートアップ投資事業の一環として行われ、TASUKI Incubation Fundの第1号の出資案件。ファーストキャビンは第三者割当の方法により普通株式100万株を発行し、タスキが100万株を引き受ける。取得価額及び出資比率は、相手先の意向を踏まえ守秘義務契約により非公表。
 タスキは、新築投資用IoTレジデンス「タスキsmart」の企画開発を中心に、不動産テック領域で事業を展開している。「アナログな商習慣が未だ残る不動産業界をテクノロジーの力で変革し、“ライフプラットフォーマー”として、人々の暮らしを豊かにする事業の取り組みを進めています」(同社)。 一方、ファーストキャビンは飛行機のファーストクラスをイメージしたコンパクトホテル事業を関東・関西エリア駅徒歩5分以内の立地でフランチャイズを含め、羽田空港、関西空港、東京ドームシティ等の大型施設内に15店舗を展開している。カプセルホテルでもなく、ビジネスホテルでもない独自の新しいホテル形態が支持を集め、会員数320万人を超える豊富な実績を有している。空きビルや空き店舗をリ・デザインする、一部店舗ではラウンジをコワーキングスペースとして活用するなど、これまでのホテル運営にとらわれない空間活用に取り組み、グローバル展開を含め100店舗を目指している。 
 両社共に、駅徒歩5分以内の立地に、テクノロジーを活用したコンパクトな空間を顧客に提供しており、互いに培った空間活用のデータとノウハウを組み合わせることで、両事業のさらなる発展を実現させていく。  タスキでは今後、「住む」「過ごす」「泊まる」という多様な空間体験データを、テクノロジーを活用し、すべての顧客に快適な空間を提供していきたいという。 
 また、タスキの顧客である不動産オーナーに対する提案として、現状のIoTレジデンスのみならず、ホテル運営の提供、ファーストキャビンの顧客である不動産オーナーに対する提案として、ホテル運営のみならず、タスキのIoTレジデンスの提供などの不動産開発のクロスセルも可能となり、提携による更なるシナジーも見込める。 
 ファーストキャビンに対しては、これまでタスキが培ってきたIoTソリューションやホテルの企画開発、コンサルティング、不動産DX推進、AIソリューションのノウハウに基づき、スマートホテル開発を支援していく。
 IoTを活用したスマートホテルを開発することで、宿泊者にはパーソナライズされた快適な空間と、非接触による安全を提供できる。ファーストキャビンにとっても、人件費の削減と人手不足の解消による収益向上が見込める。スマートホテル運営から得られるデータは、「タスキsmart」の新機能開発にも活かしていく予定だ。

オリックス不動産×オリックス・ホテルマネジメント 全国21施設で「地方共創プロジェクト」始動
 オリックス不動産(東京都港区)とオリックス・ホテルマネジメント(同)は、運営する旅館・ホテル、研修施設、水族館の計21施設で、地域の魅力を発掘・発信し、地域と施設の長期的なブランド価値向上を目指す取り組み「地域共創プロジェクト」を始動させた。
 同プロジェクトは、域内の企業や自治体との連携を図るとともに、オリックスグループのビジネス基盤を活用して観光資源の発掘や創出を行い、域内観光の利便性向上、新たな地域情報の発信などを通じて、地域の長期的で安定的なファンを増やし、「訪門客」「地域」「施設」にとっての好循環を促すことを目的としている。
 このプロジェクトの始動に伴って、各施設の「地域共創担当者」を任命。各担当者は今後、地域活性化に繋がる地域の魅力・特色を生かしたイベントや新しい体験、最新技術を活用した観光・宿泊プランなどを企画・推進する。
 また、レンタカーやカーシェアリング事業を展開するオリックス自動車やオリックス・バファローズなどと連携しながら、新しいイベントや観光・宿泊プランを創出する企画を実施していく。
   第一弾として地域全体へのロケ誘致を図る取り組み「オリックスロケーションサービス」を、会津若松市・京都市・別府市の3地域で開始した。映画やドラマを通じた地域PRを目的に、各自治体と協力して、同社の運営施設のみならず地域の魅力ある施設や観光地などをテレビや映画制作会社へ紹介する橋渡し役を担う。
 会津若松市では、市が運営する「会津若松フィルムコミッション」と連携し、会津全域で積極的にロケを受け入れる。今後も各地域の自治体と協業しながら、実施エリアを拡大していく計画だ。
   同社は、今後もさまざまなアイデアと地域の方々との連携を通じて、観光需要の拡大を推進し、地域経済の活性化に貢献していきたいという。

