不動産トピックス

クローズアップ トランクルーム編

2019.01.28 12:19

 従前までレンタル収納スペース(セルフストレージ、トランクルーム)は、空室の有効活用として導入するケースが多かった。昨今は長期安定した事業としての導入が進み、中にはテナント貸しよりも高収益となった事例もある。

フランチャイズブランド「PiO」を展開 ローコストで好利回りの有効活用術
 レンタル収納スペース(トランクルーム、ストレージ)事業を展開する押入れ産業(東京都港区)は、新たなフランチャイズブランド「PiO」を2016年から開始。拠点数を増やしつつ、利用者と保有物件に導入を決めたオーナーの双方に対する満足度向上を図る。
 レンタル収納スペースは、云わば「物置き事業」。空き部屋や未活用の土地をオーナーから借り上げて、物置き小屋やコンテナルームを作り利用者に貸し出す。ビル業界では、資産価値の低下したテナントビルの賃貸フロアをレンタル収納スペースにするケースが多い。人・企業が入居しないため一般的なオフィスよりもイニシャルコストは低額。開設コストも低く、短い期間で開始できるメリットも持つ。昨今不動産オーナーから「ローコストで高利回りの有効活用術」と認知され、年々拠点数の拡張に成功しているほどだ。営業本部の木戸博美氏は「トランクルーム経営を行う不動産オーナーも多く、昨今は初期投資が回収しやすい企業向けの都心型レンタル収納スペースが人気です」と語る。
 だが都心型のレンタル収納スペースは投資家から人気が高く、どの事業者も注力する分野。場所によっては「競合施設が2軒隣に立地する」という事例も珍しくない。その競争に強いと同社が自負するブランドが「PiO」である。「PiO」は明るい室内デザインと入退室管理機能が備わったセキュリティ、空調完備を特徴とした高品質のストレージ。無人管理ができ、開設してきた全施設が短期間で高稼働となった。
 木戸氏は「新規テナントが確保しにくい、成約賃料を値下げしてリーシングするテナントビルに適していると思います。特に都心のオフィスは、昨今できる限り社員用のワークスペースを広げて、反対に荷物スペースを減らす動きが増えてきました。資料や荷物置き場を求める企業向けに都内で開設すると、個人向けの郊外型のレンタル収納スペースよりも高く貸すことができます。また本業をお持ちの不動産オーナーが副業として行うにもよく、『PiO』はその様な人・企業を全面的にサポートするシステムとしても向いています」と語った。
 オフィスとしての立地に恵まれていない物件、マンションの路面店でない1階部分で高稼働に繋げたケースもある。その時は、コインランドリーやシェアオフィスとのコラボレーションで付加価値をつけ成功した。入居者やテナントの入れ替わりが激しい部屋を費用を掛けてリノベーションするよりも高く貸せることもある。賃貸経営が上手くいかない物件を保有するオーナーは、用途に関わらず、まずは依頼してはいかがか。未活用物件が高稼働のストレージに生き返ることを体験できるだろう。

「セルフストレージフォーラム」開催
 昨年11月21日と22日、国内最大のセルフストレージのイベント「SELF STORAGE FORUM IN JAPAN」が開催された。場所は神田に立地する「エッサム神田ホール2号館」。レンタル収納スペース推進協議会と、セルフストレージ産業のアジア最大の業界団体「アジアセルフストレージ協会(略称:SSAA)」が中心となって実施。当日は基調講演として、CBRE(東京都千代田区)リサーチエグゼクティブディレクターの大久保寛氏が「不動産市場の概況と展望」と題したセミナーを開催。また協議会に加盟する大手ストレージ企業が数社登壇したパネルディスカッションも行われた。
 レンタル収納スペース推進協議会・専務理事の吉田得生氏は「フォーラムは約150名、施設ツアー見学会は41名が参加し大盛況で終わりました。今年11月にも開催予定なので、興味を持った方は是非11月に来て欲しい」と語る。

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