不動産トピックス

日本橋特集 街を彩る名店探訪 日本橋さるや

2020.02.11 16:10

室町 楊枝専門店「日本橋さるや」 300年以上続く楊枝専門の老舗

 江戸時代の宝永年間(1704~1710年)に創業した「日本橋さるや」は、我が国でも稀有な楊枝専門店である。江戸時代、楊枝は主に小間物屋や楊枝専門店の店先で作られ販売されていた。宝暦(1750年代)の頃から茶屋と共に楊枝屋も盛んになり、特に浅草寺の境内では、楊枝屋が江戸中期に83軒、文化末期(1815年)には249軒もあったという。
 「日本橋さるや」の楊枝は、古来より上等とされる黒文字(クロモジ)という樹を使用。代表的商品である極細の上角楊枝は、1本ずつ手作業で作るため、熟練の職人でも1日に400本程度しか仕上げることができない。この貴重な楊枝は、由緒ある料亭や和菓子の銘店などでも使われ、また、贈答用としても多くの人々に愛されている。昨今は、粋で繊細な江戸名物の一つとして、国内外の観光客にも人気が高い。
 現在、「日本橋さるや」を経営するのは、9代目の山本亮太氏。2014年に現在地に移転し、伝統を守りながら新たな商品作りも行っている。「ちょうどCOREDO室町2・3がオープンしたタイミングに今の場所に移転しました。そのため、メディアにも取り上げられ認知度も上がったと思います。店舗は細い路地にありますが、新しいビルができたことで、新たなお客様からも注目された好例と言えるでしょう」と山本氏。9代目になってから「桐箱に文字を入れたお土産用の商品や、英語と絡めた商品も考えた」というアイデアマンでもある。特に英語と絡めたという「さむらいシリーズ」は好評とのこと。「これにて御免」などの侍の捨てゼリフと、その英訳が書かれた紙が楊枝に巻きつけてあり、食事の後も楽しめる。
 日本橋に限らずグローバル化は今後も進むが、日本の伝統文化を粋に発信する「日本橋さるや」のような専門店がもっと増えてほしいものだ。

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