ダイワロイヤルが熊本県内初出店
 大和ハウスグループのダイワロイヤル(東京都)では4月26日、「ダイワロイネットホテル熊本」(熊本県熊本市)をオープンさせた。ホテルのオープンにより、ダイワロイネットホテルは全国で64カ所、熊本県内では初出店となる。
 ホテルは、地上11階建て、総客室数は152室、熊本市電「花畑町」駅徒歩約1分の場所に位置する。敷地面積839・93㎡、建築面積625・74㎡、延床面積5370・23㎡、鉄骨造・地上11階建て。1階にはレストラン、2階がフロント他、3階~11階が客室となっている。客室は、熊本市内初の全室バス・トイレ別のセパレートタイプで、客室面積は21㎡以上とした。全室40インチ以上の液晶テレビ、冷蔵庫、セーフティボックス、ズボンプレッサー、温水洗浄便座付トイレ、加湿機能付空気清浄機等を備える。
 ビジネスユースだけではなく、観光利用者にも宿泊を楽しめるよう、熊本県が誇る伝統工芸品である肥後象嵌(ひごぞうがん)の錆色をイメージしたフロントのカウンターや、熊本城の渋柿塗りの黒い外観を表現した装飾壁、床には肥後絣(ひごかすり)の縞模様と糸筋をイメージしたデザインを採り入れた。 同社では新型コロナウイルス感染症拡大を受け、「3密回避」や「衛星管理」などの観点から「新オペレーションガイドライン」を策定。アルコール消毒液や飛沫感染防止設備の設置、定期的な換気などの予防対策を進めている。

ソラーレH&R 「チサン スタンダード」ブランド開業
 ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)では7月1日に「チサン スタンダード 京都堀川五条」(京都府京都市)を開業させる予定だ。
 同ホテルは、京都市営地下鉄「五条」駅徒歩13分に位置、建物は地上10階建て、総客室数118室、シングル、ダブル、ツインの3タイプ。明るい色彩の内装のシンプルで機能的な造りが特徴。この他レストラン、レンタサイクル等を備える。
 同社は「雨庵 金沢」「ザ・スクエアホテル」「ホテル・アンドルームス」「ロワジール」「ロイヤルパインズホテル浦和」「チサン」など12のホテルブランドを有し、国内52カ所、海外1カ所、7502室のホテル宿泊部門および売店部門・料飲部門・大浴場・スパの運営、アセットマネジメント、フランチャイズ運営などの事業を展開している。

H.I.S.ホールディングス/ほか 商業リゾート内に2棟オープン
 H.I.S.ホテルホールディングス、住友林業、アクアイグニスの3社が出資するヴィソンホテルマネジメント(三重県多気郡)は、三重県の日本最大級の商業リゾート施設「VISON(ヴィソン)」内において7月20日に「ヴィソン ホテルズ」をオープンさせる。
 同社は、運営事業を担う。「身体と自然をつなぐ宿泊施設」をコンセプトに、建物には三重県産木材を可能な限り使用。資源の循環を意識した「木」のホテルとして「ホテルヴィソン」と「旅籠ヴィソン」を開業・運営する。
 「ヴィソン ホテルズ」は、プライベートヴィラとホテルタイプの客室を持つ「ホテルヴィソン」と日本的な風流が感じられる「旅籠ヴィソン」からなる。「ホテルヴィソン」のプライベートヴィラは全6棟、1棟ごとに季節を表す名称を冠し、露天風呂と外居間を配置するなど「現代的な和」を演出。茶人の千宗屋氏監修の茶室付ヴィラ、ペットと泊まれるヴィラも用意する。
 「ホテルヴィソン」のホテルタイプは全155室、一部客室には客室内と同面積のテラスを設け、大自然を感じながら露天風呂や食事などができるプライベートな空間を提供する。
 「旅籠ヴィソン」は4棟からなる全40室を用意。1棟ごとに異なるデザイナーが客室を演出する。

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