不動産トピックス

クローズアップ 働き方改革編

2018.10.01 18:32

 「働き方改革」へのニーズが高まる一方で、その具体的な策は試行錯誤が続く。そのなかでオフィス向けに働き方改革支援を行う企業も登場、トレンドのビジネスとして人気を集める。働き方改革ビジネスを見てビル経営のヒントにしたい。

アスリートのノウハウをオフィスに 酸素カプセルが会議室・休憩室として登場
商品を入口に総合コンサルへ 大学などでも支援に入る
 「働き方改革」の意味は幅広い。クローズアップされるのは労働時間の短縮や生産性の向上だが、健康的な働き方、というのもポイントになっている。
 そのなかでTSUKURU(川崎市川崎区)は2018年8月より「すごい会議室」の提供を始めた。コンセプトは「打合せをしながら健康促進を!」だ。
 同社は2013年に創業。食品を中心にした健康食品の開発を軸に、足もとではビジネスマンや法人向けの健康支援を行っている。2017年には法人向けに「PLAY ORGANIX」を展開。ヨガやトレイルランニングなどのアクティビティを行いながら、社員の健康、コミュニケーションの促進を目指すというもの。昨今の「健康経営」へのニーズの高まりもあることから、法人をはじめとして需要も高い。
 代表取締役の辻吉彦氏は現在の働き方改革について「経営者とワーカーの間で若干の意識の差があるのではないか」と指摘する。経営の視点からみれば、「働き方改革」を実施して目指すところは「生産性の向上」であり「企業成長」。一方でワーカー側にとっては「ワークライフバランスの確立」や「長時間労働の軽減」だ。
 「この若干の差を埋めるために展開したのが『PLAY ORGANIX』でした。このサービスでは健康やコミュニケーションといったワーカーのニーズに応えるとともに、そこからの生産性や効率の向上という形で経営者側のニーズに応えるものとなった」(辻氏)
 現在ではオフィス向けのみならず、大学などとの提携もはじめているという。
 同社が初の空間事業としてはじめた「すごい会議室」。アスリートなどに利用されている酸素ボックスをオフィスに会議室や休憩室として提供する。8人まで入室することができて、幅150cm、奥行き2・6m、高さ2mの寸法となっている。
 ポイントとなるのは「酸素」だ。「酸素」の有効性は様々な論文でも取り上げられている。辻氏は「『すごい会議室』では細胞が最も活性化するといわれる1・3気圧でコントロールするように設定されています」と話す。
 現在は商品のみとなっているが、同社では今後ヘルスケアのチェックなども導入していく予定だ。これまで使用していた会議室が、入室するだけで健康状態がわかるとともに、健康になれる空間に変わるかもしれない。
 「PLAY ORGANIX」に続くオフィス向け第2段となった「すごい会議室」。辻氏の狙いは「継続性」だ。「健康への取り組みを一時的にするのではなく、継続可能な形で提供していくこと、それを支援するのが当社の目標だ」と話す。
 同社では総合的なコンサルティングも行っていて、現在10社ほどを支援している。「働き方改革、健康経営への注目度合いが集まっているが、まだ『どこから手をつけるべきか』で課題を抱えている企業も多くいます。ソフトコンテンツを含めた提案をしていきたい」としている。  「人生100年時代」といわれるなか、日本人の働き方やライフスタイルは変わってきている。「働き方改革」、「健康経営」も今後さらに加速していくだろう。そのなかで企業やオフィススペースを提供するデベロッパーはどのように対応していくか。注目したい。

ベネフィット・ワン 「ベネフィット・ステーションNEXT」スタート
 パソナグループのベネフィット・ワン(東京都千代田区)は、福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」を一新し、「約140万件の福利厚生優待サービス」と、従業員の健康促進を図る「健康ポイント」をワンパッケージで提供することで、企業の働き方改革・健康経営をサポートするHR Techサービス『ベネフィット・ステーションNEXT』の提供を、11月1日(木)より開始する。
 近年、従業員の健康管理を経営課題として捉え、従業員の健康維持や増進によって、会社の生産性向上を目指す「健康経営」が浸透している。また、従業員一人ひとりの人事データを可視化・分析し、「人材の最適配置」などに活用するHR Techサービスが注目を集めている。  ベネフィット・ワンは、国内8572の企業・団体、会員約743万人に対して、宿泊施設や飲食店、レジャー施設、介護・育児サービス等、約140万件のサービスを優待価格で利用することができる福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」を提供しており、福利厚生の観点から企業の働き方改革のサポートをしてきた。今回、ベネフィット・ワンは、これまで基幹サービスとして提供してきた福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」を一新し、HR Techサービス『ベネフィット・ステーションNEXT』の提供を11月1日より開始する。新サービスでは、福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」で提供してきた約140万件の優待サービスに加え、健康診断結果の経年管理や、最新の健康情報コラムなどを提供する「健康ポータルサイト」機能を追加する。
 また、経済産業省と日本健康会議が選出する「健康経営優良法人2018(ホワイト500)」の選出基準に合わせた健康ポイントプログラムを独自開発し、同プログラムに沿って従業員が健康促進に関わる行動を実践した時にポイントを付与し、貯まったポイントを健康関連商品等と交換ができる「健康ポイント」を提供する。

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