不動産トピックス

不動産ソリューションフェアセミナー・パネルディスカッション再現

2017.11.20 17:00

第19回不動産ソリューションフェアセミナー・パネルディスカッション再現
不動産ベンチャーパネルディスカッション「どうなる?今後の不動産業界!業界の未来を考える不動産ベンチャー座談会」
不動産業界出身者とIT業界出身者の意見が激突
テクノロジーの進化でビッグデータを生かす時代、商習慣が変わる

 「不動産テック」がビル業界を席巻。ITテクノロジーを活用し、事業の効率化等を図る。これまで「水と油」の関係であった不動産業界とIT業界の距離が一気に縮まった。今回の不動産ソリューションフェアでは不動産業界出身者が立ち上げたベンチャー企業と他業界から生まれた不動産テック系ベンチャーによる初のパネルディスカッションを企画。業界活性化に向けた意見交換が行われた。

スタートアップの成長戦略とは
池田 今回のパネリストは内外から不動産業界を少しでもよくしていこうと立ち上がったベンチャー企業のメンバーにお集まりいただきました。
田辺 元々は大学を卒業後、証券化ブーム真っ只中だった時代にマンションデベロッパーに在籍し賃貸の営業、分譲マンションの営業、プロパティマネジメント業務等に従事しました。当時取引先であったアセットマネジメント会社に転職し、私自身は海外ファンドチームに所属しました。リーマンショックや東日本大震災に遭遇し、国内の資金で海外に投資する事業をやりたいと考え、ステイジアキャピタルジャパンに参画しました。現在は日本の投資家、事業会社の資金で海外投資を支援しています。
梅田 個人的なキャリアを説明すると、幼少期から東南アジアで過ごし日本の大学を中退してアメリカの大学に行きました。その後、ニューヨークにて投資銀行の証券ブローカー等に従事していました。3年ほど前にスペイシーに参画。CFOとして不動産業界で活動しています。 田中 大学卒業後、新卒で入社したのはハウスメイトで、約3年半勤務しました。リニューアルやリフォームの営業、物件仕入れ等を担当しました。ザイマックスに転職しオフィスビルをメーンとしたプロパティマネジメント、売買仲介を経験。国内でJリートが次々に上場するタイミングであり、Jリートの組成にも関わりました。30歳になった時にアメリカ系の投資会社であるラサール不動産投資顧問に入社。7年ほど投資とアセットマネジメント事業に従事しました。その後、セキュアード・キャピタル・インベストメント・マネジメント(現PAGインベストメント・マネジメント)を経て、KGキャピタルを香港の投資家と共同設立をしました。当時の私は「雇われ社長」でしたが自分でも頑張ってみたいという意欲が目覚め、今年8月にプロフィッツを設立しました。
芳賀 重役の方が多いですね。普通のサラリーマンですので、お手柔らかに扱っていただきたいです。IT業界に身を置いてきましたが、現在はリブセンスで不動産業界に関わる仕事をしています。新規の求人広告の営業やヤフージャパンでリスティング広告の企画、アフェリエイターとしてフリーランスの経験もあります。アマゾンジャパンではウェブディレクターに従事し、リブセンスに参画しました。3年前は不動産の「不」の字もわかっていませんでした。
池田 大学卒業後に有楽土地(現大成有楽不動産)という不動産デベロッパーに入社しました。親会社である大成建設に出向し再開発やオフィスビルのPM業務等を経験しオーベラス・ジャパンを2年前に立ち上げました。今回のパネリストはバックグラウンドが多彩であり、様々なキャリアを経て現在に至ったメンバーが揃っています。ベンチャーならではの視点でサービス内容とポジショニングについて説明していただけますか。
田辺 当社のビジネスは海外の不動産に投資をしていただいてからクライアントとの関係がスタートする、非常に長いお付き合いをするビジネスです。中には海外に行ったこともない方もいらっしゃり、日本で不動産投資するのと変わらない環境を提供することを心がけています。海外に不動産を持てば海外での確定申告や決算も必要になり、税務会計まで含めて頼りにされます。この「頼られる」ことが非常に重要だと考えており、投資家と強い結びつきが生まれます。資産管理や事業承継の支援など、ビジネスを広げるための切り口に海外不動産というのがあると考えています。
