不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2019.04.09 11:11

ブリーズベイホテル×ビズリーチ
 全国で120軒のホテル・旅館を運営するブリーズベイホテル(神奈川県横浜市)では、全国の後継者不在に悩むホテルや旅館を公募する。
 ビズリーチ(東京都渋谷区)が運営する、事業承継M&Aプラットフォーム「ビズリーチ・サクシード」を利用するもので、事業を譲りたい経営者のための「承継公募」の第2回として行う。公募期間は、2019年3月13日から5月17日まで。
 事業を譲りたい企業は、匿名で応募が可能。同サービスの登録から成約までの費用は無料。
 日本各地の宿泊施設では後継者不在が課題となっている。中小企業基盤整備機構が実施した調査では、ホテル・旅館業界の回答者の50・6%が「後継者は決まっていない」と回答している。今後、事業承継が円滑に進まない場合、老舗のホテルや旅館が廃業に追い込まれ、地域経済に大きな損失が生まれる可能性がある。
 ブリーズベイホテルは、2004年7月の創業時に2軒のシティホテルの譲り受けからスタートし、短期間で経営ノウハウと資金を注入することで、全国120軒の宿泊施設を譲り受け、継続運営を実現する企業へと成長してきた。
   その中の1軒である1937年創業の富山県の老舗旅館「永芳閣」は、約50室の客室数を持ち、温泉や氷見の寒ブリが自慢の旅館だった。2014年までは前社長と女将兄弟で経営をしていた。しかし、前社長が病気に見舞われたため、2014年8月に同社が承継した。 
 承継後は、旅館の名称や女将をはじめとする従業員の雇用は継続。
 そのうえで同社がこれまで蓄積してきた運営ノウハウを生かし、旅館運営の効率化や固定費用のスリム化を行いながら、地域の旬の魚を生かした目玉料理を看板に、客室のリニューアルなど積極的な投資を実施。結果、ホテル予約サイトに投稿される利用者満足度は大きく向上し、経営の安定化を実現させた。
 ブリーズベイホテルは、全国各地で後継者不在のホテル・旅館を承継し、提供価値を高め、経営の安定化を実現することで、宿泊業界が直面する事業承継問題解決に注力している。
 そこで今回、同社は「ビズリーチ・サクシード」の「承継公募」を活用して、これまで積極的に発信していなかった承継への想いや実績を広く伝えていく。それにより、事業を譲りたい経営者が一歩踏み出す選択肢を提供することを目指したいという。
 公募期間中は、ブリーズベイホテルが事業承継M&Aにかける想いや、今後の展望をビズリーチ・サクシードの特設ページ上で公開し、事業を譲りたい企業は、それを閲覧したうえで匿名での応募が可能。また、事業を譲りたい企業は、登録から成約まで完全無料での利用できる。
 同社の年商は2018年11月期で239・3億円。

TKPとアパホテルが東京・上野にFC店
 貸し会議室運営大手、ティーケーピー(TKP、東京都新宿区)は、アパホテル(東京都港区)とフランチャイズ契約を締結し、東京都千代田区外神田に「アパホテル〈上野広小路〉」(仮称)を2020年6月に開業させる。
 同ホテルは、東京メトロ銀座線「上野広小路」、「末広町」駅から徒歩3分、千代田線「湯島」駅から徒歩5分、JR線「御徒町」駅から徒歩5分と複数路線からのアクセスが可能。ビジネス需要や秋葉原、上野、浅草エリアのレジャー需要や訪日外国人需要を期待している。 
 全客室にアパホテル独自の「新都市型ホテル」標準仕様として、50型以上の大型液晶テレビや快眠を追求したオリジナルベッド「Cloud fit(クラウドフィット)」、通常の浴槽より20%節水可能で、ゆったり入浴できるオリジナルユニットバス、BBCワールドニュース無料放映、Wi-Fi無料接続を導入。ベッドの枕元に照明スイッチ類、空調リモコンを集約し、携帯・スマホの充電に便利なコンセント・USBポートを設置するなど、機能性・利便性を追求した仕様を計画している。 
 「今回のホテルが位置する上野は文化・学術の町で、訪日外国人の需要も高いことから、今後ますます伸びゆくエリアと捉えています。アパホテルは運営・建築・設計中を含めこのエリアで6棟のプロジェクトがあります。当社は政府が掲げる2030年6000万人の訪日外国人旅客数目標に向け、一翼を担うことが出来る様展開を図っていくと共に、このホテルが地域のランドマークとなれる様、開業後は運営のフォローを行っていきたいと考えています」(アパグループ 元谷一志社長)。  TKPは東京都内に95施設768室、5万2929席の会議室を利用する顧客の宿泊ニーズに答えることも狙いとしている。今般の契約に伴い、アパホテルとのフランチャイズ契約によるホテルは運営・建設・設計中を含め10ホテル2010室となる。

