不動産トピックス

今週の一冊

2020.08.24 17:12

名言・格言多数 株式相場の世界

伝説のファンドマネージャーが見た日本株式投資100年史
著者:山下 祐士
発行日:2020年6月1日
発行所:クロスメディアパブリッシング
価格:1680円(税別)

 まえがきで著者は「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と、ビスマルクの言葉を引用する。大戦末期の軍人の言も引き合いに出し、強気の中で弱気を吐く勇気は「株式投資の極意に通ずる心意気」という。ほかにも野球選手や相場師などの名言を多数披露し、なるほど「株式投資道」は奥が深い。
 さてこの100年史、東京株式取引所設立以来、大戦を経て高度成長期、オイルショックにバブル崩壊、相場はどう動いたか、特に著者が証券業界入り後、1960年以降の解説本。
 リアルタイムで市場の内側にいたアナリストとしての分析が光る。数字の並んだ資料のみからは、もはや後世の我々では読み取れまい。
 著者現役時の約30銘柄解説では三井不動産株が興味深い。1980年当時の経理部長「これからは株価を上げる」発言だ。オフィスビルとマンション建築資金需要のためだったという。
 「これがその後に来るバブルの前兆とまでは気づかなかったが大手不動産にフォローの風が吹いてきていることは確信できた」。
 さて、今はどの業種にフォローの風が吹いているだろうか。冒頭のビスマルクに習い、あえて言うならば「投資家は利潤に学ぶ」だろうか。そして記者は読者に学ぶ。本欄にて取り上げてほしいおススメ書籍、ぜひご一報を。

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