梅田 当社は「スペイシー」という貸会議室のマッチングサイトを運営していますが、プラットフォームとして利用者と場所を提供してくれる方の両者にコンタクトをとらないといけません。我々のようなベンチャー企業は急激に成長して、イノベーションを起こすことで成長は加速しています。そうした時間の流れが速い世の中にあって、賃貸者契約はおそらく何十年も変化がありません。賃貸オフィスには常に「余剰・不足」が生じますが、これを貸会議室としてマッチングすることで効率化を図るというのがビジネスの想起点です。我々は遊休スペース等をうまく活用して一時間500円ないし1500円程度で会議できる場所を都内中心に増やしていこうと考えています。仮に坪単価3万円で賃料が得られる物件の場合、4坪の会議室があったとすると賃料は12万円。内装工事を行い、空調を稼働させるといったイニシャルコストがかかり、8時間20営業日と仮定するとフル稼働した時の1時間当たりの会議室料金は750円程度です。それを賃料相場坪1万円ほどのビルの空室を貸会議室とすれば、1時間1000円で賃料よりも高い収益が得られることになります。当社自ら再開発を控えた築古ビルを3カ月ほど借り上げて15㎡程度の貸会議室を開設しましたが、坪計算では6万8000円でした。15㎡で約30万円の収益が得られる計算になります。大手企業による場所貸しサービスも存在しますが、我々の様なプラットフォームを使うことで資本がなくても場所さえあれば投資せず世の中のニーズに合致したものを提供できます。
田中 私は不動産業界においても様々なギャップが生じていることを常に感じており、そのギャップを埋めるお手伝いをすることを一番に考えています。マネタイズについて私が意識しているのは新たなサービスを提供され今後面白く発展しそうなビジネスをされている方にある程度限定してお手伝いしています。
池田 私も不動産業界にいたので固定観念が非常に根強く、ギャップを突いて動く勇気があれば意外とまだまだやれることはあると思います。
田中 ハウスメイト在籍時に営業したのは一個の鍵交換を受託することからでした。しかしPM会社、賃貸仲介会社、ビルメンテナンス会社があり、不動産業界はすべてが縦割りで新しいものを受け入れる余裕があまりなく、過去の商慣習で常に動いてるところがあります。横串を刺すだけで少し面白いことができるというのはビジネスチャンスが転がっているのではないでしょうか。
芳賀 リブセンスの理念は「クライアントにどこよりも透明化されたサービスを不動産で提供する」と定義しています。売却査定依頼を不動産会社5社に最初お願いしたことがあります。その時の査定を全て並べたとき300万円くらいの差が出ました。この査定のうち正しいものを見出すのは難しい。まずはオンライン上で確実とは言わないまでも参考価格を把握できれば、安心して不動産会社に査定を依頼できるというスキームを作り出せると考えました。まず価格査定を当社のウェブサービス「イエシル」で見て頂けるようにしました。マネタイズとしてはオンラインにて最大3社限定で不動産会社に送客をしています。後はアドバイザーサービスを提供しており、不動産会社に行く前に相談できるサービスを行っています。現在はデータを収集しマッチングサービスに生かしていこうと考えています。
池田 収益物件を回すのに様々な会社が絡んでおり、自分の範疇ではない部分には手を出さず、さらに下請け側になればなるほど自分の判断で何もできないのが不動産業界です。非常にもどかしさを感じており、関係者全員が同じベクトルで進むことができない点が不動産業界の問題点だと感じています。当社は無料で電力切り替えのお手伝いをしているのですが、電力会社からスポンサー料を得ることで事業化しています。先程申し上げた通り、関係会社がベクトルを統一するためには、まずは意思決定権のある不動産保有者、ファンドであればアセットマネージャーに現状を理解していただかなければ、業界は変わっていかないのではないでしょうか。
不動産とIT業界 相互理解を深めるべき