「レム」新ブランド1号店を銀座に
 阪急阪神ホテルズ(大阪府大阪市)では、宿泊主体型ホテル「レム」の新ブランド1号店を12月、東京・銀座にオープンさせる。
 「レムプラス銀座」は、JR「新橋」駅銀座口から徒歩約4分に位置、1階にエントランス、コンビニエンスストア、2階に ロビー、フロント、レストランを配置。3階から16階までが客室で、ダブル154室、ツイン70室、コーナーツイン14室の全238室。
 従来の「レム」のコンセプトを継承しつつ、快適性を向上させた同ホテルシングルルームを設けず、18㎡のダブルルームを主な客室タイプとした。ソファのあるくつろぎスペースを設け、ベッドサイズも140cm幅から160cm幅にサイズアップ。ダブルルームは従来のオーバーヘッドシャワーに加えTOTO製の「ウォームピラー」を導入、高い温まり効果により、湯船につかるようなリラックス感を提供する。
 各客室は「クラッシークール」をコンセプトに、銀座の品格や上質さが感じられる、スマートに洗練されたホテル空間を演出。客室ではなく「寝室」を提供。イメージは、
 江戸の伝統色を採り入れた3種類のカラースキームで構成されており、「KONJIKI(こんじき)」は、上品で温かみのあるゴールドとホワイトカラー特別感のある金色。「HIROGANE(しろがね)」は、洗練された情緒あるシルバーとホワイト。「MURASAKI(むらさき)」は、優美で贅沢なパープルとホワイトとなっている。
 阪急阪神ホールディングスグループは、「ホテル」コア事業を担う運営会社として阪急阪神第一ホテルグループを展開。 第一ホテル東京、ホテル阪急インターナショナルをはじめ、宿泊主体型のブランド「レム」やリゾートホテルなど18の直営ホテルと26のチェーンホテルの計44ホテルを展開している。

野村不動産が「庭のホテル」取得
 野村不動産(東京都新宿区)は、隆文堂(東京都千代田区)の全株式を取得。同時に100%子会社でホテル運営会社のUHM(同)の全株式を取得した。
 隆文堂社は、1935年に旅館業から創業し、現在「庭のホテル 東京」「東京グリーンホテル後楽園」等を保有する。  今回の隆文堂社の株式取得は、同社グループが中長期経営計画で掲げる「戦略投資による成長・加速」の一つとして、昨年度より新たな事業領域として取り組みを開始したホテル事業の拡大・成長加速に繋がるもの。
 同社グループのホテル事業は、昨年11月に第一号店を東京・上野で開業させた直営ホテル「NOHGA HOTEL(ノーガホテル)」のほか、都心複合再開発でのラグジュアリーホテル、宿泊特化型を対象とするリース形式のホテルなど、多様な宿泊ニーズに対応した様々な展開を進めている。
 隆文堂社の株式取得によって、このホテル事業の事業基盤の拡充が図る。具体的には、マーケットから高い評価を受けている「庭のホテル 東京」や「東京グリーンホテル後楽園」の顧客基盤を活かし、「NOHGA HOTEL」との相互送客による集客力の向上を見込む。
 また、UHM社の豊富なホテル運営ノウハウ・人材と同社の用地取得・開発力を掛け合わせることにより、グループ全体としてのホテル開発・運営力の強化が図ることができるなど、非常に高い相乗効果が期待できる。
 「庭のホテル 東京」は、2009年開業。地上16階建て、客室数238室。一方、「東京グリーンホテル後楽園」は、1983年開業。地上10階建て・地下1階、客室数は135室。

京都・祇園エリアにラグジュアリーH
 畑中(京都府京都市)では、京都・祇園八坂エリアにラグジュアリーホテル「そわか(SOWAKA)」新館をオープンさせた。
 同館は100年の歴史を刻む元老舗料亭の数寄屋建築を大規模リノベーションした本館に隣接する形で、新しい現代の数寄を体感できるスペース。新たに建設した杉目模様の建物は、一般的なホテルのような廊下に沿ってドアが並ぶ画一的なつくりではなく、部屋と部屋が接することのない空間が特徴だ。
 部屋の入口が共用の廊下から少し入ったところに作られており、京都の路地を歩いているような気分を演出する。
 「そわか(SOWAKA)」は、本館11室と新館12室、計23室の客室からなるスモールラグジュアリーホテル。2018年11月に本館をオープン、2019年3月にグランドオープンした。
 新館は、東山を望むことができるお部屋や、勾配天井により広さが感じられるモダンな空間が特徴の部屋、専用の縁側で美しい緑を眺めることができる部屋など12室を用意する。 
 本館は大正後期から昭和初期にかけて技巧を凝らし建築された数寄屋造りの元料亭を大規模リノベーションしたもの。100年の歴史がある床の間や欄間、空間構成など、随所に日本の美を留めながら、快適に過ごせる特別な部屋として生まれ変わった。部屋など11室を用意する。

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