不動産トピックス

今週の一冊

2018.07.16 14:17

「今の日本に『太陽の塔』はつくれない」大阪万博の日本には何があったのか

48年目の誕生秘話 太陽の塔 岡本太郎と7人の男たち
著者:平野暁臣
発行日:2018年2月5日
発行所:青春出版社
価格:1300円(税別)

 真の芸術家が発するものはおしなべて強烈であるものだが、なかでも「芸術は爆発だ」のフレーズは彼の作品とともに今も広くわれわれの中に息づいている。
 岡本太郎の有名な「太陽の塔」は1970(昭和45)年に大阪で開かれた万国博覧会に向け作られた作品であるが、本書は当時プロジェクトにかかわった7人の男(サムライ)たちのインタビューである。かかわったというより「闘った」だろうか。
 「太郎に選ばれた誇りと自尊心」を持ち終身雇用の時代に会社を辞めて飛び込んだ男たちはまさに「爆発」したと言えるかもしれない。
 あまりにも特殊な芸術品のための様々な苦労話や思い出エピソードが満載である。
 本書は楽しむというより、「太陽の塔」を通して現代の社会の在り様を考えさせられる本だ。
 「ビジネスを超えた無条件の情熱」が存在した時代への羨望と共に心に留めたい一冊。不動産収益とまちづくりを両立するビルオーナーも手にとってはいかがか。

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