不動産トピックス

今週の一冊

2018.08.13 15:31

不動産の活況は張り子の虎か?インバウンドはいつ撤退するか?

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊
著者:牧野知弘
発行日:2018年4月10日
発行所:祥伝社
価格:840円(税別)

 一時期の市況を把握するのは難しいことではないが、「なぜ今この市況なのか」の説明は困難だ。本書は今現在の高値に至る背景を鋭く明快に解説し、更に不動産は活況を呈しているといわれているが、その「バブル」は何が原因だったのか、また下がるであろう時期はいつなのか、その根拠は何かをシニカルな表現を含ませつつ警鐘を鳴らしている。
 「ここにきて降ってわいたようなインバウンド騒ぎ」、「インバウンドというイナゴが飛び去るとき」、「消費税増の駆け込み需要を狙う、お花畑マンデベ業界」、「合理性の塊である金融資本主義者たち」等々、今の市況に違和感を持っていた層には溜飲が下がる向きも少なくないだろう。
 業界の真っただ中で感覚を研ぎ澄ませている著者の予想は若者風に言うと「当たる気しかしない」というのが率直な感想。なお、本書は本年4月発行であるが、8月現在で「既に市況は頭打ち、インバウンドの不動産爆買いもピークは過ぎた」との見方も出始めており、著者の指摘とおりの展開といえよう。最終章「崩壊後にやってくる不動産パラダイス~ピンチがチャンスに変わる時」は、宝くじ売り場ではないが「当たりますように」が率直な感想だ。

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