池田 個人的に気になっている質問をさせてもらいます。「ベンチャーは内部・外部のどちらからの方がいいのか」。私自身は不動産業界に10年ほど在籍していましたが、みなさんも様々なバックグラウンドある中で不動産業界の外から見て「古い」と思うこと、業界内にいる方の問題意識について、さらに視点の違いについて議論したいと思います。
芳賀 不動産会社で最初驚いたのはFAXです。こんなに使えるんだ!と驚きました。あとはIT業界は基本的には変化こそ「正義」としているのですが、不動産会社の方とお話しすると「変える」ことで利益と背反するなど、リスクと考える方が多いように思います。ただ、最近では大手デベロッパーがスタートアップの支援を始める等、すごく良いことだと思います。
梅田 私が在籍した金融業界はIT業界よりも高速で取引される業界でした。現在「50年後になくなる職業」といった話題がネット等に氾濫していますが、20年頃からテクノロジーが進化し人がどんどん職を失われています。外資系金融会社のトレーダーがすべてAIに代わったとのニュースもあります。不動産業界に関わり始めたのは3年前で、スタートアップという立場から停滞している部分をテクノロジーを使って効率化していくことで大きく成長すると考えています。
池田 変えることが当たり前の業界外部の人たちは「なんで不動産業界は変えようとしないのだろう」という疑問を感じていますか。
梅田 もちろん商慣習の違いはあると思いますし、リスクもあると思うのですが、経済合理性では動かないケースが多いのが個人的には理解しきれていません。
芳賀 不動産会社からするとIT企業はどちらかというと「業者」。何らかのシステムを発注する関係性だったのですが、産業自体を変える力を持ち、実例も出てきた中で距離感が広がってしまったのではないでしょうか。IT業界からするとデータをデジタルで蓄積していることが最終的にすごく重要で、不動産会社と協業してチャレンジできるのではないしょうか。
池田 海外はどうでしょうか。
芳賀 海外のほうが進んでいます。日本でいう「レインズ」に該当するのがアメリカの「MLS」です。データを正確に扱うことに対するに罰則が非常に厳しく、例えば24時間以内にデータ入力しないとペナルティが課せられる等です。海外はデータを蓄積する重要性を認識しています。厳しい規制の中で取引データ等を蓄積しているがゆえに様々なイノベーションが起きているのではないでしょうか。
池田 一方、不動産業界内からの視点はいかがでしょう。
田中 不動産業界で成長してきた私が最近心掛けているのが芳賀さんや梅田さんのような、異なる業界の方々との接点を増やすことです。「中から変えたほうがいいのか、外から変えたほうがいいのか」という問いに対する私個人の考えですが、不動産業界の人間もITのことを知らなければいけないしIT業界の方にも不動産のことをもう少し知ってもらいたいと感じています。ただ、IT業界から不動産業界に来られた方は意外と苦戦されているんじゃないかなという気がするのですが、どうでしょう。
梅田 苦戦しています(笑)。
田中 不動産は国によって法律も違いますし、歴史や文化に由来するケースも多く合理的な考えだけでは成立しないものだと思います。さらに不動産を優れた建築作品として見ている方もいれば、投資対象と見ている方もおり、合理性だけで判断を下すのは今後も簡単にはいかないと思います。人の感受性までデータ化できるようになればもう少し円滑に取引が行われるのではないでしょうか。
田辺 田中さんと同じく、業界内から変えたいと思っている人が外から変えてやろうと思っている人と出会って双方向から変化が起きてくるのが理想ではないでしょうか。私はアメリカで不動産取引に関わっており、最近「コースター」というサービスを導入しました。有料でマーケティングレポートを提供してくれるのですが、最初3年前に月額6000ドルでの利用提案を受けました。しかし、当社の取引数が増えたことで月額2000ドルでの提案になりました。取引が多い会社に利用してもらって情報を吸い上げることを重視していると思われます。 (講演内容を一部抜粋)


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